【完結・BL】12年前の教え子が、僕に交際を申し込んできたのですが!?【年下×年上】

彩華

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7】思いだしたら寝付けなかった

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7】思いだしたら寝付けなかった

「…………」

頭の中に、また告白の言葉を思い出す。

(おじさんなんかより、可愛い子は沢山いるのに)

なんでだろう? と思いながら。胸の奥でドキンと鳴った心臓に、この時の僕は気づいていなかった。いや、気づかないフリをしていただけかもしれない。

ぼんやりとしていると、いつも降りる駅名が聞こえ慌てて電車から降りた。それから改札駅を出て、駅に併設しているスーパーで夕食を買って帰る。そして誰も待っていない自分の家に帰るだけ。

「ただいまぁ……」

勿論、「お帰り」なんて返事あるはずもない。むしろあったら怖いくらいだ。
まずは手洗いうがいをして室内の電気をつけて。お湯を沸かしつつ買ってきた夕食を準備して、ピーッ! となったやかんのお湯をポットに移す。火傷しそうなお湯で固形スープを溶かして頃合いを見て、夕食を食べる。それが僕の生活。ごくごくありふれた、独身の生活。

「あ、コロッケ美味しい」

ただいま揚げたて! と書いてあったポップにつられ、買ったコロッケが美味しくて箸が進む。食べ終われば必要最低限程度の少ない食器を洗い、お風呂に入って眠るだけ。

────眠るだけなのに!!!!


「…………」

『先生』『水野先生』

いけない。早く寝ないといけないのに。体力勝負の仕事だというのに。

『これから前向きにアタックしていこうと思う!』

「ああぁぁ゛」

今日の復習、振り返りとばかりに目を瞑ると思い出すのは久保君のことばかり。

「おじさんには、やっぱり刺激が強過ぎだよ……!」

恋愛経験が無いわけではないが、教え子に時を経て告白されたことは無い。しかも相手は同性。初めての経験ばかり。

(今度また告白されたら、ちゃんと断ろう……)

うんうんと一人首を振りながら、深呼吸をして目を瞑る。今度こそ寝るぞ! と意気込んだあと、スッ……──と何も考えないようにして。それでも最後にチラリと頭の中に浮かんだのは、まだ小さな。「先生」と僕を呼んだ園児姿の久保君だった。

********
短くてすみません><
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