闇落ち剣聖は孤高の道を進む

カマンベールチート

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剣聖離脱

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魔王城に突入するのは意外と簡単だった。
シオリが"ブレイブランス"を数発撃つと
大門の一部が欠けたため、後はケントが
バルムンクで破壊した。流石の威力だったが 
邪竜の鱗を貫通したと思えば城の大門程度
の強度では当たり前か。


「………フェルさん…顔色悪いですけど
大丈夫ですか?」

「…………………………んあ、ああ大丈夫だ」

もうすぐ魔王との戦闘だと言うのに
どうしても先程の事を考えてしまい、
集中力が持たない


ケント達には悪いが今は魔王を斬るよりも
国に帰って直接ミリアや殿下に問い詰めたい
所だ。しかし私情で判断すること事は
許されない。

「ケント君、それよりも魔王は何処に
居るのかな?さっきから暗黒騎士しか
出てこないけど」

「でも、この先に魔力濃度が濃い所が
あるからそこに居ると思うよ。
シオリの魔力探知にも出てると思うけど」

「うん。確かに出ているけど…濃度が濃すぎて何処に居るかは分からないよ」

 
3人が魔王のいる所へどうやって乗り込むか  
話し合っているが、それはあどけなく、
とても魔王に挑む者の様子とは見えない。

それもそうだ。ケント達の年の人間は
魔王討伐なぞ行かず青春に花を咲かせる 
頃だ。

彼らは私達こちらの人間の都合で召喚され、
王は全く関係のない彼らの正義感に付け込み
殺し合いの戦争に参加させている。
もし自分の子が何も共通もない相手に
『私達の為に、殺し合いをして下さい』
と言われ、素直に承諾し言いなりになって
いる子の姿を見た親はどんな反応をするか? 
余程、頭がお花畑な奴ではない限り
ふざけるな、と激昂し子の心配をするだろう

召喚した私の国の国民や王たちは
戦争が終わる、とお祝いムードらしいが
言語道断だ。
騎士団が多くの犠牲を払い侵攻する魔王軍
から町を守っている間、そこに住む民は
何か協力をしたか?
協力どころか、自らの今の暮らしに満足
せず反乱を起こし、弱者に救いを与えない
とは何事かと叫ぶだけだったじゃないか

王族は他国に助けを求めるばかりで、
何をしていた?

上手く利用出来、思い通りに動く勇者達に
味を占め、他国を勇者が助ける代わりに
金銀財宝を貰い受けていたのは王族だ。

そして、私の妻を奪い私を騙していたのは
王子だ。



私は何故、こんな国に今まで…







そうか





私が愚かだったのだ。やっと心の底から理解
した。


「ケントよ」


「どうしましたか?フェルさん……!」
 

「今回は、どうやら分が悪いらしい。
一旦撤退することにしないか?」


「……ケント君………あれ…」


ミカが私を信じられない物を見ている様な目
で見ながら指さす


「どうして、フェルさんから邪気が…」


……私から邪気が出ているのか?
私は雷属性の適正だった筈だが……まぁ、
今はどうでもいい


「なぁ、また今度挑むことにしよう
じゃないか。万全の状態でな」

「な、なに言って…」

ケントとミカはまだ、私の言っている事を
理解出来ずに普段とは違う私の様子を見て
心配してくれているが、
シオリは私の変化に気づき、警戒している。

そうだ、それでいい

「ここまで、一緒に戦って来てくれた事は、
感謝するが…それは別だ。今回は
諦めて拠点に帰ろう」



「ケント…フェルさんから離れて。ミカも」



シオリが2人に私から離れるように促す。


「……え?どう言う事……?い、いきなり
どうしたんですか!?
フェルさんらしくありませんよ!」


「…帰ったら分かるさ……怖気付いている
訳ではないぞ?今回は準備が少し
足りなかっただけさ」




「い、いきなりそんな事言われても…
な、何かフェルさん変ですよ!?何故魔王に僕たちを会わせないんですか!
準備も万全の筈だし、ここまで一緒に戦って来た仲間でしょう!?フェルさん!!」


