騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第9節 教会騎士団内乱編

第368話 回想 混血少女の治療

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私は幼い頃から医療に関わり、どこにも所属していない母と2人で…あらゆる戦場を、敵味方関係なく治療するため歩いて回っていた

母も強く、私も幼いながらその才能は大人を凌駕し…母から教わった剣術で男だろうが叩き伏せて、両者有無を言わさず治療をし…それによって私は『戦場の天使』などと呼ばれるようになった。


そんな母が長期で、私を置いて家を留守にしていた時のこと…

「はい、今開けます」

扉をノックする音が聞こえ、開けると家の前には…プラチナブロンド色の長髪に妖艶な雰囲気を纏う、エキゾチックな黒いレオタード(大きく胸元を開いた)を着た絶世の美女がいた

「患者を診てもらいのだけど、ここの主人はいるかしら?」

「母は今留守にしていますね、いつ帰るかちょっとわからないです。というかこの感覚は…お姉さん、魔族さんですか?」

「ええ、そうよ。でも医者の彼女はいないのね…うーん、どうしましょうか…」

その妖艶な女性が抱いていたのは、まだ幼い少女で…その少女は生きてはいるが、目の焦点が合わず生気がない状態で…。


「この症状、薬物か何かですね」

「ええ、そんな感じよ…この子を愛玩人形にしようとした変態がいてね。

この子、一応は同族…ハーフサキュバスだから助けたんだけど、彼女がいないならベアトリーチェあたりに診てもらうしかないかしら」

「なら私が、その子を診ます」

「あら、あなたに診れるの?戦場の怪我人とは違うわよ…それとも、薬物などその辺りにも詳しいのかしら?」

「これでも医者の免許を持ってますよ。薬の材料や知識も、母から一通り習ってるし…いざとなれば母の書斎に本もあるので、大丈夫」

赤色の髪に水色の瞳、褐色の肌の目隠れの少女を…廃人となった少女を医者として救いたく、私は女魔族さんに申し出でる。


「まだ子供なのに医者の免許ね…医療の国あたりでもらったのかしら?しかし、幼いのに医者だなんて…彼女にすごい教育されてるのね」

「戦場では年齢などは関係ありませんよ、強くて優れていたら人の役に立てるのです。それで、お姉さんとその子の名前は?」

「私はサキュバスのリリスよ…そして、この子はネミーコ。あなたの名前は?」

「私は、エイデン=キャッソーゾです。あ、そうです…お姉さん、この子の薬の材料集め手伝ってくださいね」

金色の髪に水色の瞳をした…私は自身の名前を言って、治療の依頼を母の代わりに受けたのだった……。

………。

……。

…。

コトリ(……今視えたこの記憶は…エイデンさんとカミツレさまの過去かな…)

キールさんの副官であるエイデンさんらの誘導もあり、私たちは他の奴隷たちと共に無事に街を脱出できた

そうして一息つけるようになった時、フウカさんが私たちの近くにきて…

フウカ「皆さん、今回は本当に助かりました…ありがとうございます」

コトリ「ん、無事でよかったです」

クロ「でも身体の方は大丈夫なの?アルラウネの媚薬にやられたって聞いたけど…」

リュネメイア「もし厳しいのなら、治療のためにここで離脱するがいい…ぬしが抜けると戦力が厳しくなるがの」

私たちのそんな会話に、カミツレさんが加わってくる

カミツレ「それについては大丈夫…ほら、受け取るのだわ」

フウカ「えっと…これは…?」

カミツレ「メイヴから預かってきた特別な薬なのだわ、それで戦闘に支障がでないところまでは回復を見込めるそうよ」

クロ「……この事態も予測していた?」

オフェリア「いやいや、さすがにおかしいでしょ…」

コトリ「もう露骨に予想の範囲を超えてるよね…」

リュネメイア「メイヴのやつについては、考えても仕方ないぞ…パラドックスのやつも噛んでいるのなら、なおさらの」

ウンディーネ(……あの薬からするこの感覚は…おそらく『回復魔法』の…)

フウカさんは離脱せず、これからも力を貸してくれることになり…その件は決着した。


カミツレ「さて…それでこれからについてなのだけど、救出した奴隷たちのことは私たちが引き受けるのだわ

ミレイ…ミレナリオと連携して、奴隷たちのその後の対応もしてあげる…だから、あなたたちは先を急ぐといいのだわ」

リュネメイア「助かります。あなたやエイデンたちになら、安心して任せられます」

エイデン「皆さんに1つだけ忠告を…魔族領と王国領の国境砦は、今は三賢人派の教会騎士団が管理と警備のために駐在しています」

バルボア「国境の砦には、噂の騎甲兵とやらもそれなりに配備されてるらしい」

ブレイク「それに…教会騎士団には所属していないが、彼らに力を貸している者たちも砦にはいる…との情報もありますから、なおのことお気をつけて」

リュネメイア「……大戦以降に新造された国境砦か…そして、あそこはアイリス隊にとって因縁のある地じゃな」

コトリ「え…リュネ、それってどういう…」

リュネメイア「ふむ…いい機会じゃし、ぬしにもその辺りの話をしておこうかの」

人魔大戦の最初の戦いのことをリュネが語ってくれた……。


リュネメイア「……そうして、アイリス隊は『機族王』エルメスにほぼ壊滅させられかけ…辛勝したアイリスを、妾とシリウスのやつが救ったのだ」

コトリ「お弟子さんたちを亡くした経緯はそうなってたんだ…それにエルメスって確か、魔王軍副官の『魔術王』ウルフヘイムって魔族と一緒に現れた…だからアイリス教官はあの時、あんな反応を見せてたんだ…」

妾たちが来る前までのその時の詳しいことは、あらためてアイリスに聞くといい…とリュネは言ってくれ、私は早くアイリス教官に会って話がしたいと思って…

アイリス教官やみんなは無事だろうか…早く王国に戻らないと…そう私たちが先を急ごうとした時、アーニャが言った

アーニャ「聞いてる話では、国境を越えるために戦力が必要みたいだね…なら、私もこのままコトリたちについて行っていいかな?」

コトリ「え…大丈夫だし、アーニャが来てくれるなら心強いけど…いいの?」

アーニャ「ええ、どうせ行くあてもない旅だからね…それに、コトリたちといた方がお金になりそうだし」

そう言うアーニャの顔は、どこか悲しいような寂しそうな表情をしていて…例えるなら、なんだか捨て猫みたいだった…

リュネメイア「ぬしの実力が頼もしいのは、もう知っておる…だから、その申し出はありがたい…各種旅の費用は妾がもつし、ちゃんと報酬も支払おう」

アーニャ「それは高待遇」

キール隊の元新人騎士たち「リュネメイアさまたち、お気をつけて!」

コトリ「ん、ありがとうございます!」

キール隊の人たちに見送られ、私たちは王国への旅路を続けるのだった……。
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