【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華

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■どうやら掴むつもりらしい■

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■どうやら掴むつもりらしい■

 「水野、食べてみてくれ」

「はい……! 頂きます」

今日の昼食は、加藤先輩と一緒。いつものように、食べる前に両手を合わせる。目の前にあるのは、俺が握ってきたおにぎりと、スープ。それからその隣に、もう一つ。
インスタントやテイクアウトを奢って貰ったわけじゃない。先輩が作ってきた昼食。それをゆっくりと口元へと運び、口内で咀嚼。俺の様子を黙って見つめる先輩に、俺は食べずらいと思いつつも、ゴクンとソレを飲み込んだ。

*******

それは、数日前のこと。

「うわっ……加藤先輩。またカップ麺ですか?」

最初の声は、自分でも引き気味だったと思う。
それもそのはず。隣に座っていた加藤先輩が、昼食にするかと声を掛けてきたのは良いが取り出したのが何度目かのカップ麵。

学生の頃から、ちょくちょくカップラーメン味のスナック菓子を食べていたりするのを見たことはある。好きなのかな? と思ってはいるが、俺たちの胃袋や身体は若い頃とは違うわけで。先輩胃もたれとかしないのかな? とか、イケメンなのにお腹が早く出てきたらどうしようかと不安がよぎり、うわっ……と引いてしまったのだ。(頼むから、可能な限りその体型を維持して欲しい)
俺が引いたことに気付いていたい先輩はといえば、何か違う勘違いをして嬉しそうな声を出す。

「ああ。何だ? 今日は水野のおにぎりも食べれるのか?」

「いや、今日俺おにぎり1つしか持ってきてないです」

俺がそう言えば、しゅんっ……とよくテレビの特集で見かけるような、しょげた犬のような表情を浮かべた先輩。

(う゛っ……だけど、本当におにぎり1つしか無いしな)

「先輩、諦めて下さい」

「分かった……」

「でも、そんなにカップ麺ばかり食べてたら、身体に良くないんじゃないですか?」

「なら水野が俺にも作ってくれ。食費は支払う」

「駄目です」

すぐに甘えてこようとした先輩を、ピシャリと断る。俺が言いたいのは、そういうことじゃない。

「サンドイッチとか食べたり、先輩も俺みたいに自炊したらどうですかってことですよ」

「自炊か……分かった」

「俺みたいに、おにぎりとかなら簡単ですよ。100均とかにも型とかもありますし」

「100均っと……今度試しに作ってみる」

わざわざポケットから付箋とペンを取り出して、メモを取った先輩。

「本当ですか!?」

と、話は盛り上がり……──。
あの時は、楽しみだなぁ~なんて言って話は終わった。


だが今日は、いつもの加藤先輩と違うらしい。朝出社して来た時からどこか「ふふん」という表情。(俺にしか分からない程度だが)

「水野」

「おはようございます、加藤主任」

「俺も今日、昼自炊してきた」

(は????)

これが、今日の昼前の出来事。

■どうやら掴むつもりらしい

*********
②まである予定です
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