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49話 聖邪剣
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「戦況は膠着しているとの事です!」
謁見の間にて報告を聞く。
連合が纏まらない今、分かってはいた事だが、やはり戦況は芳しくない様だ。
神殿の奴らが横槍を入れさえしなければ、いくらでも数で押せるものを。
忌々しい話だ。
「まさかあの女の死が、こうまで影響するとはな」
リーンさえいれば、こんな事にはならなかっただろう。
彼女は超弩級が付く程のタカ派だった。
ガルガーノを悪だと断定していた彼女なら、討伐の為その強権で神殿を無理やりにでも動かしてくれていた筈だ。
「やれやれ」
少々頭のネジが外れていた女だったが、まさか彼女に死なれてそれが痛痒になるとは夢にも思もわなかった事だ。
恐らくそれすらも奴の策略なのだろう。
ガルガーノめ……
「あなた……殺気が漏れていますよ」
横に座る王妃――ラキアに窘められる。
周りを見ると、俺の殺気に当てられたのか、皆青い顔をして俯いていた。
「ああ、すまん。楽にしてくれ」
漏れ出ていた殺気を押さえ、心を静める。
厄介な状況に持ち込まれたと言うだけで、まだ負けたわけではない。
要はガルガーノを殺せば良いだけの事だ。
強い求心力を失えば、魔族共の結束など空中分解するに決まっている。
「剣の方はもう完成しているか?」
俺の愛剣、ブレイブソード。
その剣に、魔王城で見つけた邪悪な力を宿す宝玉を組み込むよう、国一番の錬金術師に依頼してからもう1年以上たつ。
半年前の時点で8割強との報告を受けていた。
あれから半年。
そこそこ忙しかったので細かい報告には目を通してはいないが、そろそろ完成していてもおかしくは無いだろう。
「はっ、報告によると9割9分完成しているそうです。ですが、最後の微調整に少々時間がかかる様でして」
「9割9分完成しているのなら、調整は俺手ずから行う。戦場でな」
勇者である俺には、錬金術師としての能力も備わっている
実際に振るいながら、自分で調整した方が手っ取り早い。
「戦場!?へ、陛下……しかしそれは」
謁見の間に動揺が走る。
元勇者とはいえ、今は一国の王。
それが前線に立つなど、普通なら考えられない話だ。
勿論俺だって余程の緊急事態でない限り、剣を取って前線に立つような馬鹿な真似はしない。
だが奴が相手ならば話は別だった。
もう既に、かつての仲間が3人やられている。
放っておけば、その刃は間違いなく俺の喉元に迫るだろう。
そして時間を与えれば与える程に、その刃は鋭くなっていく事は容易に想像できた。
ならば奴が手に負えなくなる前に、俺自らの手で粉砕してくれるまでだ。
「行かれるのですか?」
周りがざわつく中、ラキアは特に驚いた様子も無く聞いてくる。
彼女は俺の事を良く知っている。
こうなる事は予測していたのだろう。
「ああ、奴と決着を付けて来る。そして証明してやる。俺が奴より優れている事をな」
王になった後も自らの鍛錬は欠かさず続けてきた。
今の俺は魔王を討伐した頃よりも、更に強くなっている。
そこに聖と邪の力が合わさった剣の力迄加わるのだ、万に一つ俺の敗北はないだろう。
待っていろガルガーノ。
俺がお前に引導を渡してやる。
今度こそな。
謁見の間にて報告を聞く。
連合が纏まらない今、分かってはいた事だが、やはり戦況は芳しくない様だ。
神殿の奴らが横槍を入れさえしなければ、いくらでも数で押せるものを。
忌々しい話だ。
「まさかあの女の死が、こうまで影響するとはな」
リーンさえいれば、こんな事にはならなかっただろう。
彼女は超弩級が付く程のタカ派だった。
ガルガーノを悪だと断定していた彼女なら、討伐の為その強権で神殿を無理やりにでも動かしてくれていた筈だ。
「やれやれ」
少々頭のネジが外れていた女だったが、まさか彼女に死なれてそれが痛痒になるとは夢にも思もわなかった事だ。
恐らくそれすらも奴の策略なのだろう。
ガルガーノめ……
「あなた……殺気が漏れていますよ」
横に座る王妃――ラキアに窘められる。
周りを見ると、俺の殺気に当てられたのか、皆青い顔をして俯いていた。
「ああ、すまん。楽にしてくれ」
漏れ出ていた殺気を押さえ、心を静める。
厄介な状況に持ち込まれたと言うだけで、まだ負けたわけではない。
要はガルガーノを殺せば良いだけの事だ。
強い求心力を失えば、魔族共の結束など空中分解するに決まっている。
「剣の方はもう完成しているか?」
俺の愛剣、ブレイブソード。
その剣に、魔王城で見つけた邪悪な力を宿す宝玉を組み込むよう、国一番の錬金術師に依頼してからもう1年以上たつ。
半年前の時点で8割強との報告を受けていた。
あれから半年。
そこそこ忙しかったので細かい報告には目を通してはいないが、そろそろ完成していてもおかしくは無いだろう。
「はっ、報告によると9割9分完成しているそうです。ですが、最後の微調整に少々時間がかかる様でして」
「9割9分完成しているのなら、調整は俺手ずから行う。戦場でな」
勇者である俺には、錬金術師としての能力も備わっている
実際に振るいながら、自分で調整した方が手っ取り早い。
「戦場!?へ、陛下……しかしそれは」
謁見の間に動揺が走る。
元勇者とはいえ、今は一国の王。
それが前線に立つなど、普通なら考えられない話だ。
勿論俺だって余程の緊急事態でない限り、剣を取って前線に立つような馬鹿な真似はしない。
だが奴が相手ならば話は別だった。
もう既に、かつての仲間が3人やられている。
放っておけば、その刃は間違いなく俺の喉元に迫るだろう。
そして時間を与えれば与える程に、その刃は鋭くなっていく事は容易に想像できた。
ならば奴が手に負えなくなる前に、俺自らの手で粉砕してくれるまでだ。
「行かれるのですか?」
周りがざわつく中、ラキアは特に驚いた様子も無く聞いてくる。
彼女は俺の事を良く知っている。
こうなる事は予測していたのだろう。
「ああ、奴と決着を付けて来る。そして証明してやる。俺が奴より優れている事をな」
王になった後も自らの鍛錬は欠かさず続けてきた。
今の俺は魔王を討伐した頃よりも、更に強くなっている。
そこに聖と邪の力が合わさった剣の力迄加わるのだ、万に一つ俺の敗北はないだろう。
待っていろガルガーノ。
俺がお前に引導を渡してやる。
今度こそな。
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