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第22話 覚悟
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「がっ、つぅ……」
俺は覚悟を決めてケトラのいるダンジョンへと向かい。
そして――
ケトラの突進を躱せず吹き飛ばされた。
「いてぇ……」
ケトラの突進速度は、俺が考えているよりずっと早かった。
それは想定外と言えることだったが、それでも、決して躱せない様な攻撃じゃなかった。
そう、躱せるはずだったんだ。
だが躱せなかった。
何故か?
体が硬直してしまったからだ。
死の恐怖に。
「覚悟して来たつもりだったのに……」
頭の中では覚悟したつもりでいた。
だが想定外の速度で迫るケトラに、俺は一瞬死を想像してしまったのだ。
そして身が竦《すく》み、結果、躱し切れずにこの様である。
不幸中の幸いだったのは、最低限動けたので直撃は避けられた事。
そして、幸運ガードが発動してくれたことだろう。
特に後者は大きい。
発動してなおこの痛みなのだ。
もし発動していなかったら、完全に戦闘不能になっていたはず。
「ボヤいてる場合じゃねぇな……」
俺を吹き飛ばしたケトラは離れた場所で止まり、そしてゆっくりと旋回する。
そして前足で地面を数度蹴り、再び突進の体勢へと入った。
突進は基本的に初段だけだが、こうやって吹き飛ばされてしまうと、再び飛んでくる様だ。
「はぁ……逃げ出したくなってきた」
また身が竦んで躱し損ねたら?
そして幸運ガードが発動しなかったら?
そう思うと、怖くて仕方ない。
逃げられる物なら逃げてしまいたいと思ってしまう。
「なさけねぇ、気合を入れろ!」
自分の頬を、力強く叩く。
どうしようもない状況なら兎も角、ちゃんと動けば対処可能な攻撃だ。
死ぬのが怖くてそんな物から逃げ出したら、これから先、少しでも死ぬ可能性もある物からは逃げ続ける事になってしまうだろう。
その先に待っているのは、Cランクで妥協するその他大勢のシーカー達の仲間入りだ。
別に彼らの生き方を否定する気はない。
よっぽど賢い選択である。
だが、俺の目標は一流と呼ばれるシーカーだ。
死の恐怖から逃げ回る様な奴に、そこに登る資格などある筈もない。
「躱す!」
『ドドドド』と重い足音を立て、ケトラが突っ込んでくる。
俺はその姿を見据え、余計な考えを捨ててその姿にだけ集中した。
「はぁっ!」
ケトラの攻撃をギリギリで躱す。
今度は身が竦まなかった。
「今度はこっちの番だぜ!」
通り過ぎて行ったケトラを追い。
奴が身を翻す隙を狙って短剣を振りまくる。
滅多切りだ。
が――
「硬った!」
全弾クリティカル。
だがその傷跡は全てかすり傷ていど。
全然効いてやがらねぇ。
こいつ、ゴーレムより硬いぞ。
「ち……こりゃ長期戦になりそうだ」
真面なダメージはダブルクリティカル頼り。
なので、下手をしたら何百発も殴る羽目になりかねない。
「っと!」
ケトラが角で突いて来た。
俺はそれを躱しつつ、奴の顔面に短剣を振るう。
情報通り、突進以外の攻撃の速度は大した事はない。
なので、回避しながら戦うのはそれ程苦労はしないだろう。
問題はスタミナ面だが――
「けどまあ、スタミナには自信があるんでね!削りまくってやるぜ!」
――そこは自信があった。
なにせこれまで10年以上、俺は体を鍛え続けてきたのだ。
特にスタミナは、長丁場になりがちな高ランクダンジョンの探索に適応するため徹底的に鍛え上げて来た。
多少の長期戦程度でへばりはしない。
俺はケトラの攻撃を捌きつつ、短剣で攻撃を続けていく。
そして――
「はぁ……はぁ……」
――ダブルクリティカル頼りで奴を削り切った。
「マジかよ……時間かかり過ぎだろ」
ズボンから時計を出して時間を確認すると、1時間近くたっていた。
いくらスタミナに自信があったとはいえ、1時間のぶっ続けで戦い続けるのは流石にきつい。
もうフラフラだ。
「もう少し長引いたらやばかったな。つうか、ダブルクリティカル出なさすぎ」
確率的には8%ある筈なのだが、体感だと3%位しか出ていなかった。
確率下振れ過ぎ。
ざっけんな。
「はぁ……けどまあ、頑張った甲斐《かい》はあったな」
レベルを確認すると、一気に3つも上がっていた。
流石11レベル上である。
経験値美味過ぎ。
「幸運上げて、と」
体力を上げたくなるが、そこはぐっとこらえてちゃんと幸運に振る。
因みに体力はスタミナと、防御力が上がるステータスだ。
タンク系は、筋力や敏捷性よりこっちの方が重要になって来る。
なにせ、敵の攻撃を受け止めるのが仕事な訳だからな。
あと、言うまでもないと思うが、タンク系のクラスはパーティー前提だ。
攻撃力は控えめなので、ソロにはあまり向かないからな。
まあ体力上げずに筋力とか上げれば多少話は変わって来るけど、そうなるとパーティーでの居場所がなくなるので、普通のシーカーは体力を上げてパーティーを組む事を選ぶ。
レアクラス以上とか、ユニークスキル持ちなら話も変わって来るんだろうけど。
「とりあえず、1時間休憩しよう」
その場で休憩するとケトラがリポップするかもしれないので、俺は一旦魔物の出ないホールまで戻った。
すると――
「あ、また会ったね。おにーさん」
昨日ゴーレムのダンジョンで出会った少女、天魔輪廻がそこにいた。
俺は覚悟を決めてケトラのいるダンジョンへと向かい。
そして――
ケトラの突進を躱せず吹き飛ばされた。
「いてぇ……」
ケトラの突進速度は、俺が考えているよりずっと早かった。
それは想定外と言えることだったが、それでも、決して躱せない様な攻撃じゃなかった。
そう、躱せるはずだったんだ。
だが躱せなかった。
何故か?
