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あなただけしかいらない
第二話 帯剣する理由
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それから、ルシスは毎夜の如く、アドルに求められた。
共に若い二人である。お互いの身体を貪る快楽に夢中になった。
特にルシスはスシャールの天人であり、彼は魔力を吸われる快楽に弱かった。
性的な行為をされながら、魔力を吸われると、相乗的に身体が制御できないほどの快感の中に叩き込まれた。
すすり泣きながらも、悦ぶ彼の姿もまた、アドルを高ぶらせた。
ルシスからの魔力を吸い続け、アドルは膨大な魔力を身に付けることになった。
求めに応じて、その力を振るうこともある。それを見た人々は、王子とその伴侶の持つ天人の力に畏れ入るのだった。
順調そうに見える二人の生活だったが、やがてこう述べる王族の者達が出てきていた。
「いつ、ルシス様の夫を増やすのかと」
その言葉を初めて耳にした時、ルシスは耳を疑った。
「は?」
思わず、聞き返してしまったほどだった。
スシャール家出身の召使のサナは、ルシスの性格を知り尽くしていた。
だから、彼がそう反応することは予期していた。
けれど、彼の不興を買ったとしても、彼の耳に入れておかねば恐らく今後、困ることになるやも知れないと、サナは決意して彼に告げたのだ。
「ルシス様の夫を増やして欲しいと述べる者がおります」
「…………ええ、それって本気で言っているのか、そいつ……」
「本気のようですよ。アドル様に申し上げようという者もいるようです」
「私は、絶対に、夫は増やさない。アドル以外増やさない」
ルシスは言葉を区切りながら、キッパリと告げた。
サナは彼の美しい黒髪に櫛を入れながら、うなずいた。
「そうですよね。私もそう思っていました。夫を選ぶのはスシャールの者の権利です」
「…………」
だが、そうとも言えない現実があることを、ルシスは知っており、彼は眉を寄せた。
そもそも、最初の夫についても、本人達が選ぶことはない。
一人は神殿に、一人は王家に、一人は五家に嫁ぐものとして、産まれた時から婚約者が問答無用に決められているのだ。
その状態はとても、自分達に選ぶ権利があるとはいえないだろう。
神殿に嫁いでいる長男ロゼは、複数の夫達を宛がわれても平然としている様子だったが、自分は違う。
そもそも、最初の婚礼だって、もしアブの実が頭に当たって記憶喪失になってからのアレコレがなければ、嫁ぐことだって嫌だったのだ。
アドルだから、自分はその身を許しているところがある。
もし、他の男にも身を許せと言われたら……。
それを考えただけでも、ゾッとしてしまった。怖気がして、身が震えるほどであった。
その様子を見て、サナが心配そうに言う。
「大丈夫ですか、ルシス様」
「……明日から、帯剣するから」
「……はい」
ルシスは森で魔獣討伐をしていただけあって、その辺の男達よりも剣の腕が立つ。
万が一、城で言い寄る男が出てきたら、たとえ王族であろうと、ルシスは叩き斬ってしまうかも知れないと思った。
「……ルシス様、相手を殺さないようにお願いしますね」
サナがそう言ったが、ルシスには相手を殺さない自信はなかった。
共に若い二人である。お互いの身体を貪る快楽に夢中になった。
特にルシスはスシャールの天人であり、彼は魔力を吸われる快楽に弱かった。
性的な行為をされながら、魔力を吸われると、相乗的に身体が制御できないほどの快感の中に叩き込まれた。
すすり泣きながらも、悦ぶ彼の姿もまた、アドルを高ぶらせた。
ルシスからの魔力を吸い続け、アドルは膨大な魔力を身に付けることになった。
求めに応じて、その力を振るうこともある。それを見た人々は、王子とその伴侶の持つ天人の力に畏れ入るのだった。
順調そうに見える二人の生活だったが、やがてこう述べる王族の者達が出てきていた。
「いつ、ルシス様の夫を増やすのかと」
その言葉を初めて耳にした時、ルシスは耳を疑った。
「は?」
思わず、聞き返してしまったほどだった。
スシャール家出身の召使のサナは、ルシスの性格を知り尽くしていた。
だから、彼がそう反応することは予期していた。
けれど、彼の不興を買ったとしても、彼の耳に入れておかねば恐らく今後、困ることになるやも知れないと、サナは決意して彼に告げたのだ。
「ルシス様の夫を増やして欲しいと述べる者がおります」
「…………ええ、それって本気で言っているのか、そいつ……」
「本気のようですよ。アドル様に申し上げようという者もいるようです」
「私は、絶対に、夫は増やさない。アドル以外増やさない」
ルシスは言葉を区切りながら、キッパリと告げた。
サナは彼の美しい黒髪に櫛を入れながら、うなずいた。
「そうですよね。私もそう思っていました。夫を選ぶのはスシャールの者の権利です」
「…………」
だが、そうとも言えない現実があることを、ルシスは知っており、彼は眉を寄せた。
そもそも、最初の夫についても、本人達が選ぶことはない。
一人は神殿に、一人は王家に、一人は五家に嫁ぐものとして、産まれた時から婚約者が問答無用に決められているのだ。
その状態はとても、自分達に選ぶ権利があるとはいえないだろう。
神殿に嫁いでいる長男ロゼは、複数の夫達を宛がわれても平然としている様子だったが、自分は違う。
そもそも、最初の婚礼だって、もしアブの実が頭に当たって記憶喪失になってからのアレコレがなければ、嫁ぐことだって嫌だったのだ。
アドルだから、自分はその身を許しているところがある。
もし、他の男にも身を許せと言われたら……。
それを考えただけでも、ゾッとしてしまった。怖気がして、身が震えるほどであった。
その様子を見て、サナが心配そうに言う。
「大丈夫ですか、ルシス様」
「……明日から、帯剣するから」
「……はい」
ルシスは森で魔獣討伐をしていただけあって、その辺の男達よりも剣の腕が立つ。
万が一、城で言い寄る男が出てきたら、たとえ王族であろうと、ルシスは叩き斬ってしまうかも知れないと思った。
「……ルシス様、相手を殺さないようにお願いしますね」
サナがそう言ったが、ルシスには相手を殺さない自信はなかった。
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