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第二章 現世ダンジョン編 ~異世界から連れ戻された勇者は、竜騎士からの愛に戸惑う~

第六話 ゴブリンの虐殺

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 ダンジョンに探索者が殺到することを防ぐため、ダンジョン開発推進機構は抽選システムを導入し、入場者数を調整していた。ダンジョンフロアの広さに合わせて適正人数の討伐者数を設定しているのだ。
 ただ、これについては高ランクの討伐者は除外されており、Aランク以上の討伐者はフリーパスとなっていた。

「とりあえず、Aランクになることが最初の目的だな」

 僕とヒカルはバットを肩に担ぎながら歩いていく。彼の右手には紙製のダンジョンマップが握られていた。
 なんと、ダンジョンマップが入口に置かれていて、そのマップにはモンスターの湧き場所が記載されているのだ。

「……こっちのダンジョンって、なんかダンジョンて感じがしないんだよな」

 あまりにもシステム化され過ぎていて、未知のモンスターと戦うわくわく感がまったくなかった。
 参考書には、出没モンスターの弱点箇所までこと細かに記載されていて、何度か戦い慣れれば、モンスターも苦も無く倒せるようになるのは明らかであった。

「異世界とは違うからね。ネットで情報共有が進んでいるから、ある意味、異世界よりも進んでいるかもね」

「ふぅん」

 ちょっと面白くなさそうにヒカルは唇を尖らせる。
 ダンジョンの奥の方に行くと、ようやく空いている湧き場所が見つかった。
 これまでの湧き場所は、他の探索者に全部占有されていたのだ。

 この場には自分達だけしかいないことを確認すると、僕はヒカルに言った。

「“獣寄せ”のアイテム使うから。出てくる奴は君、全部倒せるよね」

「あ~、なるほど。ゼノンあったまいい!!」

 “獣寄せ”のアイテムは、異世界ではポピュラーなものだった。名前の通り、モンスターを呼び寄せるアイテムで、笛だったり、呼び寄せる香りを出すお香だったりする。
 僕が今回持ってきたのは、お香だった。
 ポケットから用意していたそれを、湧き場所地点に振りかける。ヒカルはぶんぶんと手を回して、バットを構えた。

「よし、来い!!」

 途端、地面から十匹以上のゴブリンが現れ、突進してきたのだった。

 それをヒカルは的確にゴブリンの頭を叩いて倒していく。次々と現れるゴブリンだが、ヒカルは難なくそれらをさばき、湧き場所から現れるのが止まると、山のように積みあがったゴブリンの遺体に「これ、どうするの?」と僕に聞いてきた。

「とりあえず、マジックバックに詰めておくよ」

 僕はゴブリンの遺体をマジックバックに詰める。
 そして今度はヒカルと交代して、僕が湧き出るゴブリン達を倒していった。
 正直、一方的な虐殺でしかない行為だった。
 
 一時間も経たないうちに、僕達はおのおの五十匹のゴブリンを倒した。よって、探索者レベルはDランクへと上がれるはずだった。
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