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マリエとトム
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月に一度僕と彼女は星を眺める約束をしている。
約束というか、ずっと昔から僕達はたまにこうして会っている。
誰にも邪魔されずに、会話も特に弾むわけではない。
ただ一緒に星を眺めているだけ。
いつもの時間いつもの場所へ向かうと、彼女はそこでまっていた。
「あれ?マリエのほうが早くまってたんだね。ごめんね、寒かったよね」
鼻を真っ赤にしながら多分だいぶまっていたかもしれない。
「ふっ、ふん!レディを待たせるとは紳士としては恥ですわよ!トムは大体昔から、のほほんとしてるのが、っクチュん!!」
くしゃみも可愛いらしいなあと眺めていたら、
顔を真っ赤に恥ずかしそうに俯くマリエお嬢様。
「膝かけをもってきたからどうぞー。あ、あと夜食に芋だよ」
「サツマイモ?え、そのまま食べるの?」
彼女は貴族だ。しかも上位貴族の娘。
庶民が食べるものなどあまり口にしないだろう。
「これをね、落ち葉で包んで焼いたんだよ。おいしいよ?食べないかな?」
「たたたたっ、と!たったっ食べるわ!」
ホコホコのサツマイモを食べ慣れてない感じで頬張る姿に、和むなあと笑ってたら彼女はまた顔を赤くし食べる姿を見せずそっぽ向いてもぐもぐ食べてる。
マリエは今エリオス様の婚約者だ。
そんな婚約者の方とこうして2人っきりで会うのは、立場的に誰かに見つかったら僕は何処かに飛ばされてしまうだろう。
マリエは学園では悪女だと言われている。勿論マリエの味方もいる。とても心強い味方がね。
どんなに悪女だ、ひどいとか、令嬢として失格とか言われてもいつも背筋を伸ばして堂々している。
以前エリオス様に呼ばれた事がある。
マリエと婚約発表からすぐの後だった。
「今のトムだと誰もが反対されるよ。それなりに覚悟が必要なんだ」
そう、僕は何も持っていない。後ろ盾も彼女を守る術がないんだ。
「多分、今後トムのやりたい事、夢とか違う方向になる可能性がある。」
それは自分の店、薔薇園を開く夢を諦める事を指しているのだろう。僕は考えた、いや、考えることでもない。
「エリオス王子」
「なに?」
「僕はね、とても昔から欲深いやつなんです」
エリオス王子はクスクス笑った。
「そうか。そんな欲が強いやつだと思わなかったよ」
「んー目の前にいる友人に似てしまったのでしょうね」
エリオス王子は少し驚いて笑った。
「うん、トムは欲深いやつだってこと認識しとくよ」
あれから僕は僕なりにやらなきゃいけないことが沢山できた。
「…ト、トム?ボーとしてどうしたの?あの、寒いからもう帰る?」
そろそろ自分の部屋に戻るかと話しをしていたとき
「ねえ!!クロ!芋よ!焼き芋の匂いがするわ!」
「本当ですねえ、でもこんな時間に芋を食べる人間などこの屋敷にはいませんよ。ほら、もう寝てください。サダコとかいう人いないので」
「でも芋の匂いが気になるなあー。焼き芋にバターのせて食べたいなあ」
マリアお嬢様の声とクロ君の声が聞こえた。
とっさに、僕達は2人に見つからないように隠れた。
マリエと目が合い、僕達は焼き芋を片手に持ちながらクスクス笑いあった。
今夜の星もとても綺麗だった。
約束というか、ずっと昔から僕達はたまにこうして会っている。
誰にも邪魔されずに、会話も特に弾むわけではない。
ただ一緒に星を眺めているだけ。
いつもの時間いつもの場所へ向かうと、彼女はそこでまっていた。
「あれ?マリエのほうが早くまってたんだね。ごめんね、寒かったよね」
鼻を真っ赤にしながら多分だいぶまっていたかもしれない。
「ふっ、ふん!レディを待たせるとは紳士としては恥ですわよ!トムは大体昔から、のほほんとしてるのが、っクチュん!!」
くしゃみも可愛いらしいなあと眺めていたら、
顔を真っ赤に恥ずかしそうに俯くマリエお嬢様。
「膝かけをもってきたからどうぞー。あ、あと夜食に芋だよ」
「サツマイモ?え、そのまま食べるの?」
彼女は貴族だ。しかも上位貴族の娘。
庶民が食べるものなどあまり口にしないだろう。
「これをね、落ち葉で包んで焼いたんだよ。おいしいよ?食べないかな?」
「たたたたっ、と!たったっ食べるわ!」
ホコホコのサツマイモを食べ慣れてない感じで頬張る姿に、和むなあと笑ってたら彼女はまた顔を赤くし食べる姿を見せずそっぽ向いてもぐもぐ食べてる。
マリエは今エリオス様の婚約者だ。
そんな婚約者の方とこうして2人っきりで会うのは、立場的に誰かに見つかったら僕は何処かに飛ばされてしまうだろう。
マリエは学園では悪女だと言われている。勿論マリエの味方もいる。とても心強い味方がね。
どんなに悪女だ、ひどいとか、令嬢として失格とか言われてもいつも背筋を伸ばして堂々している。
以前エリオス様に呼ばれた事がある。
マリエと婚約発表からすぐの後だった。
「今のトムだと誰もが反対されるよ。それなりに覚悟が必要なんだ」
そう、僕は何も持っていない。後ろ盾も彼女を守る術がないんだ。
「多分、今後トムのやりたい事、夢とか違う方向になる可能性がある。」
それは自分の店、薔薇園を開く夢を諦める事を指しているのだろう。僕は考えた、いや、考えることでもない。
「エリオス王子」
「なに?」
「僕はね、とても昔から欲深いやつなんです」
エリオス王子はクスクス笑った。
「そうか。そんな欲が強いやつだと思わなかったよ」
「んー目の前にいる友人に似てしまったのでしょうね」
エリオス王子は少し驚いて笑った。
「うん、トムは欲深いやつだってこと認識しとくよ」
あれから僕は僕なりにやらなきゃいけないことが沢山できた。
「…ト、トム?ボーとしてどうしたの?あの、寒いからもう帰る?」
そろそろ自分の部屋に戻るかと話しをしていたとき
「ねえ!!クロ!芋よ!焼き芋の匂いがするわ!」
「本当ですねえ、でもこんな時間に芋を食べる人間などこの屋敷にはいませんよ。ほら、もう寝てください。サダコとかいう人いないので」
「でも芋の匂いが気になるなあー。焼き芋にバターのせて食べたいなあ」
マリアお嬢様の声とクロ君の声が聞こえた。
とっさに、僕達は2人に見つからないように隠れた。
マリエと目が合い、僕達は焼き芋を片手に持ちながらクスクス笑いあった。
今夜の星もとても綺麗だった。
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