20 / 24
18】目が覚めたら
しおりを挟む
18】目が覚めたら
あの社交界の後。私はどうやらバース性で起こるヒートを起こしかけていたらしい。「らしい」というのは、私の意識が途切れ。目が覚めた時には、熱も下がり。どこかスッキリとした気持だったから、詳しいことは分からない。あの日は、ギルベルトが私を急いで部屋へと運び、医者に連絡を取り。社交界の妨げにならないように、静かにことを進めたと目が覚めて聞いた。私の熱は下がったが、数日様子を見るようにと療養をとっている。
「アーサー様。体調はいかがですか?」
「大分良いよ」
「それは良かったです」
今見舞いに来てくれているのは、先生だ。バース性もベータだから、またうっかり私のアルファとしてのフェロモンが出ても問題ないだろうと、良く顔を出してくれている。いつもなら、ギルベルトも良く顔を出してくれるが今回はあまり見ていない。目覚めたと聞いて一度顔を見せに来てくれただけで、人伝に食べ物なんかの見舞いの品はあったが直接顔を見なかった。
(忙しいんだろうな)
「アーサー様も、アルファのフェロモンが出ていたそうで」
「ギルベルトしか気づいていないから、分からないけどね。私自身、出ているなんて知らなかったし」
「さようで」
「ギルベルトが言うには、私のフェロモンは凄く甘い匂いだったって。ギルベルトのは、全然そんなことないのに」
スン、とベッドの上で身体を起こし。袖口の匂いを嗅いでみたが、全然分からなかった。
「甘い匂いですか……?」
「うん。凄く甘いって。先生?」
「ギルベルト殿のフェロモンは、あまり分かりませんが騎士団長として威嚇をするような物を感じたことがあります」
「そうだよね。ギルベルトのフェロモンの匂いって、香っていうより肌にビリビリする感じだし」
「ええ。ですが、甘いとなると……」
「先生が言いたいことは分かっていますよ。オメガみたいだってことでしょう? 私も甘い匂いなんてオメガでしか聞いたことがないですし」
「……」
「先生。私は別に、オメガでも良いと思っているんですよ。何なら、オメガでありたいと思っている部分もあるし」
「アーサー様、その件ですが」
オメガでありたい。父を始め、先代がバース性に関係なく平等な関係を取ってきた、この国だから言える言葉。オメガが未だ、不当な扱いを受けている場所があることを知っている。
「アーサー様がヒート状態の時に医者関係が、先に調べております。一部結果が出ているようですが……」
「本当かい? 是非聞きたいな」
この後。診療をしている医者が来て、何とも神妙な表情で言った。
「アーサー様のバース性は、判断が難しい状態です」
「と、いうと?」
「アーサー様のバース性における診断結果は、アルファ性の結果も出ているのですが以前診断した時には無かった、オメガの結果も出ているのです。バースが突然変異することがあることは知っていますが、これは……」
私の恋心が、バース性を変えようとしているのだと思った。
*******
あの社交界の後。私はどうやらバース性で起こるヒートを起こしかけていたらしい。「らしい」というのは、私の意識が途切れ。目が覚めた時には、熱も下がり。どこかスッキリとした気持だったから、詳しいことは分からない。あの日は、ギルベルトが私を急いで部屋へと運び、医者に連絡を取り。社交界の妨げにならないように、静かにことを進めたと目が覚めて聞いた。私の熱は下がったが、数日様子を見るようにと療養をとっている。
「アーサー様。体調はいかがですか?」
「大分良いよ」
「それは良かったです」
今見舞いに来てくれているのは、先生だ。バース性もベータだから、またうっかり私のアルファとしてのフェロモンが出ても問題ないだろうと、良く顔を出してくれている。いつもなら、ギルベルトも良く顔を出してくれるが今回はあまり見ていない。目覚めたと聞いて一度顔を見せに来てくれただけで、人伝に食べ物なんかの見舞いの品はあったが直接顔を見なかった。
(忙しいんだろうな)
「アーサー様も、アルファのフェロモンが出ていたそうで」
「ギルベルトしか気づいていないから、分からないけどね。私自身、出ているなんて知らなかったし」
「さようで」
「ギルベルトが言うには、私のフェロモンは凄く甘い匂いだったって。ギルベルトのは、全然そんなことないのに」
スン、とベッドの上で身体を起こし。袖口の匂いを嗅いでみたが、全然分からなかった。
「甘い匂いですか……?」
「うん。凄く甘いって。先生?」
「ギルベルト殿のフェロモンは、あまり分かりませんが騎士団長として威嚇をするような物を感じたことがあります」
「そうだよね。ギルベルトのフェロモンの匂いって、香っていうより肌にビリビリする感じだし」
「ええ。ですが、甘いとなると……」
「先生が言いたいことは分かっていますよ。オメガみたいだってことでしょう? 私も甘い匂いなんてオメガでしか聞いたことがないですし」
「……」
「先生。私は別に、オメガでも良いと思っているんですよ。何なら、オメガでありたいと思っている部分もあるし」
「アーサー様、その件ですが」
オメガでありたい。父を始め、先代がバース性に関係なく平等な関係を取ってきた、この国だから言える言葉。オメガが未だ、不当な扱いを受けている場所があることを知っている。
