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最終話 暗室と艶声
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今日の部活はさんざんだった。結局発散されることのなかった欲が全身を覆っている。全く部活に集中できなくて、怪我しかけたし、目が据わっていたらしく別の後輩に少し怖がられた。
いつもの数倍は長く感じた部活がやっと終わり、陽が落ちようとしている。部活をこれまで早く終わってほしいと思ったことなんて初めての気がする。
「はーい、今日の練習は終わり!」
「「「はーい」」」
「掃除とかは明日の朝当番がちゃんとやること!解散!!」
いつもより手早く、練習後のアレコレを済ませる。早く終わらせないと、彼女のことをみんなの前で押し倒してしまいそうで、必死にその欲望を抑え込んでいるのだ。
いつもよりずっと早く終わった顧問への報告など、細々としたことを終わらせて、更衣室に帰ってくる。たぶん彼女がいるはずだから。
「絶対にさー、できてるよね、あの二人」
更衣室の中から聞こえてくるのは部員の声。私がいつもより早く終わらせたのでまだ部員がいる時間だったらしい。
ここまで早足で来ていたのが思わず止まる。
「だってすっごい目で見てたよ?餌あげた猫みたいな顔してたし」
「え~、でもどっちも女じゃん」
「いやいや、今時珍しくもないでしょ。でも部活中にあれはわかりやすすぎ」
「まぁ、それは思ったけど。でも仲川先輩が好きなだけじゃないの?」
「いや、優子もチラチラ見てたよ。先輩気づいてなかったっぽいけど」
「まじ?でも優子ってさぁ」
「うん、いい噂ないよね」
「どれだけ本当かわからないけど、火のないところにって言うし」
「ね、しかも聞きづらいし」
後ろから気配を感じて、何となく振り返る。
後ろには優子がいた。心臓が止まるほど驚いた。いや、中で優子の話をしているんだから、いるはずもないんだけど。
「しーっ」
彼女に手を引かれるままに更衣室から少し離れた場所まで連れていかれる。
「えいっ」
手に持っていたペットボトルを更衣室のほうに投げる。
ひそひそと聞こえていた更衣室が急に静かになる。
「何を」
「だってうるさいし」
「だからって・・・」
思わず彼女に小言を言おうとしたところで更衣室のドアが開く。
「優子、と先輩」
「ごめんね、落としてそのまま蹴っ飛ばしちゃって。驚かせちゃった?」
「あ、いえ、ちょっと驚いただけなので」
「そっか、ならいいんだけど」
「それじゃあ、私たちはこれで」
そそくさと帰っていく後輩たちはきっとこのまま彼女のことを知らないまま彼女のことを話すのだろう。噂の大半は真実だろうが。
「やっと二人きりになれましたね」
部員を見送ってから部室に入る。汗臭さと制汗剤の匂いが混ざって変な匂いで充満している。だからだろうか、今から行うことを考えると少しだけ頭が冷えていく。あれだけあふれ出る欲望に抗っていたのに、冷静になっている自分がいるのだ。
そもそも部活内の治安を守るために彼女とあんなことをしようと言うのに、これから部室で致してしまうのでは本末転倒ではないのだろうか。私自ら部内の風紀を乱しているのではなかろうか。
そんな疑問を孕んだ不安は彼女にはすぐにばれる。
「先輩は悪くないですよ、私に付き合ってくれてるだけですもんね。優しいから」
つくづく気が利く後輩だ、憎たらしい程に。
「ん」
たった二日ほどしか経っていないのに、彼女とのキスはまるで千の秋を超えたかのようで。鼓動が高まっていくのを感じる。
蕩けるようなキスが不安と一緒に心を溶かしていく。自然と伸びた手が彼女を抱きしめる。
マネージャーは部員に比べれば汗をかかないが、今日は暑かったので少し汗のにおいがする。健康的な匂いと彼女の髪の匂いが鼻いっぱいに充満する。
吸われる唇が彼女と混ざり合って、水音が脳内に響く。
口に入ってくる彼女の舌は何となくこの前よりも激しく動いている気がする。絡まる舌が彼女の体温と私の欲を交換していく。
「ぷは」
「激しいのね」
「私だって我慢してましたから」
数時間前の遊んであげる、という言葉なんて忘れたかのような熱っぽい目線が私の心を貫く。
互いに何か言葉を交わすこともなく服を脱ぐ。一秒が惜しい、という感情が心を占めていてそれ以外のことを考えられない。
彼女の唇が私の胸に飛びつく。赤ん坊のように私の胸を吸う姿は先日の彼女の姿とどうしても重なりづらくて少し変な気分。
「あっ」
相も変わらずうまい彼女の舌技に思わず声が漏れる。
舌と一緒に伸びた手が私の乳首を転がす。ぷっくりと膨らむ突起は彼女に触ってもらえて喜んでいるみたいだった。
「気持ちいいですか?」
「もちろん」
「ちょっと座ってください」
彼女に促されるままに更衣室のベンチに座る。
「ちょっ」
彼女はそのまま、躊躇を見せることなく私の足の間に顔を埋める。部活前と今でぐっしょりと濡れて、一度シャワーを浴びたい程度には匂いが籠っている。匂いがここまで届いているというのに、彼女はえづくわけでもなく顔を入れたまま。
「ちゅ」
まるで口づけのような音がする。
「んひゃあっ!」
そこまでされるとは思っていなかったので不意打ちのような衝撃が背中を走る。私の声なんて気に掛けもせずに彼女の舌は止まらない。
指とは違う感触が初めてなのに驚くほど気持ちがいい。細くて、でも指みたいな骨っぽさがなくて、あったかくて、でも指よりも熱い。
ああ、私ってこんなに快楽に弱いんだ。
そんな感想が思考の上澄みを走る。
腰が浮いているのが自分でもわかってしまう。さっきまで疑問に思っていた行為を自ら率先することにもう疑問が無い。そのことに関するなにか思考はあった、でもこれから来るであろう快感のほうが今の私にとって重要な気がする。気づけば彼女の顔を自分の手で押し付けていた。
彼女も苦しそうな様子を見せることもなく、舌も止まらない。
もう少し、もう少しで、大きい快感が来る。そんな確信がいっそう彼女の頭につけた手に力を入れさせる。
「もうすこし、もうすこし、だから」
「ふっ、んっ、あ”っ」
今までのとは確実に違う快感が目の前を走り抜ける。
思わず全身から力が抜ける。
「先輩・・・」
「あっ、ごめん」
流石に不満そうな顔を見せるが、私の愛液と毛で汚れた顔では余計に劣情を煽るだけだ。また下腹部が疼くのを感じる。流石に言えないけど。
「・・・これ以上は付き合ってくれないならしません」
「別にそんなこと言わなくても付き合うつもりだってば」
「・・・ほんと?」
「本当。別に嘘ついてる感じでもなかったし」
「そっか・・・。よかった」
本当にうれしそうにする顔がすごく印象に残った。
いつもの数倍は長く感じた部活がやっと終わり、陽が落ちようとしている。部活をこれまで早く終わってほしいと思ったことなんて初めての気がする。
「はーい、今日の練習は終わり!」
「「「はーい」」」
「掃除とかは明日の朝当番がちゃんとやること!解散!!」
いつもより手早く、練習後のアレコレを済ませる。早く終わらせないと、彼女のことをみんなの前で押し倒してしまいそうで、必死にその欲望を抑え込んでいるのだ。
いつもよりずっと早く終わった顧問への報告など、細々としたことを終わらせて、更衣室に帰ってくる。たぶん彼女がいるはずだから。
「絶対にさー、できてるよね、あの二人」
更衣室の中から聞こえてくるのは部員の声。私がいつもより早く終わらせたのでまだ部員がいる時間だったらしい。
ここまで早足で来ていたのが思わず止まる。
「だってすっごい目で見てたよ?餌あげた猫みたいな顔してたし」
「え~、でもどっちも女じゃん」
「いやいや、今時珍しくもないでしょ。でも部活中にあれはわかりやすすぎ」
「まぁ、それは思ったけど。でも仲川先輩が好きなだけじゃないの?」
「いや、優子もチラチラ見てたよ。先輩気づいてなかったっぽいけど」
「まじ?でも優子ってさぁ」
「うん、いい噂ないよね」
「どれだけ本当かわからないけど、火のないところにって言うし」
「ね、しかも聞きづらいし」
後ろから気配を感じて、何となく振り返る。
後ろには優子がいた。心臓が止まるほど驚いた。いや、中で優子の話をしているんだから、いるはずもないんだけど。
「しーっ」
彼女に手を引かれるままに更衣室から少し離れた場所まで連れていかれる。
「えいっ」
手に持っていたペットボトルを更衣室のほうに投げる。
ひそひそと聞こえていた更衣室が急に静かになる。
「何を」
「だってうるさいし」
「だからって・・・」
思わず彼女に小言を言おうとしたところで更衣室のドアが開く。
「優子、と先輩」
「ごめんね、落としてそのまま蹴っ飛ばしちゃって。驚かせちゃった?」
「あ、いえ、ちょっと驚いただけなので」
