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おまけ:二人の時間

俊成君の部屋で* ②

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 幸いにして二人とも就職先は内定を取れた。でもさらに先の将来のことを考えると、不安になる。いつでも未来は不透明だ。だからお互いの知らない世界に、過敏に反応してしまう。私だって、普段俊成君が他の女の子と仲良くしているって想像したら、やっぱり二人しかいない世界に行きたくなる。

 それでも、時間を有効に使えなくても、ケンカして嫌な思いをすることがあっても、こうして私たちはやってこれたから。たまには私たちが過ごした時間を、後ろを振り返ってもいいよね。

 そんなことを思いながら、さっき自分がされたように俊成君の頭をぽんぽんと撫でた。俊成君が顔を上げ、そしてそのまま無言でキスをされる。

「ん……」

 俊成君の大きな手が私の後頭部に回りこんで、固定された。重ね合わせた唇から舌が入り込む。誘うように絡めるから、素直にゆだねる。舌のざらついた感触がこすれてくすぐったい。そしてそのくすぐったさはすぐにじんと痺れるような快感に変わった。

「あずを抱きたい」

 そっと舌を、唇を離して、俊成君が言った。

「気持ち良くなっていく顔が見たい。声が聞きたい。触りたい。あずといること、実感したい」

 そう宣言する俊成君の瞳が艶を帯びて、ぞくりとする。すでに私の体は力が抜けて、彼の胸板に重心を支えてもらっている状態だ。

「うん。触って。髪の毛だけじゃなくて、いっぱい色んなところ、触って欲しい。俊成君と、気持ちよくなりたい」

 自分の素直な気持ちを伝えたくて、誠意を込めて言っているつもりだったのに、発せられた声は鼻に掛かった甘え声だった。冷静に考えてみると、かなり露骨なおねだりだ。自分の発言の大胆さに後から気が付き、全身が羞恥で火照る。思わず視線を泳がせたら、俊成君がくすりと笑って私の頬に触れた。

「愛している」

 低く響くその言葉に、胸が震えた。




 何度もついばむようなキスをして、すっかり私の力は抜けている。俊成君の首に腕を回しもたれかかっているけれど、正直言ってベッドに横たわりたかった。けれど今日の彼はそれを許してくれず、起こすように私の脇腹を支えていた。

「俊成君」

 控えめに、でも咎める気持ちは隠せずに呼びかける。俊成君はそんな私を軽く流し、服の上から胸の形をなぞるように、手をすくい上げた。

「あん」

 小さく叫んで、上半身を傾ける。

「横座り、辛くないか?」

 このときになって、ようやくそんな事を聞いてきた。

「辛いよ」

 あえぎつつ、むくれながらそう言ったのに、俊成君はなんだか楽しそうだ。まるでちょっとしたいたずらを思いついたときのような、そんな機嫌の良さを感じさせ、警戒心から身構える。

「俺を跨いで」

 どうあっても横たわらせてはくれないらしい。今まで体をひねって俊成君に抱き付いていたのを、跨ぐことで正面から抱きしめることになった。確かに体勢は楽になったけれど、スカートがまくれ上がって、はしたない。

「これで顔が良く見える」

 その言葉に恥ずかしくなって、目を伏せた。でもその視線の先、俊成君の手が伸びて私の胸を揉みしだく。

「ふぅっ、んっ」

 思わず声が漏れて、それを隠すように俊成君の肩に顔をうずめた。

「駄目だよ。見えなくなる」

 顎を持ち上げられ、キスをされた。意識が唇に集中した隙に、またゆっくりと手の動きが再開される。

 横から寄せるように包んだかと思うと、感触を楽しむように指を広げ、全体を揉み上げる。マッサージをされているような心地よさにこちらが油断していると、ふいに人差し指で中心を円くなぞり、最後に頂をぐりっと押しつぶされた。

「やっ、あ、あん!」

 刺激に腰が跳ね上がる。さらに体を密着させるように抱きつくと、私の中心に何かが当たる感触がした。ジーンズ越しに、勃ち上がり形を変えた俊成君のものが、当たっている。びくんとした。

「……えっち」

 瞬間に目が合ってそう言ったけれど、それ以上は耐え切れなくて目をつむる。

 欲望を隠そうとしない、俊成君の瞳。体。そしてそれに素直に反応してしまう自分がここにいる。くすりと笑う気配がして、胸が揉まれ刺激が来る。唇が合わさり、舌が差し入れられた。誘うように突かれて、自ら舌を絡めて行く。俊成君の手はさっきよりも性急に私の胸を揉み上げて、その先端をいじっていた。指の腹で転がすように押しつぶすと、爪で弾くように引っ掻いてくる。洋服越しだというのに、隠しようも無いほどに私の頂は硬くしこっていた。

 自然に私の腰は揺らめいて、俊成君と中心を合わせたまま、そこをこすり付けている。まくれ上がったスカートは、腰の辺りでとどまっていた。俊成君は私の上着の中に手を差し入れると、素早くブラジャーのホックを外した。

「ふっ」

 開放感を感じる間もなく、俊成君の指の感触が私の素肌を刺激する。胸への愛撫はもちろんのこと、何気に回された背中への手の動きに、自分でも意外なほどに反応してしまった。

「やぁっ、あっ、なに」
「背中、弱いんだよな」
「知らない」
「そう?」

 証明するように、俊成君が私の背骨に沿ってすっと指で撫で上げた。

「ひゃあっ、あっ、あっ」

 反射的に、びくびくと震える。たまらずにぎゅっと俊成君の頭を抱え込むように抱きしめると、上着をめくられ、直接胸に唇を寄せられた。

「ああっ、俊成君っ」

 切羽詰った声で叫んだら、先端を甘噛みされた。目じりに、涙がたまる。俊成君から与えられる刺激のひとつひとつに過敏に反応してどうにかなってしまいそうだった。


 舌で、こねくり回すように頂をしゃぶられ、歯を当てられる。甘噛みのまま固定され、舌でなぶられる。左右交互に与えられるその快感に背筋が伸び、さらにもっととねだるように胸を突き出していた。俊成君の指はそんな私の背骨を辿り、スカートにもぐりこみ、ストッキングをショーツごと下ろして、両手でお尻の丸みをすっぽりと包み込む。

「ふぅっ、んっ、んっ」

 胸にされたようにゆっくりとしたマッサージが続いたかと思うと、指の平を使って撫でられる。すっかり膝立ちになっている私の片足からストッキングとショーツを抜き下ろすと、俊成君は後ろから割れ目に沿って指を滑り込ませてきた。

「あんっ」

 くちゅ。水音が響いた。

「や、あ……」
「聞こえた?今の」

 吐息交じりの声が耳元でして、ぴくりとする。

「興奮している?」
「言わないで……」

 羞恥に体が火照り、またあそこから滴る感触がした。興奮、している。そんなのとっくに。



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