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第二十五章 小さな妖精の罪ほろぼしと王太子の沈黙
序
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妖精の国のご隠居様と呼ばれる大妖精は、指を折って、もう何度バーナード騎士団長に白い宝珠、いわゆる“神の欠片”を注ぎ込んだだろうかと考えていた。
以前聞いた話では、バーナード騎士団長の器は、五分の一ほどしか満ちていなかったという。これほど頻繁に宝珠に触れさせているのである。もう半分ほどに達しているのではないかと思った。
そろそろ、霊樹に小さな実をみのらせても良い頃合いだろう。
ご隠居様は、バーナード騎士団長を、妖精界にある霊樹の元へ連れて行こうと考えていた。
神界、魔界、妖精界、精霊界、人界には、霊樹と呼ばれる巨木が生えている。
淫魔の女王と淫魔の王女は、その霊樹に子を実らせ、木の股から子を産み落とすと言われている。
彼を霊樹の元へ連れていって、“結び付き”を作らせておかなければならない。
妖精達の手出しが出来ぬ場所の霊樹と“結び付き”を作ってしまったのならば、せっかく妖精達がせっせと“神の欠片”を注ぎ込んでも、結果として実りを別の誰かに奪われてしまう。それは絶対に避けなければならない。
神界、魔界の霊樹は話にならない。絶対にあれらの世界の霊樹に実らせてはならなかった。神があの御方の生まれ変わりを知ったのなら、決して手放さないであろうし、魔界の者達も同様である。
妖精界であれば、妖精達を総動員して鉄壁の守りに入ることができる。実ることになる果実を誰にも奪い取らせはしない。当然の選択である。
レブラン教授は、妖精界の霊樹に子を実らせさせることについて、きっと良い顔をしないであろうが、説明を尽くせば彼も理解してくれるだろう。
その時のご隠居様は、今後の事態を楽観視していた。
よもや、まさかその時には、バーナード騎士団長が人界の霊樹とすでに“結び付き”を作っていたなどとは、考えもしなかったのである。
以前聞いた話では、バーナード騎士団長の器は、五分の一ほどしか満ちていなかったという。これほど頻繁に宝珠に触れさせているのである。もう半分ほどに達しているのではないかと思った。
そろそろ、霊樹に小さな実をみのらせても良い頃合いだろう。
ご隠居様は、バーナード騎士団長を、妖精界にある霊樹の元へ連れて行こうと考えていた。
神界、魔界、妖精界、精霊界、人界には、霊樹と呼ばれる巨木が生えている。
淫魔の女王と淫魔の王女は、その霊樹に子を実らせ、木の股から子を産み落とすと言われている。
彼を霊樹の元へ連れていって、“結び付き”を作らせておかなければならない。
妖精達の手出しが出来ぬ場所の霊樹と“結び付き”を作ってしまったのならば、せっかく妖精達がせっせと“神の欠片”を注ぎ込んでも、結果として実りを別の誰かに奪われてしまう。それは絶対に避けなければならない。
神界、魔界の霊樹は話にならない。絶対にあれらの世界の霊樹に実らせてはならなかった。神があの御方の生まれ変わりを知ったのなら、決して手放さないであろうし、魔界の者達も同様である。
妖精界であれば、妖精達を総動員して鉄壁の守りに入ることができる。実ることになる果実を誰にも奪い取らせはしない。当然の選択である。
レブラン教授は、妖精界の霊樹に子を実らせさせることについて、きっと良い顔をしないであろうが、説明を尽くせば彼も理解してくれるだろう。
その時のご隠居様は、今後の事態を楽観視していた。
よもや、まさかその時には、バーナード騎士団長が人界の霊樹とすでに“結び付き”を作っていたなどとは、考えもしなかったのである。
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