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14】世間話
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14】世間話
さて。今日も今日とて、俺は仕事をしている。
スッキリと眠れるようになり、以前より結構活動的になったと思う。それから、何だか俺は気づかないが、何か変わっているところがあるようで。
「ねぇ、佐藤君。最近顔色が良いだけじゃなくて、何か変わった?」
そう聞かれたのは、お昼過ぎ。昼ご飯に持参したおにぎりを食べていると、この前顔色が良くなったと声をかけてくれた女性社員。工藤さんに聞かれた。
「そうですか?」
モゴモゴと咀嚼しながら答えるが、この前のようにコレといった思いつくものが無い。
「こう……何となくなんだけど、恋してる?って顔してる時があるんだよね」
「ゴホッ! ゴホッ……! え、ぇ!?」
思わず喉の辺りでおにぎりの米を引っかけた。変に気管に詰まった感じがして咽る。急いでお茶で飲み込んで、工藤さんを見た。
「俺が、恋……?」
「うん。この前帰る時とか、何だか嬉しそうだったから。てっきり……」
「俺、そんなに嬉しそうでした?」
「うん」
帰りに嬉しそうなことといえば、思い浮かぶのは中村さんのお店に行くことしか無い。最近、
それ以外でやる気を出して帰ったことなんか無いし。即答で「うん」と言った工藤さんの顔は真顔で、俺も言葉に詰まった。
「あー……、ちょっと気になってる? っぽい人がいるからかもです。俺、彼女とかいたことないんで、よく分からないですけど」
(ていうか、俺って今まで恋したことあったっけ)
「少年よ、恋は良いぞ~」
「恋……恋? 恋の基準って何なんでしょうね」
一度考えだすと、難しく思えてくる。人を好きになるってなんだろう。いや、学生時代とはか人の恋バナだって聞いたし、可愛い子がいたら可愛いなぁと思ったりしたこともある。けれど、特別って何だ? とか。変に難しく考えていたし、自分が変わるのが何だか怖くて自分から恋愛しようとしてこなかった。一丁前に、エッチなことはしているのにだ。
「恋って難しいよねぇ……。私もイマイチよく分からない」
「分からないんですか?」
「分かる人って少ないと思うよ? よく言うじゃん? 気づいたら好きになってたとか。それに、恋したら知らなかった一面が見えてくるとか」
「難しいですね」
「そうなのよ。恋って人を狂わせるのよ。ま! 何はともあれ。佐藤君が恋しているなら、私は応援するからね」
「有難うございます?」
「あはは、疑問形じゃん」
一体工藤さんの恋愛に、何があったんだろうと思った。佐藤さんは外に出るらしく、じゃあねと手を振って、出口へと向かって行った。
「……恋かぁ……」
気になる人に、エッチなことをされたいと思うのも恋なんだろうか。
*******
さて。今日も今日とて、俺は仕事をしている。
スッキリと眠れるようになり、以前より結構活動的になったと思う。それから、何だか俺は気づかないが、何か変わっているところがあるようで。
「ねぇ、佐藤君。最近顔色が良いだけじゃなくて、何か変わった?」
そう聞かれたのは、お昼過ぎ。昼ご飯に持参したおにぎりを食べていると、この前顔色が良くなったと声をかけてくれた女性社員。工藤さんに聞かれた。
「そうですか?」
モゴモゴと咀嚼しながら答えるが、この前のようにコレといった思いつくものが無い。
「こう……何となくなんだけど、恋してる?って顔してる時があるんだよね」
「ゴホッ! ゴホッ……! え、ぇ!?」
思わず喉の辺りでおにぎりの米を引っかけた。変に気管に詰まった感じがして咽る。急いでお茶で飲み込んで、工藤さんを見た。
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「うん。この前帰る時とか、何だか嬉しそうだったから。てっきり……」
「俺、そんなに嬉しそうでした?」
「うん」
帰りに嬉しそうなことといえば、思い浮かぶのは中村さんのお店に行くことしか無い。最近、
それ以外でやる気を出して帰ったことなんか無いし。即答で「うん」と言った工藤さんの顔は真顔で、俺も言葉に詰まった。
「あー……、ちょっと気になってる? っぽい人がいるからかもです。俺、彼女とかいたことないんで、よく分からないですけど」
(ていうか、俺って今まで恋したことあったっけ)
「少年よ、恋は良いぞ~」
「恋……恋? 恋の基準って何なんでしょうね」
一度考えだすと、難しく思えてくる。人を好きになるってなんだろう。いや、学生時代とはか人の恋バナだって聞いたし、可愛い子がいたら可愛いなぁと思ったりしたこともある。けれど、特別って何だ? とか。変に難しく考えていたし、自分が変わるのが何だか怖くて自分から恋愛しようとしてこなかった。一丁前に、エッチなことはしているのにだ。
「恋って難しいよねぇ……。私もイマイチよく分からない」
「分からないんですか?」
「分かる人って少ないと思うよ? よく言うじゃん? 気づいたら好きになってたとか。それに、恋したら知らなかった一面が見えてくるとか」
「難しいですね」
「そうなのよ。恋って人を狂わせるのよ。ま! 何はともあれ。佐藤君が恋しているなら、私は応援するからね」
「有難うございます?」
「あはは、疑問形じゃん」
一体工藤さんの恋愛に、何があったんだろうと思った。佐藤さんは外に出るらしく、じゃあねと手を振って、出口へと向かって行った。
「……恋かぁ……」
気になる人に、エッチなことをされたいと思うのも恋なんだろうか。
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