8 / 31
8】先輩は今日も来る?
しおりを挟む
8】先輩は今日も来る?
寝れない……! といつもより睡眠時間が短くても、仕事は待ってくれない。今日も今日とて、僕は普段通りに出勤だ。ピークより少しはマシくらいの電車に乗って園に向かう。準備をして登園時間近くになると、皆を迎えるために園の入り口で待っていた。
「先生、おはようございます!」
「ゆりちゃん、おはようございます」
「水野先生、今日も宜しくお願いします」
「はい。では、お母さんもお仕事気を付けて」
こうして、一人。また一人と園児たちがやって来る。僕のクラスは赤ちゃんではないので、親御さんとの別れに毎回号泣するような子はいないが、小さい子クラスは、毎朝誰かの鳴き声が響いている。
朝の会が終わり、教室や外で皆がそれぞれに遊んでいる時だった。ゆりちゃんが僕の方へやって来て、「水野先生」と呼ぶ。
「ゆりちゃん、どうしたの?」
「あのね、今日も昨日の先輩来るかな?」
「うーん、どうだろう。久保君も忙しいからね」
「そうなんだぁ……残念」
その様子に、恋愛経験の少ない僕でもピンときた。
(まぁ……普段合わないようなお兄さんに会えば、恋に落ちちゃうよね……)
しかもイケメンだし。
願わくば、今度久保君がゆりちゃんに会うことがあれば、また優しくして欲しい。
「ねぇ、先生。先輩って彼女いるかな?」
「かのっ!?ゴホッ!!」
近頃の子供たちは本当に進んでいる。彼女なんて言葉は、高校生くらいで意識し始めたくらいだったのに! 思わず咽て、ゴホゴホとせき込めば「先生大丈夫?」とゆりちゃんが心配してくれた。
「大丈夫だよ。ちょっと先生びっくりしちゃっただけだから」
「先生ったら、彼女のことだけで大げさよ?」
「そうだよね。ははっ……」
「はぁ~。先輩、あんなに恰好良いんだもん、絶対彼女がいるんだろうなぁ……」
そう意気込むゆりちゃんに、「先生、分からないなぁ」と返すのが精一杯だった。
多分、彼女はいないと思うよと思ったが、そう言わなかったのは大人としての優しさだ。
「じゃあ、先生。また先輩が来たら、ゆりに教えてね!」
それだけ言うと、ゆりちゃんは走って友達の元へ。何事も無かったかのように、遊び始めていた。
「水野先生? さっき凄くせき込んでましたけど、大丈夫ですか?」
「斎藤先生」
ゆりちゃんと変わるように、今度は斎藤先生が僕に話しかけてくれた。
「大丈夫です! ちょっとゆりちゃんが、昨日来た久保君に彼女がいるのか聞いて来たのでビックリして咽ちゃっただけなんで」
「あら~~、ゆりちゃんったら……。久保君、きっと他の子から見ても王子様みたいなものでしょうからねぇ……他の子もきっと好きになっちゃうわね。それともファンクラブかしら?」
「え゛」
そんな……と思ったが、仕事という現実がそんなことを考える暇すらないくらい押し寄せて一日が過ぎて行ったのだった。
********
明日から繁忙なので、来週まで更新出来ないかもしれません><
といいつつ、軽率に別の話始めるかも。
寝れない……! といつもより睡眠時間が短くても、仕事は待ってくれない。今日も今日とて、僕は普段通りに出勤だ。ピークより少しはマシくらいの電車に乗って園に向かう。準備をして登園時間近くになると、皆を迎えるために園の入り口で待っていた。
「先生、おはようございます!」
「ゆりちゃん、おはようございます」
「水野先生、今日も宜しくお願いします」
「はい。では、お母さんもお仕事気を付けて」
こうして、一人。また一人と園児たちがやって来る。僕のクラスは赤ちゃんではないので、親御さんとの別れに毎回号泣するような子はいないが、小さい子クラスは、毎朝誰かの鳴き声が響いている。
朝の会が終わり、教室や外で皆がそれぞれに遊んでいる時だった。ゆりちゃんが僕の方へやって来て、「水野先生」と呼ぶ。
「ゆりちゃん、どうしたの?」
「あのね、今日も昨日の先輩来るかな?」
「うーん、どうだろう。久保君も忙しいからね」
「そうなんだぁ……残念」
その様子に、恋愛経験の少ない僕でもピンときた。
(まぁ……普段合わないようなお兄さんに会えば、恋に落ちちゃうよね……)
しかもイケメンだし。
願わくば、今度久保君がゆりちゃんに会うことがあれば、また優しくして欲しい。
「ねぇ、先生。先輩って彼女いるかな?」
「かのっ!?ゴホッ!!」
近頃の子供たちは本当に進んでいる。彼女なんて言葉は、高校生くらいで意識し始めたくらいだったのに! 思わず咽て、ゴホゴホとせき込めば「先生大丈夫?」とゆりちゃんが心配してくれた。
「大丈夫だよ。ちょっと先生びっくりしちゃっただけだから」
「先生ったら、彼女のことだけで大げさよ?」
「そうだよね。ははっ……」
「はぁ~。先輩、あんなに恰好良いんだもん、絶対彼女がいるんだろうなぁ……」
そう意気込むゆりちゃんに、「先生、分からないなぁ」と返すのが精一杯だった。
多分、彼女はいないと思うよと思ったが、そう言わなかったのは大人としての優しさだ。
「じゃあ、先生。また先輩が来たら、ゆりに教えてね!」
それだけ言うと、ゆりちゃんは走って友達の元へ。何事も無かったかのように、遊び始めていた。
「水野先生? さっき凄くせき込んでましたけど、大丈夫ですか?」
「斎藤先生」
ゆりちゃんと変わるように、今度は斎藤先生が僕に話しかけてくれた。
「大丈夫です! ちょっとゆりちゃんが、昨日来た久保君に彼女がいるのか聞いて来たのでビックリして咽ちゃっただけなんで」
「あら~~、ゆりちゃんったら……。久保君、きっと他の子から見ても王子様みたいなものでしょうからねぇ……他の子もきっと好きになっちゃうわね。それともファンクラブかしら?」
「え゛」
そんな……と思ったが、仕事という現実がそんなことを考える暇すらないくらい押し寄せて一日が過ぎて行ったのだった。
********
明日から繁忙なので、来週まで更新出来ないかもしれません><
といいつつ、軽率に別の話始めるかも。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
28
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる