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自分で棺を閉めるミイラ
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気が付いたら朝陽が差し込んでいた。強烈な朝陽は何よりも効果的な目覚まし時計となる。全身に残る鈍痛未満が明日か明後日か、いつかやってくる筋肉痛を教える。
昨夜のことを思い出すだけで顔から火が出そうだ。こんな十歳近くも年の離れた恋人でもない彼にあんな行為をしたことを。年上の私が節操を持たなけれないけないというのに。彼の声に、彼の体に、逆らうことも拒むことも出来ずに最後まで流された。
ホテルから出た後も流されてこうやって部屋にあげて、二回戦をシて気づけば朝だ。ホテルまではアルコールで言い訳も立つかもしれないが、こうやって家まで上げたらもう言い訳のしようもない。何よりあの子に何て言えばいいのかわからない。
「ん・・・」
回想は隣で動いたもう一人に遮られる。・・・本当にいつの間にか、という感じだった。全然そんなつもりはないというのに。気づけばこうなっている。
「・・・おはようございます」
「おはよう。体中が痛いんだけど」
「・・・色々しましたからね。二度寝しません?」
「ダメ。休みだからって寝腐ってたら月曜に響くんだから」
「えー」
不満そうな顔をしながら決して広くは無いベッドに体を起こす。というか流石に二人は狭い。じくじくと疼く体を勢いで起こす。シャワーでも浴びれば開ききらない目も体も起きるだろうと思って。
「ふう」
シャワーを浴びて部屋に戻れば彼はベッド上でゆっくりと船を漕いでいた。よく見れば彼の体には昨日の痕がついている。私の唇の色が花を咲かせて、背中を見れば引っかき傷みたいなものが見える。何だかどんどんと罪悪感がこみ上げてくる。彼にも、彼女にも。
「おはようございます」
「二回目ね、顔だけでも洗ってきたら?」
「そうするっす」
帰って来た彼の顔は眠気が醒めたいつも通り、でもない気の抜けた顔をしていた。てっきり会社の状態が素に近いのかと思っていたのだが、そうでもないらしい。
「意外かも」
「何がです?」
「その感じ」
「ああ。まあ流石に会社でこんな風にしませんよ」
「まあそれもそうか」
会社で猫を一切かぶらない方が無理だ。
「で、この手は何?」
いつの間にか私の後ろに陣取り、抱きしめている彼に聞いても楽しそうな漏れる笑い声しか返ってこない。素肌の熱は暖房よりも簡単に体温を上げるし、昨日のことを体が思い出すのにもそんなに時間は必要ない。
「いえ?柔らかくていいなぁって」
「・・・誉め言葉として貰っておくね」
「素直じゃないですね。夜のことはもう忘れたんですか?」
「今は夜じゃ、んぁっ」
私に最後まで言葉を言わせることなく、彼の指は私の下腹部を押し込む。昨日のように、昨晩のように、散々おかしくさせるあの声で、あの指で。
「逃げないでくださいよ」
体を折って快楽を逃がすこともできないまま、彼の腕の中でまた声を浴びる。実のところ、こんなことになる気はしていた。服を着ていない彼も、タオル一枚で彼の傍に戻ったことも、昨日の続きがまたあるかもしれないと思わせるには十分で。そんなことはいけない、なんて理性も社会性も昨晩のうちにどこかに落としてしまったらしい。
「・・・」
「もう止めるフリもしないんですね」
「明日は絶対にしないからね。筋肉痛がすごそうだし」
「ふふ、今日はいいんですね」
「うるさい」
また彼の指が私の体をなぞる。太ももをのぼる指はそれだけで足が性感帯になったみたいに気持ちいい。足を閉じたところで指を防ぐことなんて出来ない。内側を静かになぞりながら、じっくりと昇ってくる。その期待は露を溢れさせてまたベッドを濡らす。よく見ればどのみち洗濯はしなければいけないのでまた濡らしたところで今さらでもある。
甘い痺れは背中をはいずり回って、脳を揺らす。指は、いつの間にかとっくに入口に達していて、もう中に入るだけのところで私を焦らす。周りをなぞるように、ゆっくりと、ゆっくり、近づいたり、離れたり。
「焦らさなくたって、いいでしょう」
「先輩、可愛いから」
理由になっていない理由でただ焦らされる。イケそうな寸前でその手は離れていく。波が引いたと思ったらまた指がくる。その繰り返しはいつの間にか、私の年上という矜持すらぐちゃぐちゃにふやかしてしまった。
「も、もういいでしょ・・・?」
「うーん、もっと可愛くできませんか?」
「な、何を」
「でも、このままだとずっと生殺し状態ですよ?」
「う」
「ほらほら」
「・・・お、お願いします。私をイかせてください」
「・・・意外といいっすね」
「意外って、君。きゃっ」
背中を支えていた彼を失った私は後ろに落ちる。幸い枕があるので痛い思いはしていないが。私の後ろから抜けだした彼はいつものゆったりの動きから想像できないほど俊敏な動きで私の上に乗る。
「あんっ」
入口に当たる熱の塊は紛れもなく昨日の記憶の通りで、酒精で多少霞んでいる記憶を鮮明にさせるには十分だ。もう散々声なんて聞かれたはずでも昼に酒も入っていない理性にはやっぱり恥ずかしい。
奥まで入ってもさすがに昨日の今日で慣れたのか、苦しさや異物感よりも快感の方がずっと大きい。それは昨日よりも余裕があることを意味するわけでもないのだが。
「なんか、昨日よりも気持ちよさそうですね。慣れました?」
「・・・うるさい」
奥までみっちりと埋まった中で彼の脈動を感じる気がする。昨日よりもずっと近く感じる熱と比例するように彼の唇が近いづいてくる。
「んんっ。もっと激しめ、でもいいよ」
「Mなんです?それとも甘えたい気分なんです?」
「・・・っ」
答えを聞く気なんてなさそうな腰使いはさっきよりも強くなって、肉と肉がぶつかる音が響く。内側をこすられる感覚もお尻に当たる彼の腰も全部が全部、興奮する材料でしかなくて、爆発しそうな心臓の鼓動を感じていた。
「あっ、ああっ。ダ、ダメ・・・」
彼の腰使いは弱まる気配を見せることもなく、むしろ激しさを更に増していく。腰を掴む力も強く、絶対に逃がさないという意思が伝わってくるかのようだった。どのみち逃げる気なんてどこにもなくて、とっくに心が堕ちていることはわかっていたはずなのに。
砕け切った腰では彼の手で上に持ち上げられているのが限界なのに、心臓が破裂しそうなのに、足がつりそうなのに、その全てを差し置いて今この瞬間の快楽が欲しい、と本能が叫んでいる。下腹部の痙攣を感じる。全身の毛穴から汗が染み出ている。目のまえの白いチラつきが過去最大の絶頂を予感させる。
「んーーーーーーーーっ」
可愛い声なんて出るわけもない。ただ、全身を貫く刺激と弛緩する体が一日で快復するのだろうかという疑問だけが意識を手放す直前の最後の思考だった。
ミイラ取りを手伝えば、ミイラになるのも仕方がないのかもしれない。隣でまた夜酒を呷る彼の横顔を覗き込みながらそんなことを思った。意識を取り戻すころにはもう夕方になっていて、とりあえずで夕食だけ作り、酒を要求する彼に冷蔵庫の肥しを渡した。
「ん」
視線に気づいた彼はいつも通りの人好きのする笑顔を見せる。きっと私は彼から抜け出せない。本当にごめんなさい。心の中で恋愛相談をしてきた後輩に詫びた。
昨夜のことを思い出すだけで顔から火が出そうだ。こんな十歳近くも年の離れた恋人でもない彼にあんな行為をしたことを。年上の私が節操を持たなけれないけないというのに。彼の声に、彼の体に、逆らうことも拒むことも出来ずに最後まで流された。
ホテルから出た後も流されてこうやって部屋にあげて、二回戦をシて気づけば朝だ。ホテルまではアルコールで言い訳も立つかもしれないが、こうやって家まで上げたらもう言い訳のしようもない。何よりあの子に何て言えばいいのかわからない。
「ん・・・」
回想は隣で動いたもう一人に遮られる。・・・本当にいつの間にか、という感じだった。全然そんなつもりはないというのに。気づけばこうなっている。
「・・・おはようございます」
「おはよう。体中が痛いんだけど」
「・・・色々しましたからね。二度寝しません?」
「ダメ。休みだからって寝腐ってたら月曜に響くんだから」
「えー」
不満そうな顔をしながら決して広くは無いベッドに体を起こす。というか流石に二人は狭い。じくじくと疼く体を勢いで起こす。シャワーでも浴びれば開ききらない目も体も起きるだろうと思って。
「ふう」
シャワーを浴びて部屋に戻れば彼はベッド上でゆっくりと船を漕いでいた。よく見れば彼の体には昨日の痕がついている。私の唇の色が花を咲かせて、背中を見れば引っかき傷みたいなものが見える。何だかどんどんと罪悪感がこみ上げてくる。彼にも、彼女にも。
「おはようございます」
「二回目ね、顔だけでも洗ってきたら?」
「そうするっす」
帰って来た彼の顔は眠気が醒めたいつも通り、でもない気の抜けた顔をしていた。てっきり会社の状態が素に近いのかと思っていたのだが、そうでもないらしい。
「意外かも」
「何がです?」
「その感じ」
「ああ。まあ流石に会社でこんな風にしませんよ」
「まあそれもそうか」
会社で猫を一切かぶらない方が無理だ。
「で、この手は何?」
いつの間にか私の後ろに陣取り、抱きしめている彼に聞いても楽しそうな漏れる笑い声しか返ってこない。素肌の熱は暖房よりも簡単に体温を上げるし、昨日のことを体が思い出すのにもそんなに時間は必要ない。
「いえ?柔らかくていいなぁって」
「・・・誉め言葉として貰っておくね」
「素直じゃないですね。夜のことはもう忘れたんですか?」
「今は夜じゃ、んぁっ」
私に最後まで言葉を言わせることなく、彼の指は私の下腹部を押し込む。昨日のように、昨晩のように、散々おかしくさせるあの声で、あの指で。
「逃げないでくださいよ」
体を折って快楽を逃がすこともできないまま、彼の腕の中でまた声を浴びる。実のところ、こんなことになる気はしていた。服を着ていない彼も、タオル一枚で彼の傍に戻ったことも、昨日の続きがまたあるかもしれないと思わせるには十分で。そんなことはいけない、なんて理性も社会性も昨晩のうちにどこかに落としてしまったらしい。
「・・・」
「もう止めるフリもしないんですね」
「明日は絶対にしないからね。筋肉痛がすごそうだし」
「ふふ、今日はいいんですね」
「うるさい」
また彼の指が私の体をなぞる。太ももをのぼる指はそれだけで足が性感帯になったみたいに気持ちいい。足を閉じたところで指を防ぐことなんて出来ない。内側を静かになぞりながら、じっくりと昇ってくる。その期待は露を溢れさせてまたベッドを濡らす。よく見ればどのみち洗濯はしなければいけないのでまた濡らしたところで今さらでもある。
甘い痺れは背中をはいずり回って、脳を揺らす。指は、いつの間にかとっくに入口に達していて、もう中に入るだけのところで私を焦らす。周りをなぞるように、ゆっくりと、ゆっくり、近づいたり、離れたり。
「焦らさなくたって、いいでしょう」
「先輩、可愛いから」
理由になっていない理由でただ焦らされる。イケそうな寸前でその手は離れていく。波が引いたと思ったらまた指がくる。その繰り返しはいつの間にか、私の年上という矜持すらぐちゃぐちゃにふやかしてしまった。
「も、もういいでしょ・・・?」
「うーん、もっと可愛くできませんか?」
「な、何を」
「でも、このままだとずっと生殺し状態ですよ?」
「う」
「ほらほら」
「・・・お、お願いします。私をイかせてください」
「・・・意外といいっすね」
「意外って、君。きゃっ」
背中を支えていた彼を失った私は後ろに落ちる。幸い枕があるので痛い思いはしていないが。私の後ろから抜けだした彼はいつものゆったりの動きから想像できないほど俊敏な動きで私の上に乗る。
「あんっ」
入口に当たる熱の塊は紛れもなく昨日の記憶の通りで、酒精で多少霞んでいる記憶を鮮明にさせるには十分だ。もう散々声なんて聞かれたはずでも昼に酒も入っていない理性にはやっぱり恥ずかしい。
奥まで入ってもさすがに昨日の今日で慣れたのか、苦しさや異物感よりも快感の方がずっと大きい。それは昨日よりも余裕があることを意味するわけでもないのだが。
「なんか、昨日よりも気持ちよさそうですね。慣れました?」
「・・・うるさい」
奥までみっちりと埋まった中で彼の脈動を感じる気がする。昨日よりもずっと近く感じる熱と比例するように彼の唇が近いづいてくる。
「んんっ。もっと激しめ、でもいいよ」
「Mなんです?それとも甘えたい気分なんです?」
「・・・っ」
答えを聞く気なんてなさそうな腰使いはさっきよりも強くなって、肉と肉がぶつかる音が響く。内側をこすられる感覚もお尻に当たる彼の腰も全部が全部、興奮する材料でしかなくて、爆発しそうな心臓の鼓動を感じていた。
「あっ、ああっ。ダ、ダメ・・・」
彼の腰使いは弱まる気配を見せることもなく、むしろ激しさを更に増していく。腰を掴む力も強く、絶対に逃がさないという意思が伝わってくるかのようだった。どのみち逃げる気なんてどこにもなくて、とっくに心が堕ちていることはわかっていたはずなのに。
砕け切った腰では彼の手で上に持ち上げられているのが限界なのに、心臓が破裂しそうなのに、足がつりそうなのに、その全てを差し置いて今この瞬間の快楽が欲しい、と本能が叫んでいる。下腹部の痙攣を感じる。全身の毛穴から汗が染み出ている。目のまえの白いチラつきが過去最大の絶頂を予感させる。
「んーーーーーーーーっ」
可愛い声なんて出るわけもない。ただ、全身を貫く刺激と弛緩する体が一日で快復するのだろうかという疑問だけが意識を手放す直前の最後の思考だった。
ミイラ取りを手伝えば、ミイラになるのも仕方がないのかもしれない。隣でまた夜酒を呷る彼の横顔を覗き込みながらそんなことを思った。意識を取り戻すころにはもう夕方になっていて、とりあえずで夕食だけ作り、酒を要求する彼に冷蔵庫の肥しを渡した。
「ん」
視線に気づいた彼はいつも通りの人好きのする笑顔を見せる。きっと私は彼から抜け出せない。本当にごめんなさい。心の中で恋愛相談をしてきた後輩に詫びた。
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