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7】思いだしたら寝付けなかった
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7】思いだしたら寝付けなかった
「…………」
頭の中に、また告白の言葉を思い出す。
(おじさんなんかより、可愛い子は沢山いるのに)
なんでだろう? と思いながら。胸の奥でドキンと鳴った心臓に、この時の僕は気づいていなかった。いや、気づかないフリをしていただけかもしれない。
ぼんやりとしていると、いつも降りる駅名が聞こえ慌てて電車から降りた。それから改札駅を出て、駅に併設しているスーパーで夕食を買って帰る。そして誰も待っていない自分の家に帰るだけ。
「ただいまぁ……」
勿論、「お帰り」なんて返事あるはずもない。むしろあったら怖いくらいだ。
まずは手洗いうがいをして室内の電気をつけて。お湯を沸かしつつ買ってきた夕食を準備して、ピーッ! となったやかんのお湯をポットに移す。火傷しそうなお湯で固形スープを溶かして頃合いを見て、夕食を食べる。それが僕の生活。ごくごくありふれた、独身の生活。
「あ、コロッケ美味しい」
ただいま揚げたて! と書いてあったポップにつられ、買ったコロッケが美味しくて箸が進む。食べ終われば必要最低限程度の少ない食器を洗い、お風呂に入って眠るだけ。
────眠るだけなのに!!!!
「…………」
『先生』『水野先生』
いけない。早く寝ないといけないのに。体力勝負の仕事だというのに。
『これから前向きにアタックしていこうと思う!』
「ああぁぁ゛」
今日の復習、振り返りとばかりに目を瞑ると思い出すのは久保君のことばかり。
「おじさんには、やっぱり刺激が強過ぎだよ……!」
恋愛経験が無いわけではないが、教え子に時を経て告白されたことは無い。しかも相手は同性。初めての経験ばかり。
(今度また告白されたら、ちゃんと断ろう……)
うんうんと一人首を振りながら、深呼吸をして目を瞑る。今度こそ寝るぞ! と意気込んだあと、スッ……──と何も考えないようにして。それでも最後にチラリと頭の中に浮かんだのは、まだ小さな。「先生」と僕を呼んだ園児姿の久保君だった。
********
短くてすみません><
「…………」
頭の中に、また告白の言葉を思い出す。
(おじさんなんかより、可愛い子は沢山いるのに)
なんでだろう? と思いながら。胸の奥でドキンと鳴った心臓に、この時の僕は気づいていなかった。いや、気づかないフリをしていただけかもしれない。
ぼんやりとしていると、いつも降りる駅名が聞こえ慌てて電車から降りた。それから改札駅を出て、駅に併設しているスーパーで夕食を買って帰る。そして誰も待っていない自分の家に帰るだけ。
「ただいまぁ……」
勿論、「お帰り」なんて返事あるはずもない。むしろあったら怖いくらいだ。
まずは手洗いうがいをして室内の電気をつけて。お湯を沸かしつつ買ってきた夕食を準備して、ピーッ! となったやかんのお湯をポットに移す。火傷しそうなお湯で固形スープを溶かして頃合いを見て、夕食を食べる。それが僕の生活。ごくごくありふれた、独身の生活。
「あ、コロッケ美味しい」
ただいま揚げたて! と書いてあったポップにつられ、買ったコロッケが美味しくて箸が進む。食べ終われば必要最低限程度の少ない食器を洗い、お風呂に入って眠るだけ。
────眠るだけなのに!!!!
「…………」
『先生』『水野先生』
いけない。早く寝ないといけないのに。体力勝負の仕事だというのに。
『これから前向きにアタックしていこうと思う!』
「ああぁぁ゛」
今日の復習、振り返りとばかりに目を瞑ると思い出すのは久保君のことばかり。
「おじさんには、やっぱり刺激が強過ぎだよ……!」
恋愛経験が無いわけではないが、教え子に時を経て告白されたことは無い。しかも相手は同性。初めての経験ばかり。
(今度また告白されたら、ちゃんと断ろう……)
うんうんと一人首を振りながら、深呼吸をして目を瞑る。今度こそ寝るぞ! と意気込んだあと、スッ……──と何も考えないようにして。それでも最後にチラリと頭の中に浮かんだのは、まだ小さな。「先生」と僕を呼んだ園児姿の久保君だった。
********
短くてすみません><
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