ミカが叫び、近づいて来ようとしたが
流石に殺気で気づいたのか、
ケントがそれを止める

「フェルさん…… 一体どうしたのですか?
正直言って今の貴方は普通ではありません。何があったか分かりません が僕達は、魔王を倒し世界を救うと決めたのです。」

ケントが先程とは違う、真剣な表情で
私を見つめる。

「……ケントよ引け…貴様に私の剣が
止めれるか」

愛剣を抜き、雷属性の気を纏わせる
今の私は…確かにおかしい。
自分が自分ではない様に感じるのだ

「……分からない、でもやらなきゃいけない。 
この世界の人々の為に」

ケントがバルムンクを抜き構える。
私とケントは初めて会った日に力試しと
立ち合ったがその時とは比べ物にならない程
強くなっているだろう。


しかし、それは私も同じだ。


「ケント……一回撤退しようフェルさんがの
殺気が本物だって分かったでしょ?」

今にも、始まろうとしていた空気に
割入ったのはシオリだった。

「今、例えフェルさんに…勝てたとしても
その後魔王にまで勝てるとは思えない…
それほど人なのよあの人は。
貴方だって分かってるでしょ?無事じゃ
済まないってこと」


あの中で、一番冷静なのはシオリだ。
彼女は正確に状況判断が出来る。私も何度か
救われることがあった。
今、彼女が居なければ、私とケントの
どちらかは死に、また勝てたとしても大きな傷を負ったであろう
まぁ、死ぬ方なら私の方なのだろうが


「本当に言ってるのか?シオリ。だって
もう少しで戦争が……」

「私達が負けたら、戦争はずっと続くのよ?
それでは元も子もないわ!」

「うっ…でも……」

  
やはり、余程の事がない限り人は変わらん。
力が強くなっても中身は子供なのだ。 
 
「フェルさん何か気になることが?」

シオリが私に問いかける

「まぁ…ちょっとな」

「準備はさっきケントが言った通り十分な筈。何か貴方の考えが?」

「……それは…今は言えない。とても大事な事なんだ。拠点に戻ってから話す」


「……分かりました。フェルさん。ここは
引きます……でも、後でちゃんと話して
下さい」

「シオリ!何で……」

ケントが声を荒げ叫ぶ

「私だって魔王を倒して戦争を終わらせたい
けど…生きて帰る事も大事でしょ?
フェルさんの事だから何か分かったのかも
しれないし……少しでも脅威を減らすのは
重要よ。貴方妹さんがいるでしょ?彼女を
残して死ぬなんて私が許さない」


「……分かってるよ…シオリ…僕も生きて
帰りたい…だけど今、こうしている間にも
苦しんでいる人たちが……」

「貴方が死んだら、その人たちは二度と
救われないわ」

「……ミカはどう思う…」

「私は…確かに戦争は終わらせたいけど…
ケントが死ぬ方が嫌だよ……」

「……………分かった…今回は退こう…」

シオリが安心した様な表情に変わり
転移石を取り出す。
この転移石も、通信石の様に魔力を流すと
特定の場所に転移することが出来る。
確か、通信石に登録していた拠点は
此処から少し離れた洞穴だったな
最初にシオリが転移しその次にミカが
転移した。

「…後で何があったのか教えて下さい…
フェルさん」

転移石が強く輝き、転移する瞬間にケントは
こう言い残し転移した



これで良かったのだろう

正直言って、私が魔王に勝てるとは思えん。
ケント達と全員でやれば相打ちで仕留められ
かもしれないが勝手に召喚し、
死なせるのは余りに無責任な話だ。


「全く、自分で私情に呑まれるなと
言っておきながらな…私も未熟よな」



改めて、魔王が居ると思われる大部屋を見る
本能が行くなと言っているのが分かるが
行かなければならないだろう

魔王を倒せば勇者は元の世界に
帰ることが出来ると言う話が本当なら
私はこの世界の人間として彼らを両親の
元に帰す責任がある。



それに、彼らはこの先私の妨げになる気が
してならない。
味方だからこそ、元の世界に帰すなどと
悠長な事が言えるが、敵なら別だ。

 
邪魔者は消す

私を裏切った事を後悔させてくれる
 
待っていろ王国よ
待っていろ我が妻よ
そして、シルフォード殿下

いくら逃げようが私は貴様らを地の果て 
まで追って見せよう

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