「アーサー様がヒート状態の時に医者関係が、先に調べております。一部結果が出ているようですが……」
「本当かい? 是非聞きたいな」
この後。診療をしている医者が来て、何とも神妙な表情で言った。
「アーサー様のバース性は、判断が難しい状態です」
「と、いうと?」
「アーサー様のバース性における診断結果は、アルファ性の結果も出ているのですが以前診断した時には無かった、オメガの結果も出ているのです。バースが突然変異することがあることは知っていますが、これは……」
私の恋心が、バース性を変えようとしているのだと思った。
*******
18
あなたにおすすめの小説
沈黙のΩ、冷血宰相に拾われて溺愛されました
ホワイトヴァイス
BL
声を奪われ、競売にかけられたΩ《オメガ》――ノア。
落札したのは、冷血と呼ばれる宰相アルマン・ヴァルナティス。
“番契約”を偽装した取引から始まったふたりの関係は、
やがて国を揺るがす“真実”へとつながっていく。
喋れぬΩと、血を信じない宰相。
ただの契約だったはずの絆が、
互いの傷と孤独を少しずつ融かしていく。
だが、王都の夜に潜む副宰相ルシアンの影が、
彼らの「嘘」を暴こうとしていた――。
沈黙が祈りに変わるとき、
血の支配が終わりを告げ、
“番”の意味が書き換えられる。
冷血宰相×沈黙のΩ、
偽りの契約から始まる救済と革命の物語。
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜
あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。
行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。
異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?
『アルファ拒食症』のオメガですが、運命の番に出会いました
小池 月
BL
大学一年の半田壱兎<はんだ いちと>は男性オメガ。壱兎は生涯ひとりを貫くことを決めた『アルファ拒食症』のバース性診断をうけている。
壱兎は過去に、オメガであるために男子の輪に入れず、女子からは異端として避けられ、孤独を経験している。
加えてベータ男子からの性的からかいを受けて不登校も経験した。そんな経緯から徹底してオメガ性を抑えベータとして生きる『アルファ拒食症』の道を選んだ。
大学に入り壱兎は初めてアルファと出会う。
そのアルファ男性が、壱兎とは違う学部の相川弘夢<あいかわ ひろむ>だった。壱兎と弘夢はすぐに仲良くなるが、弘夢のアルファフェロモンの影響で壱兎に発情期が来てしまう。そこから壱兎のオメガ性との向き合い、弘夢との関係への向き合いが始まるーー。
☆BLです。全年齢対応作品です☆
【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。
不器用なαと素直になれないΩ
万里
BL
美術大学に通う映画監督志望の碧人(あおと)は、珍しい男性Ωであり、その整った容姿から服飾科のモデルを頼まれることが多かった。ある日、撮影で写真学科の十和(とわ)と出会う。
十和は寡黙で近寄りがたい雰囲気を持ち、撮影中もぶっきらぼうな指示を出すが、その真剣な眼差しは碧人をただの「綺麗なモデル」としてではなく、一人の人間として捉えていた。碧人はその視線に強く心を揺さぶられる。
従順で可愛げがあるとされるΩ像に反発し、自分の意思で生きようとする碧人。そんな彼の反抗的な態度を十和は「悪くない」と認め、シャッターを切る。その瞬間、碧人の胸には歓喜と焦燥が入り混じった感情が走る。
撮影後、十和は碧人に写真を見せようとするが、碧人は素直になれず「どうでもいい」と答えてしまう。しかし十和は「素直じゃねえな」と呟き、碧人の本質を見抜いているように感じさせる。そのことに碧人は動揺し、彼への特別な感情を意識し始めるのだった。
αとβじゃ番えない
庄野 一吹
BL
社交界を牽引する3つの家。2つの家の跡取り達は美しいαだが、残る1つの家の長男は悲しいほどに平凡だった。第二の性で分類されるこの世界で、平凡とはβであることを示す。
愛を囁く二人のαと、やめてほしい平凡の話。
貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~
倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」
大陸を2つに分けた戦争は終結した。
終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。
一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。
互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。
純愛のお話です。
主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。
全3話完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる