スキル【無】の俺が世界最強〜スキルの無い人間は不要と奈落に捨てられたが、実は【無】が無限に進化するSSS級スキルだと判明した件〜

茨木野

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02.ヒドラに【無】双する

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 俺、松代《まつしろ》 才賀《さいが》。
 クラスメイトたちと異世界転生するはずが、スキル【無】のFラン勇者だったせいで、ダンジョンに廃棄させられた。

 俺の目の前には、巨大な毒蛇。
 ネット小説とかでよく見かける、ヒドラってやつだろうが……。

 そんなバケモノが、目の前にいた……。
 
「う、うわぁあああああああああああああああああ!」

 俺は叫びだし、その場から逃げ出す……!
 無理だ……あんなの勝てっこない!

 だが……!

「行き止まり!?」

 目の前には壁! 周囲を見渡しても、出口らしい場所は無い……!
 目の前の毒蛇の向こうには……穴らしきものがあった。

「嘘だろ……出口あそこだけかよ!? ヒドラを倒さないと……でれないってことかよぉ!」

 シュウゥウ……。

 ヒドラの口から紫色の煙が漏れる。
 それはこの部屋に充満していく。

「げほっ! ごほっ! ごほっ! の、のどが……いってえ……! 目も……あぁあ!」

 毒が俺の喉と目……つまり、粘膜を焼く。
 ヒドラの毒が俺の体をむしばんでいく。

 苦しい……痛い……!
 ……こんな暗い場所で、死ぬのか……? 俺は……。

 いきなり女神によびだされて、Fランクの烙印をおされて、ダンジョンに捨てられ……。
 最後は……苦しんで……死ぬ……のか?

「……けるな」

 死にかけて、追い詰められて……俺の腹の底からもれたのは……。

「ふざ、けるなよ……!」

 俺をこんな状況に追い込んだ、女神。
 俺をいじめた木曽川。
 そして……今俺の命を理不尽に奪おうとしてる、ヒドラ。


 俺という存在を、踏みにじってきたやつらに対する、とてつもない怒り。
 それだけが……俺を支配する。

「絶対殺す……こんな毒……乗り越えて……やる……げほっ! がはっ!」

 ああくそ……毒が……体をむしばんでいく。
 こんな毒……無毒化できれば……。

『スキル【無】を【無毒】に進化させますか?』

 …………は?
 なんだ……この声……?

『スキル【無】を【無毒】に進化させますか?』

 無を……無毒に?
 何言ってるんだ。俺はスキル無しなんじゃ……。

 いや、待て。
 思い出せ、ステータスの表記を。

 俺は、スキル【無】。
 もしかして……。

 俺のスキルが、無いんじゃなくて、【無】っていうスキルだとしたら……。
 いや、【無】だからなんだって話だ……。

 でも、【無】を【無毒】にって言葉はひっかかった。
 ひょっとして……。

「い、イエス! イエスだ!」
『スキルが進化します;【無】→【無毒】』

 瞬間……。

「うそ……だろ? 痛みが……一瞬で消えたぞ!?」

 激しい痛みが、綺麗さっぱり消えたのだ!

「無毒……このスキルの効果なのか……? ステータス展開《オープン》!」

~~~~~~
松代《まつしろ》 才賀《さいが》
レベル1
スキル【無毒】
~~~~~~

 やっぱり!
 スキル【無】は、スキルが無いってことじゃなくて、【無】っていうスキルだったんだ。

 そして、【無】は【無毒】に進化できた!

「JURAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 ヒドラが俺めがけて、口を大きく開き……。

 ドバァッ……!

 口から大量の毒を出してきた。
 だが……。

 びしゃっ!
 
 ……体に毒を浴びても、俺は全く痛みを感じない!

「悪いな、俺……毒が効かないみたいなんだ」
「JU、JURA……」

 はは、焦ってやがる。
 ヒドラのやつめ。

 今までどんな敵も、その毒で倒してきたんだろう。
 だが……悪いな。

「俺はおまえの……天敵だ……!」
「JURAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 ヒドラが毒では無く、そのでけえ尻尾で攻撃してきやがった。
 くそ! よけ……。

 尻尾が俺の体にぶつかる!
 べきばきっ……! ごき!

 骨が折れる音。
 そして、俺が吹っ飛んでいく!

 どごぉおおん!

「げほっ! がはっ……! い、てええ……」

 くそ……そうだ。無毒は、毒を無効化するだけのスキルなんだ。
 物理攻撃は普通に、ダメージが通る。

 ……いてえぇ。
 いてえよ……ちくしょう……どうにかできないか……。

 この痛みを、無かったことに……。

『スキル【無】を【無傷】に進化させますか?』

 ……!? またあの声だ……!
 【無】を、【無傷】に進化……。

 さっきも、【無】を【無毒】にできた……。
 ひょっとして……。

「イエス!」
『スキル【無】を【無傷】に進化させます』

 しゅおんっ!

「痛みが消えた! 怪我が治った!?」

 治ったって言うか、傷がなかったことになったみたいな感覚だ!
 やはりそうか!

「俺のスキル【無】は、【無~】みたいな感じで、何かを無かったことにするスキルに、進化させられるんだ!」

 無毒→毒の効果を無かったことにする。
 無傷→傷を無かったことにする。

 はは!
 すげえ! なんだよ、【無】ってすごいスキルじゃないか!

 誰がFランだ!
 誰が無能だ!

 俺は……強いじゃないか!

「JU……RA……」

 ヒドラは動揺してる。
 そりゃそうだ。致命傷くらわせた相手が、無傷で生きてるんだからな!

「さて……このバケモノどうしてやるか……」

 無がつくスキルに、【無】を進化させられる……。
 無~、で攻撃できるものがいいな……。

 いや、待てよ。
 そんなことしなくても、いけるんじゃないか?

 俺はヒドラに近づく。

「JURAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 ヒドラが毒を吐いてくる。
 だがすかさず無毒を発動。

「無駄だぞ毒蛇野郎。俺に毒は効かない。尻尾で攻撃して来いよ? え、どうした? でかい図体してるのに、もしかしてびびってるのか……? こんなFラン勇者によぉ」

 ヒドラの目の前までやってきた、俺。
 やつは俺を物理で攻撃してこない。でかいから、体を動かすにも体力がいるのか?

 まあわからんが、好都合だ。

「じゃあ……いただきます!」

 がぶりっ!
 ……そう、俺が取った攻撃手段は……食らうこと。

「へえ……結構うまいじゃないか……白身魚の刺身みたいだ」

 スキル【無】を無毒に進化すれば、ヒドラの毒が効かない。
 毒が無効化できるってことは、食べても腹を壊さないってことだ。

 俺はひたすらに、ヒドラを食らっていく。
 
「あー……醤油欲しいな」
「JU……JURA……」

 ヒドラのやつ、動かなくなっちまった。
 なんだ? 異常な行動をする俺にびびってるのか?

 そうだよな。
 こんな馬鹿でかい蛇を、いきなり食いだしたら、そりゃびびるよな?

 だが抵抗しないと死ぬぜ?

「がぶ……もぐ……ほらどうした? 抵抗してみろよ。まあ無傷にしちまうがな」

 ……俺はひたすらにヒドラを食いまくった。
 そして……。

 ほどなくして、ヒドラは頭だけになった。
 ヒドラの目から光が消えると……。

 ぼふんっ!
 
 煙を発し、頭部が消滅。

「倒したってことなのか……?」

 ふぅ……はは。
 あんなでかい図体の割に、たいした敵じゃなかったな。

 俺はその場に大の字になって倒れる。

「はは……あははは! スキル【無】! すげえじゃねえか! あんなバケモノたおしちまったよ、俺!」

 このスキル……思ったよりも応用が利きそうだ。
 さっきは無毒、無傷しか使えなかったが……。

 ひょっとして、無敵とか、なれるんじゃないか……?
 攻撃手段も、探せば見つかったんじゃ無いか……?

 まあ、なんにせよ……だ。

「俺は……生き延びた……ぞ……!」
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