4 / 32
第4話 再儀式
しおりを挟む
「お、王子!?本気ですか?」
新しく就任したばかりの大神官が、悲鳴のような声を上げる。
それはガルザス王子から彼に与えられた仕事――魔王の再封印に対する物だった。
「魔王の封印は安定しているのですぞ!?」
「黙れ!魔女の施した封印などあてになる物か!」
「ですが万一――」
「まさか貴様も魔女の一味では無かろうな!? 」
大神官が異を唱えようとするが、魔女という言葉で王子はそれを制する。
魔女の一味と認定されれば、前大神官に続いて処刑されかねない。
その為、新たな大神官は口を紡ぐしかなかった。
「異議がないのであれば、さっさと代わりの聖女を用意しろ。試練は無しで構わん」
「はい……」
聖女は厳しい節制と訓練を収め、さらに命がけの試練を乗り越えた者にのみ与えられる気高き称号だ。
だが王子はそれを簡略化しろという。
目的のためだけに用意された聖女を、果たして本当に聖女と呼んでいいのだろうか。
そう思いながらも、大神官は只頷くしかなかった。
「ならばさっさと選定を始めろ」
現在国王が病床の身であるため、国を実質的にし切っているのはガルザス王子だ。
その為、彼の決定には誰も逆らえなかった。
神に仕える教会と言えども、国に帰属する以上それは変わらない。
やがて一人の少女が聖女に任命される。
彼女はとても美しく、高い能力を有していた。
王子はその女性を見初め、婚約者として再封印の儀に臨む。
「聖女様がお亡くなりになられたぞ!?」
周囲に怒号と悲鳴が響き渡る。
封印のほころびから伸びた黒い触手が、首を切り落とされた聖女の体を掴み。
ずるずると結界内へと引きずり込んでいく。
再封印は失敗に終わる。
再封印には、一端かけかれている封印を弱める必要があった。
だが新たな聖女には、その隙をついて外に出ようとする魔王を押さえるだけの力――試練を乗り越え初めて得られる精神力――が無かった。
その為結界が破られ、綻びから伸びた触手の一本によって彼女は首を刎ね飛ばされてしまったのだ。
「馬鹿な……こんな馬鹿な……」
ビシビシと音を立てて結界に亀裂が走り。
かさぶたが禿げ落ちるかの様に、聖なる力で出来た被膜がボロボロと崩れ落ちていく。
その様子を目の当たりにし、王子は呆然とするしかなかた。
「王子!ここは危険です!」
国が傾きかねない大失態を犯した原因ではあるが、第一王子である事には変わりない。
近衛兵は呆然とする王子を引きずり、封印の祠から退避させる。
やがて封印は完全に崩れ去り。
中から黒い何か――魔王が姿を現す。
黒い靄の様な体に、全身から無数の触手が伸びる様はまさに悍悍ましい化け物のそれであり。
魔王と畏怖されるに相応しい姿であった。
「おお、神よ……」
恐怖に身がすくみ、逃げ損ねた大神官は神に祈る。
人生最後の祈りを。
この日魔王は復活を遂げ。
ガレーン王国は衰退の一途を辿る事となる。
新しく就任したばかりの大神官が、悲鳴のような声を上げる。
それはガルザス王子から彼に与えられた仕事――魔王の再封印に対する物だった。
「魔王の封印は安定しているのですぞ!?」
「黙れ!魔女の施した封印などあてになる物か!」
「ですが万一――」
「まさか貴様も魔女の一味では無かろうな!? 」
大神官が異を唱えようとするが、魔女という言葉で王子はそれを制する。
魔女の一味と認定されれば、前大神官に続いて処刑されかねない。
その為、新たな大神官は口を紡ぐしかなかった。
「異議がないのであれば、さっさと代わりの聖女を用意しろ。試練は無しで構わん」
「はい……」
聖女は厳しい節制と訓練を収め、さらに命がけの試練を乗り越えた者にのみ与えられる気高き称号だ。
だが王子はそれを簡略化しろという。
目的のためだけに用意された聖女を、果たして本当に聖女と呼んでいいのだろうか。
そう思いながらも、大神官は只頷くしかなかった。
「ならばさっさと選定を始めろ」
現在国王が病床の身であるため、国を実質的にし切っているのはガルザス王子だ。
その為、彼の決定には誰も逆らえなかった。
神に仕える教会と言えども、国に帰属する以上それは変わらない。
やがて一人の少女が聖女に任命される。
彼女はとても美しく、高い能力を有していた。
王子はその女性を見初め、婚約者として再封印の儀に臨む。
「聖女様がお亡くなりになられたぞ!?」
周囲に怒号と悲鳴が響き渡る。
封印のほころびから伸びた黒い触手が、首を切り落とされた聖女の体を掴み。
ずるずると結界内へと引きずり込んでいく。
再封印は失敗に終わる。
再封印には、一端かけかれている封印を弱める必要があった。
だが新たな聖女には、その隙をついて外に出ようとする魔王を押さえるだけの力――試練を乗り越え初めて得られる精神力――が無かった。
その為結界が破られ、綻びから伸びた触手の一本によって彼女は首を刎ね飛ばされてしまったのだ。
「馬鹿な……こんな馬鹿な……」
ビシビシと音を立てて結界に亀裂が走り。
かさぶたが禿げ落ちるかの様に、聖なる力で出来た被膜がボロボロと崩れ落ちていく。
その様子を目の当たりにし、王子は呆然とするしかなかた。
「王子!ここは危険です!」
国が傾きかねない大失態を犯した原因ではあるが、第一王子である事には変わりない。
近衛兵は呆然とする王子を引きずり、封印の祠から退避させる。
やがて封印は完全に崩れ去り。
中から黒い何か――魔王が姿を現す。
黒い靄の様な体に、全身から無数の触手が伸びる様はまさに悍悍ましい化け物のそれであり。
魔王と畏怖されるに相応しい姿であった。
「おお、神よ……」
恐怖に身がすくみ、逃げ損ねた大神官は神に祈る。
人生最後の祈りを。
この日魔王は復活を遂げ。
ガレーン王国は衰退の一途を辿る事となる。
1
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された悪役令嬢、放浪先で最強公爵に溺愛される
鍛高譚
恋愛
「スカーレット・ヨーク、お前との婚約は破棄する!」
王太子アルバートの突然の宣言により、伯爵令嬢スカーレットの人生は一変した。
すべては“聖女”を名乗る平民アメリアの企み。でっち上げられた罪で糾弾され、名誉を失い、実家からも追放されてしまう。
頼る宛もなく王都をさまよった彼女は、行き倒れ寸前のところを隣国ルーヴェル王国の公爵、ゼイン・ファーガスに救われる。
「……しばらく俺のもとで休め。安全は保証する」
冷徹な印象とは裏腹に、ゼインはスカーレットを庇護し、“形だけの婚約者”として身を守ってくれることに。
公爵家で静かな日々を過ごすうちに、スカーレットの聡明さや誇り高さは次第に評価され、彼女自身もゼインに心惹かれていく。
だがその裏で、王太子とアメリアの暴走は止まらず、スカーレットの両親までもが処刑の危機に――!
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる