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6】窓越しに見える僕は

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6】窓越しに見える僕は

突然の告白と、妙な余韻の残る空気が、ガラガラと開いた扉の音で抜けていく。それから再会の時間は、あっという間に幕を閉じた。

「水野先生。久しぶりに教え子と再会出来て、どうでしたか?」

「園長先生」

穏やかに話しかけてくれる園長先生の顔は、再会を僕と同じように喜んでくれていた。僕も出来るならすぐに「嬉しいです」と返事したいが、頭の中に先程の告白が残って出遅れてしまう。僕よりも早く久保君が返事して、帰り支度をする。

「園長先生、有難うございました。また来ても良いですか?」

「勿論だよ、久保尾君。よかったら、今の園児たちにも学校の話とか聞かせてくれると嬉しいな」

「喜んで。遅くまで、失礼しました」

そう言って行儀良くペコリと頭を下げた久保君は、あっという間に帰って行ったのだった。残されたのは、僕一人。園長先生に続いて斉藤先生もやって来て、「どうでしたか?」と園長先生と同じように聞いて来る。

「久保君が、高校生になるなんてなぁ……」

「早いですねぇ」

「あ! 水野先生はまだまだ若いけどね?」

「良いんですよ、園長先生。僕もおじさんの仲間入りしているので」

「まだまだ若いよ、水野君は。それよりも久保君……」

「園長先生、久保君とってもイケメンになってましたねぇ……」

「そうだねぇ……」

園長先生と斉藤先生が、嚙みしめるように言った。

「さぁ、先生方。今日は、この辺で帰りましょうか。明日も宜しくお願いしますね」

「「はい。お疲れさまでした」」

確かに。時間はもう夕方を過ぎていて、お腹も空いた。賑やかな園が、帰りの時は静かで少しだけ寂しい。荷物を片付けて、僕も家へと帰っていく。


タタン、タタン、タタン──────。


朝より人が少なくスペースのある電車の中で、窓越しに外を見ていた。映っているのは、僕の顔。その顔には、確かな疲れの色が浮かんでいる。

「……」

(いくら園長先生たちが若いと言ってくれても、僕も若くは無いよなぁ……)

昔と比べると、体力が落ちたし。体力が回復するまで時間がかかるようになったし。ポツポツ白髪だって目立つようになってきた。

『そのっ……先生。やっぱり俺は、先生が好きなんだけど』

「…………」

頭の中に、また告白の言葉を思い出す。

(おじさんなんかより、可愛い子は沢山いるのに)

なんでだろう? と思いながら。胸の奥でドキンと鳴った心臓に、この時の僕は気づいていなかった。

********
ちょっと詰んだのと、繁忙期になるので更新遅れるかもしれません><
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