体が硬直してしまったからだ。
死の恐怖に。
「覚悟して来たつもりだったのに……」
頭の中では覚悟したつもりでいた。
だが想定外の速度で迫るケトラに、俺は一瞬死を想像してしまったのだ。
そして身が竦《すく》み、結果、躱し切れずにこの様である。
不幸中の幸いだったのは、最低限動けたので直撃は避けられた事。
そして、幸運ガードが発動してくれたことだろう。
特に後者は大きい。
発動してなおこの痛みなのだ。
もし発動していなかったら、完全に戦闘不能になっていたはず。
「ボヤいてる場合じゃねぇな……」
俺を吹き飛ばしたケトラは離れた場所で止まり、そしてゆっくりと旋回する。
そして前足で地面を数度蹴り、再び突進の体勢へと入った。
突進は基本的に初段だけだが、こうやって吹き飛ばされてしまうと、再び飛んでくる様だ。
「はぁ……逃げ出したくなってきた」
また身が竦んで躱し損ねたら?
そして幸運ガードが発動しなかったら?
そう思うと、怖くて仕方ない。
逃げられる物なら逃げてしまいたいと思ってしまう。
「なさけねぇ、気合を入れろ!」
自分の頬を、力強く叩く。
どうしようもない状況なら兎も角、ちゃんと動けば対処可能な攻撃だ。
死ぬのが怖くてそんな物から逃げ出したら、これから先、少しでも死ぬ可能性もある物からは逃げ続ける事になってしまうだろう。
その先に待っているのは、Cランクで妥協するその他大勢のシーカー達の仲間入りだ。
別に彼らの生き方を否定する気はない。
よっぽど賢い選択である。
だが、俺の目標は一流と呼ばれるシーカーだ。
死の恐怖から逃げ回る様な奴に、そこに登る資格などある筈もない。
「躱す!」
『ドドドド』と重い足音を立て、ケトラが突っ込んでくる。
俺はその姿を見据え、余計な考えを捨ててその姿にだけ集中した。
「はぁっ!」
ケトラの攻撃をギリギリで躱す。
今度は身が竦まなかった。
「今度はこっちの番だぜ!」
通り過ぎて行ったケトラを追い。
奴が身を翻す隙を狙って短剣を振りまくる。
滅多切りだ。
が――
「硬った!」
全弾クリティカル。
だがその傷跡は全てかすり傷ていど。
全然効いてやがらねぇ。
こいつ、ゴーレムより硬いぞ。
「ち……こりゃ長期戦になりそうだ」
真面なダメージはダブルクリティカル頼り。
なので、下手をしたら何百発も殴る羽目になりかねない。
「っと!」
ケトラが角で突いて来た。
俺はそれを躱しつつ、奴の顔面に短剣を振るう。
情報通り、突進以外の攻撃の速度は大した事はない。
なので、回避しながら戦うのはそれ程苦労はしないだろう。
問題はスタミナ面だが――
「けどまあ、スタミナには自信があるんでね!削りまくってやるぜ!」
――そこは自信があった。
なにせこれまで10年以上、俺は体を鍛え続けてきたのだ。
特にスタミナは、長丁場になりがちな高ランクダンジョンの探索に適応するため徹底的に鍛え上げて来た。
多少の長期戦程度でへばりはしない。
俺はケトラの攻撃を捌きつつ、短剣で攻撃を続けていく。
そして――
「はぁ……はぁ……」
――ダブルクリティカル頼りで奴を削り切った。
「マジかよ……時間かかり過ぎだろ」
ズボンから時計を出して時間を確認すると、1時間近くたっていた。
いくらスタミナに自信があったとはいえ、1時間のぶっ続けで戦い続けるのは流石にきつい。
もうフラフラだ。
「もう少し長引いたらやばかったな。つうか、ダブルクリティカル出なさすぎ」
確率的には8%ある筈なのだが、体感だと3%位しか出ていなかった。
確率下振れ過ぎ。
ざっけんな。
「はぁ……けどまあ、頑張った甲斐《かい》はあったな」
レベルを確認すると、一気に3つも上がっていた。
流石11レベル上である。
経験値美味過ぎ。
「幸運上げて、と」
体力を上げたくなるが、そこはぐっとこらえてちゃんと幸運に振る。
因みに体力はスタミナと、防御力が上がるステータスだ。
タンク系は、筋力や敏捷性よりこっちの方が重要になって来る。
なにせ、敵の攻撃を受け止めるのが仕事な訳だからな。
あと、言うまでもないと思うが、タンク系のクラスはパーティー前提だ。
攻撃力は控えめなので、ソロにはあまり向かないからな。
まあ体力上げずに筋力とか上げれば多少話は変わって来るけど、そうなるとパーティーでの居場所がなくなるので、普通のシーカーは体力を上げてパーティーを組む事を選ぶ。
レアクラス以上とか、ユニークスキル持ちなら話も変わって来るんだろうけど。
「とりあえず、1時間休憩しよう」
その場で休憩するとケトラがリポップするかもしれないので、俺は一旦魔物の出ないホールまで戻った。
すると――
「あ、また会ったね。おにーさん」
昨日ゴーレムのダンジョンで出会った少女、天魔輪廻がそこにいた。
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