【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま

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アデライト  逆行復讐編

マカロン家大掃除当日

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大量の真っ赤な血が私を覆い隠し、目の前で倒れているルカに手を伸ばそうとするけれど届かない……何度も何度も何度も何度も呼んでも貴方はピクリとも動いてないのよ。ただ…心臓の音だけがハッキリと聞こえる。

ルカの心臓を奪い、我が者顔で生きてる奴を八つ裂きにしないと気が済まない。

「……ッハッ!!ハァ…ハァハァ……!なんで……また……こんな夢…。ルカはいる。生きてる。大丈夫よ。問題ないわ」

気づいたら、もう朝だった。朝見た夢があまりにもリアルで気分が悪かったので、朝食はいらないとメイドに伝えた。私は薄いオレンジ色のドレスに着替えて待っていた。

そう我が父の兄である伯父のシリウス・マカロンを。
彼は本来の次期マカロン家当主になる筈だったのをアッサリとお父様に負けた。ワザと負けたのでしょうけど……前回はソフィアが伯父に会いに行って、お父様お母様が捕まった後も、アメリーと共にマカロン家を再建させた。

仕事も早く出来る、いい稼ぎ頭になるのに丁度良いもの。

「さて、そろそろだわ。…ねえ、お父様とお母様の様子はどうなの?」

私の部屋に控えているメイドの一人が少し困った顔をしながら話す。

「朝食の時間は一緒に過ごしておりますが、お二人とも言い争っておりますというか、旦那様が奥様を責めているようで……」

「…そう。もう下がってちょうだい」

ふふ、お父様は裏帳簿が無くなった事に気づいたのね。裏帳簿を知っている人間はお父様、お母様、そして私だったわ。前回の私は17歳に教えられたのだけど、まさか11歳の私がとは思ってもいないでしょうね。

前回はソフィア、いえ多分アメリーが、ソフィアが気づくように仕向けた筈。ソフィアはシリウス伯父様に書類などを渡してたんでしょうね。

「……やられる方はとばっちりで腹が立つわね。アメリーには躾なおさないといけないわね」

そう考えながら、階段を降りようとした時

「この馬鹿ものがああああ!!!」

パリン!と何かが割れる音とお父様の怒鳴り声が屋敷内に響いた。玄関ホール先には正座をしているソフィアと、ソフィアを庇ったのか頰から血が出ているジェイコブお兄様がいた。

お父様の隣にはお母様がアメリーを抱きながら、ソフィアを叱っていた。

「ジェイコブまで、おかしな事をしてるなんて!ソフィア!あなたが変な事を吹きこんだからよ!お前は本当に何をやってもだめね!」

「…女が剣術を習うだと!?恥を知れ!恥を!アデライトのようになれと何度も言っているだろう!お前がこんなんだから、ジェイコブもおかしくなったんだな!見ろ!ソフィア!お前が心配ばかりさせるから頭の髪がまた無くなったじゃないか!」

「…お父様、それは元々でーー」

パァン!とお父様はソフィアの頰を叩いた。ソフィアは涙を流して俯き、ジェイコブお兄様はソフィアを庇うようにお父様達に訴えていた。

「父上!母上!ソフィアは悪くないです!僕は………僕は…剣よりも……あ、あああ編み物とお菓子作りが大好きなん、です!!!」

まだあの乙女な趣味が好きだったのね。前回もやたらとクッキーやらなんやら渡すから、やっぱりとは思っていたけど。

ジェイコブお兄様の発言にお父様はさらに怒り出し、お母様は「冗談よね?ジェイコブ、今ならお母様達は許してあげるわ」とジェイコブお兄様の肩を触ると、ジェイコブお兄様はお母様の手を振り払った。

「…ふふ。あらあら、今回のお兄様は少し違うようね」

ジェイコブお兄様は、お父様とお母様のソフィアに対する扱いも、自分の事も、この家はおかしいと話す。

「…あと、アデライトもおかしい!確実におかしくなったんだ!」

……あとで、また新作の栄養ドリンクをお兄様に飲ませてあげるわ。



「よしよし、アメリー…あなたは、ダメよ。あんな子になっては」

そうアメリーをあやすお母様に私はそっと寄り添いながら話しかけた。

「お母様、私がアメリーを抱いてますわ」

「アデライト…あぁ、貴女はやっぱり長女ね。ソフィアのせいで、ジェイコブがおかしな事をいいだすのよ。お父様がもう頭にきていて……」

「アデライト!お前はアメリーを連れて、別の場所に移動しろ。貴族らしさもないこの二人を私は罰せねばならん!!誇り高き由緒正しいマカロン家なのに!」

私はそっとアメリーを抱き上げる。あんなに怒鳴り声やら、音があっても泣かずにすやすやと寝ているわ。図太い子なのは確かね。
私はまた階段を登った後、くるりと振り向き、フロアにいるお父様達を見下すように笑った。

「あら、ふふふ、誇り高き由緒正しいマカロン家?貴族らしく?……ぷっ……あはははは!!嫌だわ!お父様ったら……頭も禿げるだけでおかしいのに、お馬鹿ね」

「…え?アデライト?」

アデライトが家族に見せた事がない顔をすると、屋敷にいた全員、顔を青ざめていた。とても冷たい目と表情をしていたからだ。


「お父様、お母様……私が知らないとでも?今回のあの聖スピカ病院の子供達の臓器売買の件とか、あなた達が一番深く関わっているじゃない」

そう、アデライトが話すと二人は更に青ざめた顔をしていた。その時扉が開かれた。ナタリアと
シリウス・マカロンが現れた。

シリウスはハァとため息を出しながら、チラッと自分の弟を見て、またため息を出した。


「さて…アデライト・マカロンとは君かい?」

シリウスは泣いているソフィアに手を貸して起き上がらせたが、ソフィアはフルフルと首を横に降る。上の階段にいる赤子を抱いてる銀色の巻き髪の少女を見て納得した。

「……なるほど、君か。私に手紙を出したのは」

「初めまして。シリウス伯父様」

ニッコリと可愛いらしく笑顔と優雅な挨拶をするアデライトに、少しシリウスは考えていた。

「なななんで兄上が!!?」

「うるさい。愚弟が。話かけるな。もう少しで騎士団がくる。最後に子供達に挨拶でもするんだな」

「は!?あ!?なななな何を言って!アデライト!!何故シリウスと連絡を!?シリウス!お前もノコノコと!」



シリウスとアデライトは、同じような冷たい目でジェイソンに微笑みかける。

「「もう終わりですわ(だ)」」

そう二人の声が響いていた。
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