138 / 560
第十章 王宮副魔術師長の結婚
第一話 カトリーヌ=マクレイガーの呟き
しおりを挟む
私、カトリーヌ=マクレイガーは現在十七歳。王立学園の高等部に在籍している女学生です。
厳しくも優しい父は大学教授で、私の一つ年上の姉は現在駆け落ち中です。
そんな私にも、彼ができました。
王宮副魔術師長のマグルさんで、とても頭の良い素敵な人です。
父にマグルさんを紹介したら、物凄い反対を受けました。
そして、後に反省しました。
姉が駆け落ちしてまだ半年も経っていないのです。
そうした中、もう一人の娘である私に新しい恋人ができたなど、父にすんなりと受け入れてもらえるはずがありません。
父の気持ちが落ち着くのを待ってから、ゆっくりと様子を見て話せば良かったと思っています。
父に反対を受けた話をマグルさんにすると、彼は「僕達のことは時間をかけてお義父さんにわかってもらおう」と言っていました。
本当にマグルさんは優しい人です。
それからマグルさんは休日の度に、我が家に手土産を片手にやってくるようになりました。
最初のうちは、父も「出て行け」「会いたくない」などと追い出していましたが、父が稀少本の収集をしていて、マグルさんがそれを片手にやってくるようになると、現金な父は扉を少しずつ開けて、マグルさんを迎え入れるようになりました。
最近ではマグルさんと一緒に、そうした本の話を楽しそうにするようになっています。さすがマグルさんだと思いました。
実は我が家では、母はすでに亡く、私と姉が父の面倒と家の細々な仕事を、通いの家政婦と一緒にやっていました。マグルさんと結婚したら、私が家を出なければならなくなると、父の世話をどうしようかと迷っていました。いわゆる私は家付き娘だったのです。
そんな話はまだ早いという人もいるでしょう。
でも、私にとっては大事な話なのです。
それを聞いたマグルさんは、あっけらかんと言いました。
「僕が君のうちの養子に入るよ。僕、平民だし、うちは問題ないな」
聞けば、マグルさんは天涯孤独の身で、家族はいないという話です。
頭の良かったマグルさんは、平民の身でありながら大学まで進み、王宮副魔術師長まで登りつめた人でした。
「君のうちに入って、君の義父さんと家族になって、ゆくゆくは君と家族を作っていきたい」
そう言う彼の言葉に、私はとても嬉しく思いました。
私は王立学園を卒業した後、彼と結婚したいと考え、そのことを父に話すと、父は一つ条件があると言いました。
「マグル君、君が王宮副魔術師長という地位にあり、優れた魔術師であることを知っての上で、私は君に望みたい。これは、君にそう望むのは酷なことかも知れない」
「……なんでしょうか」
私とマグルさんは、父の書斎で父の前に二人で並んで立っていました。
椅子に座った父は、少しばかり迷うようなそぶりを見せてから言った。
「私は君達の結婚を認めたいと思う。だが、一つ条件がある。それは、君達の結婚式に、カトリーヌの姉のセリーヌを招くことだ。彼女が出席できるなら、結婚を認めよう」
「お父様、お姉さまは……」
「わかりました」
マグルさんは、姉のセリーヌが、妖精の国へ恋人の妖精王子と共に駆け落ちしたことを知らないのです。
どれほど、彼女を人間の世界に来てもらうことのハードルが高いことなのか、知らないのに。
お父さまは、何も知らない彼に、こんなことを頼むなんてヒドイ。
でもマグルさんはしっかりと頷いて、約束したのです。
「必ず、セリーヌさんに出席して頂けるように致します」
厳しくも優しい父は大学教授で、私の一つ年上の姉は現在駆け落ち中です。
そんな私にも、彼ができました。
王宮副魔術師長のマグルさんで、とても頭の良い素敵な人です。
父にマグルさんを紹介したら、物凄い反対を受けました。
そして、後に反省しました。
姉が駆け落ちしてまだ半年も経っていないのです。
そうした中、もう一人の娘である私に新しい恋人ができたなど、父にすんなりと受け入れてもらえるはずがありません。
父の気持ちが落ち着くのを待ってから、ゆっくりと様子を見て話せば良かったと思っています。
父に反対を受けた話をマグルさんにすると、彼は「僕達のことは時間をかけてお義父さんにわかってもらおう」と言っていました。
本当にマグルさんは優しい人です。
それからマグルさんは休日の度に、我が家に手土産を片手にやってくるようになりました。
最初のうちは、父も「出て行け」「会いたくない」などと追い出していましたが、父が稀少本の収集をしていて、マグルさんがそれを片手にやってくるようになると、現金な父は扉を少しずつ開けて、マグルさんを迎え入れるようになりました。
最近ではマグルさんと一緒に、そうした本の話を楽しそうにするようになっています。さすがマグルさんだと思いました。
実は我が家では、母はすでに亡く、私と姉が父の面倒と家の細々な仕事を、通いの家政婦と一緒にやっていました。マグルさんと結婚したら、私が家を出なければならなくなると、父の世話をどうしようかと迷っていました。いわゆる私は家付き娘だったのです。
そんな話はまだ早いという人もいるでしょう。
でも、私にとっては大事な話なのです。
それを聞いたマグルさんは、あっけらかんと言いました。
「僕が君のうちの養子に入るよ。僕、平民だし、うちは問題ないな」
聞けば、マグルさんは天涯孤独の身で、家族はいないという話です。
頭の良かったマグルさんは、平民の身でありながら大学まで進み、王宮副魔術師長まで登りつめた人でした。
「君のうちに入って、君の義父さんと家族になって、ゆくゆくは君と家族を作っていきたい」
そう言う彼の言葉に、私はとても嬉しく思いました。
私は王立学園を卒業した後、彼と結婚したいと考え、そのことを父に話すと、父は一つ条件があると言いました。
「マグル君、君が王宮副魔術師長という地位にあり、優れた魔術師であることを知っての上で、私は君に望みたい。これは、君にそう望むのは酷なことかも知れない」
「……なんでしょうか」
私とマグルさんは、父の書斎で父の前に二人で並んで立っていました。
椅子に座った父は、少しばかり迷うようなそぶりを見せてから言った。
「私は君達の結婚を認めたいと思う。だが、一つ条件がある。それは、君達の結婚式に、カトリーヌの姉のセリーヌを招くことだ。彼女が出席できるなら、結婚を認めよう」
「お父様、お姉さまは……」
「わかりました」
マグルさんは、姉のセリーヌが、妖精の国へ恋人の妖精王子と共に駆け落ちしたことを知らないのです。
どれほど、彼女を人間の世界に来てもらうことのハードルが高いことなのか、知らないのに。
お父さまは、何も知らない彼に、こんなことを頼むなんてヒドイ。
でもマグルさんはしっかりと頷いて、約束したのです。
「必ず、セリーヌさんに出席して頂けるように致します」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,100
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる