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その15. 計画と決意

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「なんでまた」
「自覚したのがつい数日前なので、これからなんですっ」

 どこまで白状させられるのかと、半ば自棄になって美晴が言い切る。その勢いで陽平をまた睨みつけようとしたら、何故かうつむいて肩を震わせていた。

「あー、やべぇ。二人揃ってどんだけ」
「ちょっと、陽平くん」

 必死に笑いをこらえる陽平の態度に抗議すると、眼尻に涙をにじませた陽平が提案してきた。

「今度一緒に焼肉食いに行きましょうよ。ケンケンと美晴さんの二人がいるところを観察したい」
「なんで焼肉」
「俺、ケンケンに奢ってもらう約束しているんです。けどあいつ最近付き合い悪いから、美晴さんも一緒なら大丈夫かなって」
「いいけど、三人で?」
「美晴さんが女の子紹介してくれるなら、四人で」
「紹介ね……」

 言われて美晴は、新菜の顔を思い浮かべていた。確か新菜も先日、誰か紹介してほしいと言っていた。

「一人、心当たりならあるけど」
「よし決まった。それじゃあ、どうせ肉焼くならバーベキューとかどうですか。秋の行楽シーズンを満喫するため、週末にちょっと遠出とか」
「まあ、いいけど」

 美晴がうなずくと、陽平が手際よく段取りを進めていく。ランチを食べている間に、気が付けばバーベキューの場所や時間の設定等、諸々のことが決まっていた。

「じゃあ今週末はケンケンが都合悪いってことで来週末で。美晴さんがもう一人の女の子とケンケンに声かけて下さい。結果はあいつ通して聞きますんで」
「陽平くん、すごい仕事できそうだね」
「こういうの企画するの好きなんですよ」

 ここまで段取りを立てておきながら決して美晴の連絡先を聞かず、このあとからはあえて健斗を通して計画を進めようとする。陽平の気遣いに感謝する。こんな彼になら、新菜を紹介しても良いなと美晴は思った。

 そして、

 店を出て、陽平と別れてオフィスに戻りながら美晴は密かに自分だけの計画も立てた。

 美晴からきちんと健斗に自分の気持ちを伝えよう。直接会って話ができるバーベキューの帰り道、美晴は健斗に告白をする。

 そう決意しただけで、美晴の胸が幸せとやる気で満たされた。



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