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転生したみたいです
しおりを挟む「ルナ、アルテミス王子だ。精一杯尽くして守ってあげなさい」
そう父に言われて私はキラキラした銀色の髪で青い目と赤い目のオッドアイな可愛らしい王子に挨拶をした瞬間、思い出してしまった。
ここはあの恋愛小説の世界だと。ほら、よくある心の傷を負った王子様がヒロインと出会い、勿論ライバルの男性が現れてたりするけど二人は恋に落ちてハッピーエンド的なやつよ、うんうん!
で、私は悪役令嬢でもなく、ヒロインでもなく、王子の側近で幼なじみのモブキャラ執事「ルナ」だわ。
目の前にいるのは、大好きなキャラクター、アルテミス王子だわ!
プイッとぶっきらぼうな態度のアルテミス王子は私を睨みながら
「…俺専用の護衛兼執事??いらないっ」
そう言って走り去るアルテミス王子。あらら、反抗期だわ。
「あぁ…君ならきっと仲良くなれると思ったんだけどなあー」
「私なら大丈夫です。アルテミス王子の元へ行ってまいりますので、それでは」
ぺこりと王様と父上に頭を下げて王子の元へ行くと王子はちょこんと座りながら小さな川を眺めていた。
「アルテミス王子…」
「お前も…気持ち悪いんだろう?この目が!みんな影で言っている」
そう、アルテミス王子の目はオッドアイが故に実の母親である王妃に化け物だと言われて傷つく。メイドも執事も彼を避けている。アルテミス王子には弟がいるけれどみんな彼の方に世話をして、アルテミス王子を蔑ろにしている現状を知った王様は友人であり側近の私の父に相談したってことよね。同い年だし、私は早く父上みたいな立派な人になりたいから勉強も含めてオッケーしちゃったんだわ。
「気持ち悪くないですよ?それなら、私の目ん玉と交換しましょうか?」
「……お前…冗談でもそれは引くぞ」
「ふふ、それは残念です」
「お前…強いのか?」
「王子よりかは強いですねぇ」
ムッとした王子は、なら俺と闘えと挑むものの私に完敗した。何度も何度も私達は何も言わず、剣で競うものの王子は私に勝てなかった。頑張って私に勝とうとするその意気込みは素晴らしいです!
「ハァハァ…お前、、、なんで汗一つださないんだよ…」
「えー?疲れてますよ?王子が弱いんじゃないんですか?あ、お茶の時間にしましょうか?」
そう小さな川を渡ろうとした時、アルテミス王子は私の腕を掴み
「まて!まだ勝負はー」
「あ。」
バシャン!!!!
私はずぶ濡れになってしまった。んーせっかくの執事服が台無しだわ!仕方ない、洗濯をお願いしようと私は上着を脱ぎ、王子の服はかかってないか聞こうとしたら、何故か王子は固まっていた。
「………」
「…王子?」
「お、おまえ…」
「はい?なんですか?」
「女だったのか!!!?」
性別で問われるなら、私は女です!はい!
「へへ、女ですねー」
「なんで、女のおまえが執事の格好を!メイドとかだろう!普通は!」
「普通ってなんですかね!?執事のほうが格好良いからに決まってるからでしょう!」
ドヤ顔をしたら王子は心底馬鹿にしたような顔をして
「お前は馬鹿か!?父上もこの事を知って…」
コクリと頷くと王子は王様と父上の元へ走って何やら色々騒いでいた。
「父上!なぜ令嬢たるものが執事の格好をさせているんです!」
王様と父上はお互い見てから笑いながら
「「なんか面白いから」」と言いきってたわね!ナイス!
しょうがないじゃない?メイドの格好より、執事の格好が格好いいんだもの!ズボンだし、動きやすいしね!それに女らしく振る舞う必要ないもの!
「アルテミス王子、とりあえずお茶にしましょうね。私王宮のチーズケーキが大好きなので楽しみなんです」
「執事はチーズケーキなんて食べれないぞ!てか、早くお風呂に入って着替えろ!」
原作のアルテミス王子はクールな人のはずなのに、まだ小さいからかな?なんだか、おかんみたいよ。
ともあれ、私はこの恋愛小説へ転生しちゃったみたいだから優雅に物語にでる彼らを温かく見守りましょう!
「手を拭いたか?」
「まだです」
「髪がまだ濡れている」
「自然に乾きますよー」
王様は「はっはっはっ!どっちがお世話しているかわからんな」と笑っていた。
応援ありがとうございます!
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