3 / 41
■会社にいつも通り来たものの②
■会社にいつも通り来たものの②
ざわざわと、社内では珍しく人だかりが出来て賑やかになった朝だった。
それもそうだ。今日は、転勤でやって来た人の挨拶がある日。この部署にやって来るのは一人らしいが、とりわけ女性陣の声が嬉しそうに聞こえる。
俺も輪の中に入らなくてはと、机に荷物を置き。皆が集まる場所へと加わった時だった。
「今日から、この部署にやって来た……」
と部長の声は、ここで途切れ。人の間から俺とペアを組む上司は一体? と、人の間から姿を見れば、ヒュッ……! と喉が締まる音がした。
(え、待って。凄く……見覚えのある顏……)
当然だ。今日夢に見たばかりだし、未だに引きずっているし。何より、俺の中で未だに不動のNO.1。おまけに、携帯の画像フォルダにだって写真が残っている顔。
(か、加藤先輩…………!?)
前方には、随分と顔が良い男がそこには立っていた。
咄嗟に、悪いことをしているわけでもないのに田中さんの肩に身を隠す俺。
「おい、水野どうしたんだよ。お前とペア組む上司だぞ」
「……!」
(ああああ、そうだった!!)
ペアを組む上に、席だって隣同士。避けるなんて絶対に出来ないじゃないかと、冷や汗が背中を流れた。
(いや、待てよ? 俺が加藤先輩を覚えていても先輩が俺の事を覚えているとは限らないよな? しかも、あの人が本当に加藤先輩かってのもあるし。めちゃくちゃ加藤先輩のそっくりさんかもしれないしな?)
「加藤です。宜しくお願いします」
(ああああ゛~~~~~~!! やっぱりそっくりさんじゃなかった~~~~!!)
パチパチと歓迎する拍手の中で、俺だけ一人感情が忙しかった。先輩が俺の事を忘れていたらなんて自分で考えながら、少しだけ傷つく。(面倒臭いな、俺)
だが、今は覚えていない方が都合が良い。そうだ、先輩の事だ。俺の事をきっと忘れているに違いない。
変に前向きに考え直し、田中さんの肩から離れる。あとは先輩の挨拶を聞きながら、普段通りの業務が始まる。席に戻れば、挨拶を終えた加藤先輩が当然ながら自分の席にやって来て俺の隣に座った。
「おはようございます。これから宜しくお願いします」
ペコッと小さく頭を下げながら、視線は横へ。先輩の顔を見ないようにしていると、椅子を引き立ったままの先輩が俺の急に前のめりになり。俺の顔を覗き込んで言った。
「水野?」
長い前髪は相変わらずで、眠たそうな瞳をグワッと開けて見つめる先輩に、どうして嘘がつけるだろう。
「ハイ、ミズノデス」
あの出会いの時のように、俺は変な声を出しながら名乗ることしか出来なかった。
■会社にいつも通り来たものの②
(まさか、初恋の相手が直属の上司になるなんて思わないだろ!?)
*******
ざわざわと、社内では珍しく人だかりが出来て賑やかになった朝だった。
それもそうだ。今日は、転勤でやって来た人の挨拶がある日。この部署にやって来るのは一人らしいが、とりわけ女性陣の声が嬉しそうに聞こえる。
俺も輪の中に入らなくてはと、机に荷物を置き。皆が集まる場所へと加わった時だった。
「今日から、この部署にやって来た……」
と部長の声は、ここで途切れ。人の間から俺とペアを組む上司は一体? と、人の間から姿を見れば、ヒュッ……! と喉が締まる音がした。
(え、待って。凄く……見覚えのある顏……)
当然だ。今日夢に見たばかりだし、未だに引きずっているし。何より、俺の中で未だに不動のNO.1。おまけに、携帯の画像フォルダにだって写真が残っている顔。
(か、加藤先輩…………!?)
前方には、随分と顔が良い男がそこには立っていた。
咄嗟に、悪いことをしているわけでもないのに田中さんの肩に身を隠す俺。
「おい、水野どうしたんだよ。お前とペア組む上司だぞ」
「……!」
(ああああ、そうだった!!)
ペアを組む上に、席だって隣同士。避けるなんて絶対に出来ないじゃないかと、冷や汗が背中を流れた。
(いや、待てよ? 俺が加藤先輩を覚えていても先輩が俺の事を覚えているとは限らないよな? しかも、あの人が本当に加藤先輩かってのもあるし。めちゃくちゃ加藤先輩のそっくりさんかもしれないしな?)
「加藤です。宜しくお願いします」
(ああああ゛~~~~~~!! やっぱりそっくりさんじゃなかった~~~~!!)
パチパチと歓迎する拍手の中で、俺だけ一人感情が忙しかった。先輩が俺の事を忘れていたらなんて自分で考えながら、少しだけ傷つく。(面倒臭いな、俺)
だが、今は覚えていない方が都合が良い。そうだ、先輩の事だ。俺の事をきっと忘れているに違いない。
変に前向きに考え直し、田中さんの肩から離れる。あとは先輩の挨拶を聞きながら、普段通りの業務が始まる。席に戻れば、挨拶を終えた加藤先輩が当然ながら自分の席にやって来て俺の隣に座った。
「おはようございます。これから宜しくお願いします」
ペコッと小さく頭を下げながら、視線は横へ。先輩の顔を見ないようにしていると、椅子を引き立ったままの先輩が俺の急に前のめりになり。俺の顔を覗き込んで言った。
「水野?」
長い前髪は相変わらずで、眠たそうな瞳をグワッと開けて見つめる先輩に、どうして嘘がつけるだろう。
「ハイ、ミズノデス」
あの出会いの時のように、俺は変な声を出しながら名乗ることしか出来なかった。
■会社にいつも通り来たものの②
(まさか、初恋の相手が直属の上司になるなんて思わないだろ!?)
*******
あなたにおすすめの小説
別れたはずの元彼に口説かれています
水無月にいち
BL
高三の佐倉天は一歳下の松橋和馬に一目惚れをして告白をする。お世話をするという条件の元、付き合えることになった。
なにかと世話を焼いていたが、和馬と距離が縮まらないことに焦っている。
キスを強請った以降和馬とギクシャクしてしまい、別れを告げる。
だが別れたのに和馬は何度も会いに来てーー?
「やっぱりアレがだめだった?」
アレってなに?
別れてから始まる二人の物語。
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。
或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。
自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい!
そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。
瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。
圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって……
̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶
【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ
番外編、牛歩更新です🙇♀️
※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。
少しですが百合要素があります。
☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました!
第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!
【完結】後悔は再会の果てへ
関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。
その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。
数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。
小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。
そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。
末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前
計画的ルームシェアの罠
高木凛
BL
両親の転居をきっかけに、幼馴染の一ノ瀬涼の家に居候することになった湊。
「学生のうちは勉強に専念しろ」なんて正論を吐く涼に反発しながらも、湊は心に決めていた。
しかし湊は知らない。一ノ瀬涼の罠に。
【初回3話は毎日更新! 以降は火・木19時更新予定】