【R18】二人の会話 ─幼馴染みとの今までとこれからについて─

櫻屋かんな

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おまけ:二人の時間

俊成君の部屋で* ③

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 俊成君は何も言わず、そのまま置かれた指をゆっくり左右に振ってきた。

「ああっ!あん、あんっ」

 切羽詰った私の声と、それでは隠しようの無いぬかるんだ音が、部屋の中響き渡る。入り口を、なぞるように辿られる。ほんの浅いところだけ指を入れ、さらに音を引き出すように掻き回す。腰が自然にゆらゆらと揺れ、俊成君の行為に悦ぶ自分をさらしていた。

「はぁっ。あっ、あっ……あっ」

 背中を反らせて突き出した胸は、俊成君の舌でいじられる。俊成君にいい様にされて、一人で気持ちよくなっている気がした。でも回した腕の中、彼の吐息もしだいに荒くなっていくのを聞いて安心する。私だけじゃ駄目。二人で一緒に気持ちよくなりたいから。

 俊成君にももっと直接的に気持ちよくなって欲しかったけれど、今の私は彼にしがみつき、与えてくれる快感を受け止めるのがやっとだ。どんどんと感覚は鋭敏になり、入り口はさらに彼の指を呑み込もうとするようにひくついている。意識がそこだけに集中した途端、今まで私を支えるように腰に添えられていた俊成君の左手がすっと降りた。腹部を辿り下生えを掻き分け、中心でぷっくりと勃ち上がる芽を摘み上げる。

「ああっ!」

 びくんと大きく体が震え、次には弛緩する。もう、しがみつくこともままならず、私はベッドに横たわった。

「あず、凄いよ」

 濡れて糸を引く指を私に見せて、俊成君がささやく。返事も出来ずに目をつむると、唇に彼の唇が触れ合う感触がした。

「洋服、脱ごう」
「……うん」



 裸になった私に、俊成君がゆっくりと覆いかぶさる。一旦ぎゅっと抱きしめられた後、ゆっくりとおでこにキスされ、そこから徐々に下に向かって唇で辿られた。

 耳たぶから、首筋。鎖骨。脇の下。途中でくすぐったくなって笑いながら体を押しのけたら、胸に進路を変えて頂を軽く吸われた。その刺激にのけぞると、反対に俊成君が笑いながらまた唇で辿り始める。おへそをなぞって下生えまで行き着くと、太ももを持ち上げられた。

「あ……」

 彼の吐息が中心に当たる。それだけで感じてしまい、そこがひくつくのが分かった。自分のいやらしさに恥ずかしくなって思わず顔を手で覆ってしまうけど、でも、本当は待ち望んでいる。俊成君が与えてくれる次の刺激を欲していた。

「あずのが、あふれている」

 その言葉にまたびくんとしたら、俊成君の舌が割れ目に入ってきた。

「ああっ!やぁっ」

 ぬるっとして、でもちょっとざらついた舌の感触が、入り口からあふれてくるものをすくい上げる。舌先をさらにその奥に向かって差し入れられ、その振動に悦びを感じる。かと思うと襞を舌でなぞられて、くすぐったい心地よさに力が抜けた。けれどでも、まだいじってもらえていない場所がある。

「んっ、あ、……はぁっ」

 手を伸ばし、俊成君の髪の毛に手を入れて、くしゃっと握った。言葉に出せないお願いを、こんな形で伝えようとしている。

 でもその思いは通じていたようで、次の瞬間、刺激が来た。割れ目の上、充血し勃ち上がり、小さいながらも存在を主張する私の芽に、俊成君の舌がゆっくりと触れる。

「ぃやぁっ」

 待ち望んでいたのに、その刺激の強さに思わず叫ぶ。びくんと腰が跳ねていた。

「きつい?」
「ううん。……いい」

 小さく答えると、彼の笑う気配がして舌の動きが再開された。

 舌で転がすようになぶられる。くすぐるように舌先だけで突かれたかと思うと、次には舌全体を押し付けて小刻みに揺らしてくる。

「あっ、はぁっ、やっ、あっ……あ、あ、ああ……」

 吐き出す息があえぎ声になって、私の口から絶えず漏れていた。指とは違う、その微かにざらついてねっとりとした舌の感触は、私の芽を直接刺激する。快楽を伝える神経が、びりびりとしびれるように私に信号を送っていた。

「んっ、ふっ、あっ、あっ」

 気持ちいいって感覚が高まってゆく。俊成君の与えてくれる、その刺激で頭がいっぱいになる。

「あず」
「え?」

 もう何も考えられなくなって、後もうちょっとで達してしまいそうだったのに、急に刺激が遠のいた。俊成君が上半身を起こし、私の頬をそっと撫でて聞いてくる。

「入れて、いい?」
「……うん」

 戸惑いながらも、素直にうなずく。急に放り出されて、体が中途半端にうずいたままでなんだか変な感じだ。俊成君が手早く準備をして覆いかぶさるから、抱きしめて膝を立てる。入り口を探り当て、熱い塊が侵入してきた。

「ふっ。うっ、ん……」

 俊成君しか許していないこの体は、いつでも入り口で少し手こずる。それでも最初の引っ掛かりを乗り越えると、体の中で泡がはじけるように快楽が広がった。

「あ……」

 自分の中が、俊成君を引き込もうとうごめいている。体中に電気が通されたように、びくびくとしてしまった。

 なんだろう。いつもよりも……感じている。

「動かすよ」

 耳元でささやかれるその言葉にも反応し、恥ずかしくて彼の肩に顔をうずめる。

「うん」

 ゆっくりと、俊成君が腰を振ってきた。最初はゆっくりと、確かめるように。舌の直接的な刺激とは違う、体の奥から沸き起こるような気持ちよさ。それを私は貪欲に捉えようとしていた。

 俊成君の一部が自分の中に入り込み、一つになる。そう思うと、普段彼の不在で感じている不安とか寂しさとか、そんな欠けた思いが一気に満たされていった。体の快楽と心の充足が、直結している。

 でも、

「んっ」

 彼の動きにあわせて少しずつ集中してきているのに、与えられる刺激は一定で、しだいに物足りなさを感じていた。高まる波は近付いてきているのに、それに乗ることが出来ない。後もうちょっとでいきそうなのに、最後のところではぐらかされる。置き火がくすぶるようなもどかしさに、私はつむっていた目をさらにぎゅっと閉じ、眉を寄せた。

 さっきまでの、中途半端に放り出された快感が私の中でうずいている。もっと、……後もうちょっとなのに。

「俊成、君」

 気が付くと小さな声で彼の名前を呼んでいて、彼の動きが止まった。

「なに?」

 その声の色に気が付いて、そっと目を開ける。途端に私の顔をのぞきこんでいる俊成君の表情が飛び込んできた。

「もしかして、意地悪、してる?」
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