21 / 59
第21話 坑道
しおりを挟む
坑道内の通路はかなり広い。
大人数人が横に並んでも問題なく進める程に。
更に等間隔で天井に電灯の様な物ががつけられている為、視界は良好だった。
俺達はリーダーの女性――ライラを先頭に、彼女の案内で担当区域を速足で進む。
他の大人連中はともかく、小柄な魔女っ子は重い荷物を持っての行軍はきついんじゃないかと思ったが、彼女も問題なく付いて来ていた。
どうやら見た目に反して、かなり体力がある様だ。
暫く進むと巨大な蟻が2体姿を現した。
この坑道内に巣食う魔物、ウォーアントだ。
体長1メートル程のそれは、巨大な顎をカチカチと鳴らし此方を威嚇してくる。
「ひよっこは下がってな!」
「お供しやすよ」
俺に向かって下がっている様指示し、重武装のヴォーグさんが前に出る。
それに付き従う様に髭のシーフ――シッヅが隊列から飛び出した。
俺はウォーアントの強さや、そもそも今の自分の強さ――永久コンボ抜きの――が良く分かってはいない。
彼らの戦いはその指針になるので、よく見ておく事にする。
「フンッ!」
「あらよっと」
2体のウォーアントを、ヴォーグとシッヅが素早く始末する。
ヴォーグは巨大なハルバードの突きで頭ごと胴を貫き、シッヅは素早い身のこなしで蟻の懐に入り込み、その首を手にしたショートソードで切り落とした。
「硬そうに見えたけど、案外そうでもないのか」
「奴らの外皮は硬いが、節の部分はそうでもない。シッヅはそこを狙ったんだ」
「そうなんですか」
シッヅが容易くショートソードで首を切り落とした事から、ウォーアントは見た目より柔らかい。
そう思ったが、どうやら違った様だ。
単純に技量の問題の様だった。
「先に進むぞ」
ライラさんはそう宣言してまた大股で歩き出した。
魔物の死体は放置する。
回収は討伐が終わってから業者がやる予定になているからだ。
俺達はその後も駆け足で坑道内を進む。
何度か蟻共と遭遇するが、その大半はヴォーグさんが1人で倒してしまう。
彼はかなりの腕前の様だ。
「ヴォーグ、あんた甘やかしすぎだよ」
休憩に入った所で、ライラさんが口を開いた。
甘やかし過ぎってのは、まあ俺の事だろう。
入って2時間程立つが、敵と遭遇するたびに彼に下がっていろと強く指示されていた為、俺はまだ一度も魔物と戦っていなかった。
「足手纏いにチョロつかれたんじゃ、邪魔なだけだ」
彼は装備が貧弱で魔物の事を良く分かっていなかった俺を無能と判断し、守ってくれていた――別に頼んでないけど。
どうやら見た目と口の割に、かなり優しい性格をしている様だ。
「あんたの気持ちも分かるけど、此処にいる全員報酬で雇われてるんだ。悪いが、リーダーとしてそこの坊やにも次からは戦闘に参加してもらう」
ライラさんはちらりと此方を見る。
その眼は、嫌ならとっとと失せなと雄弁に語っていた。
「わかりました。ここに来るまでサボらせて貰ったので、次からは俺が出来るだけ前に出て戦います」
「てめぇ、死にてぇのか?勇気と無謀は別物だぞ」
今度はヴォーグさんに睨まれた。
「大丈夫ですよ。俺も遊びできてる訳じゃないですから」
気づかいは有難いが、能無し寄生野郎のレッテルは面白くない。
戦いを見た感じ、ウォーアントはスライムの足元にも及ばないレベルの雑魚モンスターに感じる。
そして単純なパワーやスピードなら、ここにいる誰よりも俺の方が上だった。
他の人間が容易く狩れているのだ。
技術の差はあるだろうが、今の俺のフィジカルなら永久コンボ無しでも全く問題なく戦えるだろう。
「ふん!好きにしろ!」
そう言うと、ヴォーグさんは不機嫌そうにその場に寝ころんだ。
魔物の居るこんな場所で当たり前の様に寝っ転がるのは、豪快を超えて愚か極まりない行動としか言いようがない。
そんな行動が許されるのも、魔女っ娘――テアが魔法で結界を張っているからだった。
お陰で蟻に奇襲される心配する事無く休憩できる。
「さあ、出発するよ」
10分ほど休憩した所でライラさんがパンと手を叩く。
休憩終了の様だ。
俺はバックパックから水の入った革袋を取り出し、一口煽ってから彼女の後に続く。
さあ、レベル99村人の力を見せつけてやるとしよう。