「そっか、ならいいんだけど」
「それじゃあ、私たちはこれで」
そそくさと帰っていく後輩たちはきっとこのまま彼女のことを知らないまま彼女のことを話すのだろう。噂の大半は真実だろうが。
「やっと二人きりになれましたね」
部員を見送ってから部室に入る。汗臭さと制汗剤の匂いが混ざって変な匂いで充満している。だからだろうか、今から行うことを考えると少しだけ頭が冷えていく。あれだけあふれ出る欲望に抗っていたのに、冷静になっている自分がいるのだ。
そもそも部活内の治安を守るために彼女とあんなことをしようと言うのに、これから部室で致してしまうのでは本末転倒ではないのだろうか。私自ら部内の風紀を乱しているのではなかろうか。
そんな疑問を孕んだ不安は彼女にはすぐにばれる。
「先輩は悪くないですよ、私に付き合ってくれてるだけですもんね。優しいから」
つくづく気が利く後輩だ、憎たらしい程に。
「ん」
たった二日ほどしか経っていないのに、彼女とのキスはまるで千の秋を超えたかのようで。鼓動が高まっていくのを感じる。
蕩けるようなキスが不安と一緒に心を溶かしていく。自然と伸びた手が彼女を抱きしめる。
マネージャーは部員に比べれば汗をかかないが、今日は暑かったので少し汗のにおいがする。健康的な匂いと彼女の髪の匂いが鼻いっぱいに充満する。
吸われる唇が彼女と混ざり合って、水音が脳内に響く。
口に入ってくる彼女の舌は何となくこの前よりも激しく動いている気がする。絡まる舌が彼女の体温と私の欲を交換していく。
「ぷは」
「激しいのね」
「私だって我慢してましたから」
数時間前の遊んであげる、という言葉なんて忘れたかのような熱っぽい目線が私の心を貫く。
互いに何か言葉を交わすこともなく服を脱ぐ。一秒が惜しい、という感情が心を占めていてそれ以外のことを考えられない。
彼女の唇が私の胸に飛びつく。赤ん坊のように私の胸を吸う姿は先日の彼女の姿とどうしても重なりづらくて少し変な気分。
「あっ」
相も変わらずうまい彼女の舌技に思わず声が漏れる。
舌と一緒に伸びた手が私の乳首を転がす。ぷっくりと膨らむ突起は彼女に触ってもらえて喜んでいるみたいだった。
「気持ちいいですか?」
「もちろん」
「ちょっと座ってください」
彼女に促されるままに更衣室のベンチに座る。
「ちょっ」
彼女はそのまま、躊躇を見せることなく私の足の間に顔を埋める。部活前と今でぐっしょりと濡れて、一度シャワーを浴びたい程度には匂いが籠っている。匂いがここまで届いているというのに、彼女はえづくわけでもなく顔を入れたまま。
「ちゅ」
まるで口づけのような音がする。
「んひゃあっ!」
そこまでされるとは思っていなかったので不意打ちのような衝撃が背中を走る。私の声なんて気に掛けもせずに彼女の舌は止まらない。
指とは違う感触が初めてなのに驚くほど気持ちがいい。細くて、でも指みたいな骨っぽさがなくて、あったかくて、でも指よりも熱い。
ああ、私ってこんなに快楽に弱いんだ。
そんな感想が思考の上澄みを走る。
腰が浮いているのが自分でもわかってしまう。さっきまで疑問に思っていた行為を自ら率先することにもう疑問が無い。そのことに関するなにか思考はあった、でもこれから来るであろう快感のほうが今の私にとって重要な気がする。気づけば彼女の顔を自分の手で押し付けていた。
彼女も苦しそうな様子を見せることもなく、舌も止まらない。
もう少し、もう少しで、大きい快感が来る。そんな確信がいっそう彼女の頭につけた手に力を入れさせる。
「もうすこし、もうすこし、だから」
「ふっ、んっ、あ”っ」
今までのとは確実に違う快感が目の前を走り抜ける。
思わず全身から力が抜ける。
「先輩・・・」
「あっ、ごめん」
流石に不満そうな顔を見せるが、私の愛液と毛で汚れた顔では余計に劣情を煽るだけだ。また下腹部が疼くのを感じる。流石に言えないけど。
「・・・これ以上は付き合ってくれないならしません」
「別にそんなこと言わなくても付き合うつもりだってば」
「・・・ほんと?」
「本当。別に嘘ついてる感じでもなかったし」
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本当にうれしそうにする顔がすごく印象に残った。
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