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■会社にいつも通り来たものの②
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■会社にいつも通り来たものの②
ざわざわと、社内では珍しく人だかりが出来て賑やかになった朝だった。
それもそうだ。今日は、転勤でやって来た人の挨拶がある日。この部署にやって来るのは一人らしいが、とりわけ女性陣の声が嬉しそうに聞こえる。
俺も輪の中に入らなくてはと、机に荷物を置き。皆が集まる場所へと加わった時だった。
「今日から、この部署にやって来た……」
と部長の声は、ここで途切れ。人の間から俺とペアを組む上司は一体? と、人の間から姿を見れば、ヒュッ……! と喉が締まる音がした。
(え、待って。凄く……見覚えのある顏……)
当然だ。今日夢に見たばかりだし、未だに引きずっているし。何より、俺の中で未だに不動のNO.1。おまけに、携帯の画像フォルダにだって写真が残っている顔。
(か、加藤先輩…………!?)
前方には、随分と顔が良い男がそこには立っていた。
咄嗟に、悪いことをしているわけでもないのに田中さんの肩に身を隠す俺。
「おい、水野どうしたんだよ。お前とペア組む上司だぞ」
「……!」
(ああああ、そうだった!!)
ペアを組む上に、席だって隣同士。避けるなんて絶対に出来ないじゃないかと、冷や汗が背中を流れた。
(いや、待てよ? 俺が加藤先輩を覚えていても先輩が俺の事を覚えているとは限らないよな? しかも、あの人が本当に加藤先輩かってのもあるし。めちゃくちゃ加藤先輩のそっくりさんかもしれないしな?)
「加藤です。宜しくお願いします」
(ああああ゛~~~~~~!! やっぱりそっくりさんじゃなかった~~~~!!)
パチパチと歓迎する拍手の中で、俺だけ一人感情が忙しかった。先輩が俺の事を忘れていたらなんて自分で考えながら、少しだけ傷つく。(面倒臭いな、俺)
だが、今は覚えていない方が都合が良い。そうだ、先輩の事だ。俺の事をきっと忘れているに違いない。
変に前向きに考え直し、田中さんの肩から離れる。あとは先輩の挨拶を聞きながら、普段通りの業務が始まる。席に戻れば、挨拶を終えた加藤先輩が当然ながら自分の席にやって来て俺の隣に座った。
「おはようございます。これから宜しくお願いします」
ペコッと小さく頭を下げながら、視線は横へ。先輩の顔を見ないようにしていると、椅子を引き立ったままの先輩が俺の急に前のめりになり。俺の顔を覗き込んで言った。
「水野?」
長い前髪は相変わらずで、眠たそうな瞳をグワッと開けて見つめる先輩に、どうして嘘がつけるだろう。
「ハイ、ミズノデス」
あの出会いの時のように、俺は変な声を出しながら名乗ることしか出来なかった。
■会社にいつも通り来たものの②
(まさか、初恋の相手が直属の上司になるなんて思わないだろ!?)
*******
ざわざわと、社内では珍しく人だかりが出来て賑やかになった朝だった。
それもそうだ。今日は、転勤でやって来た人の挨拶がある日。この部署にやって来るのは一人らしいが、とりわけ女性陣の声が嬉しそうに聞こえる。
俺も輪の中に入らなくてはと、机に荷物を置き。皆が集まる場所へと加わった時だった。
「今日から、この部署にやって来た……」
と部長の声は、ここで途切れ。人の間から俺とペアを組む上司は一体? と、人の間から姿を見れば、ヒュッ……! と喉が締まる音がした。
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当然だ。今日夢に見たばかりだし、未だに引きずっているし。何より、俺の中で未だに不動のNO.1。おまけに、携帯の画像フォルダにだって写真が残っている顔。
(か、加藤先輩…………!?)
前方には、随分と顔が良い男がそこには立っていた。
咄嗟に、悪いことをしているわけでもないのに田中さんの肩に身を隠す俺。
「おい、水野どうしたんだよ。お前とペア組む上司だぞ」
「……!」
(ああああ、そうだった!!)
ペアを組む上に、席だって隣同士。避けるなんて絶対に出来ないじゃないかと、冷や汗が背中を流れた。
(いや、待てよ? 俺が加藤先輩を覚えていても先輩が俺の事を覚えているとは限らないよな? しかも、あの人が本当に加藤先輩かってのもあるし。めちゃくちゃ加藤先輩のそっくりさんかもしれないしな?)
「加藤です。宜しくお願いします」
(ああああ゛~~~~~~!! やっぱりそっくりさんじゃなかった~~~~!!)
パチパチと歓迎する拍手の中で、俺だけ一人感情が忙しかった。先輩が俺の事を忘れていたらなんて自分で考えながら、少しだけ傷つく。(面倒臭いな、俺)
だが、今は覚えていない方が都合が良い。そうだ、先輩の事だ。俺の事をきっと忘れているに違いない。
変に前向きに考え直し、田中さんの肩から離れる。あとは先輩の挨拶を聞きながら、普段通りの業務が始まる。席に戻れば、挨拶を終えた加藤先輩が当然ながら自分の席にやって来て俺の隣に座った。
「おはようございます。これから宜しくお願いします」
ペコッと小さく頭を下げながら、視線は横へ。先輩の顔を見ないようにしていると、椅子を引き立ったままの先輩が俺の急に前のめりになり。俺の顔を覗き込んで言った。
「水野?」
長い前髪は相変わらずで、眠たそうな瞳をグワッと開けて見つめる先輩に、どうして嘘がつけるだろう。
「ハイ、ミズノデス」
あの出会いの時のように、俺は変な声を出しながら名乗ることしか出来なかった。
■会社にいつも通り来たものの②
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