大人数人が横に並んでも問題なく進める程に。
更に等間隔で天井に電灯の様な物ががつけられている為、視界は良好だった。
俺達はリーダーの女性――ライラを先頭に、彼女の案内で担当区域を速足で進む。
他の大人連中はともかく、小柄な魔女っ子は重い荷物を持っての行軍はきついんじゃないかと思ったが、彼女も問題なく付いて来ていた。
どうやら見た目に反して、かなり体力がある様だ。
暫く進むと巨大な蟻が2体姿を現した。
この坑道内に巣食う魔物、ウォーアントだ。
体長1メートル程のそれは、巨大な顎をカチカチと鳴らし此方を威嚇してくる。
「ひよっこは下がってな!」
「お供しやすよ」
俺に向かって下がっている様指示し、重武装のヴォーグさんが前に出る。
それに付き従う様に髭のシーフ――シッヅが隊列から飛び出した。
俺はウォーアントの強さや、そもそも今の自分の強さ――永久コンボ抜きの――が良く分かってはいない。
彼らの戦いはその指針になるので、よく見ておく事にする。
「フンッ!」
「あらよっと」
2体のウォーアントを、ヴォーグとシッヅが素早く始末する。
ヴォーグは巨大なハルバードの突きで頭ごと胴を貫き、シッヅは素早い身のこなしで蟻の懐に入り込み、その首を手にしたショートソードで切り落とした。
「硬そうに見えたけど、案外そうでもないのか」
「奴らの外皮は硬いが、節の部分はそうでもない。シッヅはそこを狙ったんだ」
「そうなんですか」
シッヅが容易くショートソードで首を切り落とした事から、ウォーアントは見た目より柔らかい。
そう思ったが、どうやら違った様だ。
単純に技量の問題の様だった。
「先に進むぞ」
ライラさんはそう宣言してまた大股で歩き出した。
魔物の死体は放置する。
回収は討伐が終わってから業者がやる予定になているからだ。
俺達はその後も駆け足で坑道内を進む。
何度か蟻共と遭遇するが、その大半はヴォーグさんが1人で倒してしまう。
彼はかなりの腕前の様だ。
「ヴォーグ、あんた甘やかしすぎだよ」
休憩に入った所で、ライラさんが口を開いた。
甘やかし過ぎってのは、まあ俺の事だろう。
入って2時間程立つが、敵と遭遇するたびに彼に下がっていろと強く指示されていた為、俺はまだ一度も魔物と戦っていなかった。
「足手纏いにチョロつかれたんじゃ、邪魔なだけだ」
彼は装備が貧弱で魔物の事を良く分かっていなかった俺を無能と判断し、守ってくれていた――別に頼んでないけど。
どうやら見た目と口の割に、かなり優しい性格をしている様だ。
「あんたの気持ちも分かるけど、此処にいる全員報酬で雇われてるんだ。悪いが、リーダーとしてそこの坊やにも次からは戦闘に参加してもらう」
ライラさんはちらりと此方を見る。
その眼は、嫌ならとっとと失せなと雄弁に語っていた。
「わかりました。ここに来るまでサボらせて貰ったので、次からは俺が出来るだけ前に出て戦います」
「てめぇ、死にてぇのか?勇気と無謀は別物だぞ」
今度はヴォーグさんに睨まれた。
「大丈夫ですよ。俺も遊びできてる訳じゃないですから」
気づかいは有難いが、能無し寄生野郎のレッテルは面白くない。
戦いを見た感じ、ウォーアントはスライムの足元にも及ばないレベルの雑魚モンスターに感じる。
そして単純なパワーやスピードなら、ここにいる誰よりも俺の方が上だった。
他の人間が容易く狩れているのだ。
技術の差はあるだろうが、今の俺のフィジカルなら永久コンボ無しでも全く問題なく戦えるだろう。
「ふん!好きにしろ!」
そう言うと、ヴォーグさんは不機嫌そうにその場に寝ころんだ。
魔物の居るこんな場所で当たり前の様に寝っ転がるのは、豪快を超えて愚か極まりない行動としか言いようがない。
そんな行動が許されるのも、魔女っ娘――テアが魔法で結界を張っているからだった。
お陰で蟻に奇襲される心配する事無く休憩できる。
「さあ、出発するよ」
10分ほど休憩した所でライラさんがパンと手を叩く。
休憩終了の様だ。
俺はバックパックから水の入った革袋を取り出し、一口煽ってから彼女の後に続く。
さあ、レベル99村人の力を見せつけてやるとしよう。
2
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる