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第三章 いらない加護を受け取る
第七話 若返りの魔道具
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「それで、バーナード、僕を呼びだしたのは何なのかな。僕はまた殿下にあてがうかわいい娼婦や男娼を選定しないといけないんだから。忙しいんだよ」
呼びだされた王宮魔術師のマグルは不機嫌そうにバーナードに言う。
入ってすぐの部屋のテーブルの上に、静寂の魔道具があり、それが静かに作動していることに驚いた。室内の音を消すというその魔道具。それを置いておくことの意味は、外に聞かれたくない、内密の話をしたいということだった。
改まって、マグルはバーナードに聞いた。
「それで、用件はなんなのかな」
「サキュバスの加護を持つ知り合いがいる。ただ、年齢的な問題もあり、その身分も隠して殿下に会わせたい」
サキュバスの加護持ちと聞いて、マグルは飛び上がった。
「えええええ!! 本当にそんな加護持ちの知り合いがいるのか。マジ!! どこ、どこにいるのその子。ねぇ、連れてきてくれるんだよね。連れてくるといってよ!! 幾らでもお金は払うからさ」
マグルは目を血走らせ、バーナードに詰め寄った。
「金はいらんという話だ」
「そんな都合のいい話があるか。ちゃんと報酬は払うから。すぐに連れてきて、今すぐに!!」
「……鑑定の水晶玉は持っているか」
「今はないな。あ、ちょっと待ってて。取りに行ってくる」
そう言って、マグルは席を外し、すぐに戻ってきた。
テーブルの上にコトリと掌大の水晶玉を乗せる。
「鑑定の水晶玉だよ」
バーナードは彼に見えるように、手をかざし、自身の鑑定結果を彼に見せた。
瞬間、マグルは動きを止めた。
「………………………………え」
「俺が、加護持ちだ」
「………サキュバスどころじゃないじゃん。これって上級の“淫魔の王女の加護”だよね。どーしてこんなのお前が持っているの?」
「話すと長くなるので、話したくない」
「……そう。それで、バーナード、お前が殿下のお相手をするの?」
ジロジロと体格の良いバーナードの身体を上から下まで眺める。まるで値踏みされているようなその視線に、居心地悪そうにバーナードは言った。
「このナリではさすがにだめだろう。だから、お前は以前、“若返りの魔道具”を開発したと言っていたな。あれを使わせてもらいたい」
「アレはすごく魔石を食うぞ」
「報酬は魔石の購入に充ててくれ」
その言葉に、マグルは言葉を無くした。
このバーナードは、騎士の中の騎士と言われ、王家に忠誠を誓い、これまでにも真っ直ぐな生き様を見せてきた。素晴らしい剣の腕前の持ち主で、剣豪の称号も得ている。その彼が、王太子を救うために、その身を捧げるという。
「……お前、殿下に抱かれる方の立場になるんだぞ。やめておけ。結婚したばかりで、フィリップも反対しただろう」
「……このままだと殿下は将来を失う。お前は惜しいとは思わないのか。俺は惜しいと思う。それに、一時的に抱かれるだけだ。少しでも殿下が落ち着けば、お暇するつもりだ」
「覚悟はできているわけか。はぁ……僕はフィリップに恨まれるだろうな」
「彼も騎士だ。わかってくれるはずだ」
そう言って、バーナードは少しだけ寂しそうに笑った。
バーナードは王立騎士団に一週間の休暇の申請を出した。
そして、彼は姿を変え、王宮に足を運ぶことになったのだった。
呼びだされた王宮魔術師のマグルは不機嫌そうにバーナードに言う。
入ってすぐの部屋のテーブルの上に、静寂の魔道具があり、それが静かに作動していることに驚いた。室内の音を消すというその魔道具。それを置いておくことの意味は、外に聞かれたくない、内密の話をしたいということだった。
改まって、マグルはバーナードに聞いた。
「それで、用件はなんなのかな」
「サキュバスの加護を持つ知り合いがいる。ただ、年齢的な問題もあり、その身分も隠して殿下に会わせたい」
サキュバスの加護持ちと聞いて、マグルは飛び上がった。
「えええええ!! 本当にそんな加護持ちの知り合いがいるのか。マジ!! どこ、どこにいるのその子。ねぇ、連れてきてくれるんだよね。連れてくるといってよ!! 幾らでもお金は払うからさ」
マグルは目を血走らせ、バーナードに詰め寄った。
「金はいらんという話だ」
「そんな都合のいい話があるか。ちゃんと報酬は払うから。すぐに連れてきて、今すぐに!!」
「……鑑定の水晶玉は持っているか」
「今はないな。あ、ちょっと待ってて。取りに行ってくる」
そう言って、マグルは席を外し、すぐに戻ってきた。
テーブルの上にコトリと掌大の水晶玉を乗せる。
「鑑定の水晶玉だよ」
バーナードは彼に見えるように、手をかざし、自身の鑑定結果を彼に見せた。
瞬間、マグルは動きを止めた。
「………………………………え」
「俺が、加護持ちだ」
「………サキュバスどころじゃないじゃん。これって上級の“淫魔の王女の加護”だよね。どーしてこんなのお前が持っているの?」
「話すと長くなるので、話したくない」
「……そう。それで、バーナード、お前が殿下のお相手をするの?」
ジロジロと体格の良いバーナードの身体を上から下まで眺める。まるで値踏みされているようなその視線に、居心地悪そうにバーナードは言った。
「このナリではさすがにだめだろう。だから、お前は以前、“若返りの魔道具”を開発したと言っていたな。あれを使わせてもらいたい」
「アレはすごく魔石を食うぞ」
「報酬は魔石の購入に充ててくれ」
その言葉に、マグルは言葉を無くした。
このバーナードは、騎士の中の騎士と言われ、王家に忠誠を誓い、これまでにも真っ直ぐな生き様を見せてきた。素晴らしい剣の腕前の持ち主で、剣豪の称号も得ている。その彼が、王太子を救うために、その身を捧げるという。
「……お前、殿下に抱かれる方の立場になるんだぞ。やめておけ。結婚したばかりで、フィリップも反対しただろう」
「……このままだと殿下は将来を失う。お前は惜しいとは思わないのか。俺は惜しいと思う。それに、一時的に抱かれるだけだ。少しでも殿下が落ち着けば、お暇するつもりだ」
「覚悟はできているわけか。はぁ……僕はフィリップに恨まれるだろうな」
「彼も騎士だ。わかってくれるはずだ」
そう言って、バーナードは少しだけ寂しそうに笑った。
バーナードは王立騎士団に一週間の休暇の申請を出した。
そして、彼は姿を変え、王宮に足を運ぶことになったのだった。
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