【完結・BL】12年前の教え子が、僕に交際を申し込んできたのですが!?【年下×年上】

彩華

文字の大きさ
33 / 39

33】本当に来なくなった

しおりを挟む
33】本当に来なくなった

 「じゃあ、先生。安心して下さい。明日から、もう顔を出さないんで」

久保君は、僕にそう言ってから、本当に来なくなった。ゆりちゃんは少し寂しそう。
最初の2,3日は普通だった。それが1週間を過ぎて、他の先生たちも「久保君、来なくなりましたねぇ……」と残念そうに僕に言った。

「やっぱり、高校生って忙しいでしょうね」

「そうですね」

「また久保君、来てくれるといいですね、水野先生」

「はは……そうですね……」

そうだ。久保君は、高校生なんだ。いつまでも、僕みたいなおじさんを相手にしている時間なんて無い。今しか出来ないことが沢山ある。勉強だって、遊びだって。それに……恋だって。僕なんかより、久保君は他の人と恋愛をした方が良いんだ。
でもチクリと胸は痛むもので。

(ならあんな風に、好きだと言われない方が良かった────)

「水野先生? どうしたの?」

「ああ、ゆりちゃん」

僕が下を向いていると、足元から声がした。「先生?」と見上げるゆりちゃんが、心配そうに僕を見上げている。駄目だ。僕は、この子たちの先生なんだ。ちゃんとしないと。

「大丈夫だよ。ちょっと何か落ちていないか、見ていただけなんだ」

ゆりちゃんは僕の顔を見た後、気持ちを見抜いたように言った。

「……先生。先生は、ゆりたちのお世話をしてくれている時は先生だけど、帰りの時間がきたら、先生じゃないんだよ? 先生も、ゆりたちに言っているでしょう? 無理しなくて良いんだよ」

「ゆりちゃん……」

本当は久保君に会いたいだろうに、久保君の名前を一言も出さないゆりちゃん。

「有難う。心配させちゃったね。僕は大丈夫だよ」

「本当? 今度先輩が来たら、ゆりが叱ってあげるからね?」

「大丈夫だよ」

ゆりちゃんの頭を撫でた。それからゆりちゃんのお母さんが迎えに来て、教室には僕一人だけ。久保君がやって来る前に戻っただけだ。これが普通だったんだ。

考えるのを止めようとしていると、不意に窓に人影が見えた気がして、思わず振り返ってしまった。

「……ああ、百合ちゃんか。久しぶり」

「先生?」

見えた人影は、久保君と同じ卒業生。綺麗になった女の子の百合ちゃんだった。僕の様子に、ゆりちゃんと同じようにキョトンとした目で僕を見る。

「先生、どうしたの? そういえば、圭介は?」

「何でもないよ。大丈夫。久保君は、暫く来てないよ」

「は?」

「久保君。もう会いに来ないって言ってたから、用事があるなら学校の方が良いかも」

「は?? ちょっと、先生。それ、どういうこと……?」

「……」

「分かった。とりあえず、用事が出来たから、先生。今日は帰るね! またね!」

「ゆりちゃん?」

「圭介のこと、ぶん殴ってくる!」

「ゆりちゃん!!」

止めようとしたが、ゆりちゃんの足は速く。あっという間に、門の方へと駆けて行った。

(そういえば、ゆりちゃん昔から駆けっこ速かったな)

*******
更新しました
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ランドセルの王子様(仮)

万里
BL
大学生の森下優太(20)は、ある日の夕暮れ、ひったくり犯に襲われ絶体絶命のピンチに陥る。そんな彼を救ったのは、鮮やかなシュートで犯人を撃退した小学生の少年、日向蒼だった。 ランドセルを背負いながらも、大人顔負けの冷徹さと圧倒的なカリスマ性を持つ蒼。その姿に、優太はあろうことか「一目惚れ」をしてしまう。「相手は小学生、これはただの尊敬だ」と自分に言い聞かせる優太だったが、蒼のクールな瞳と救われた手の温もりが頭から離れない。 親友には「自首しろ」と呆れられながらも、理性と本能(ときめき)の狭間で葛藤する。禁断(?)のドキドキが止まらない、20歳男子による「かっこよすぎるヒーロー(小学生)」への片思い(自認はリスペクト)。

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

【エルド学園】俺はこの『親友』が、ただの学生だと思っていた

西園 いつき
BL
エルド王国第一王子、レオンは、唯一の親友ノアと日々研鑽を重ねていた。 文武共に自分より優れている、対等な学生。 ノアのことをそう信じて疑わなかったレオンだが、突如学園生活は戦火に巻き込まれ、信じていたものが崩れ始める。 王国と帝国、そして王統をめぐる陰謀と二人の関係が交錯する、王子×親友のファンタジーBL。

僕を惑わせるのは素直な君

秋元智也
BL
父と妹、そして兄の家族3人で暮らして来た。 なんの不自由もない。 5年前に病気で母親を亡くしてから家事一切は兄の歩夢が 全てやって居た。 そこへいきなり父親からも唐突なカミングアウト。 「俺、再婚しようと思うんだけど……」 この言葉に驚きと迷い、そして一縷の不安が過ぎる。 だが、好きになってしまったになら仕方がない。 反対する事なく母親になる人と会う事に……。 そこには兄になる青年がついていて…。 いきなりの兄の存在に戸惑いながらも興味もあった。 だが、兄の心の声がどうにもおかしくて。 自然と聞こえて来てしまう本音に戸惑うながら惹かれて いってしまうが……。 それは兄弟で、そして家族で……同性な訳で……。 何もかも不幸にする恋愛などお互い苦しみしかなく……。

当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。

マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。 いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。 こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。 続編、ゆっくりとですが連載開始します。 「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)

処理中です...