スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一

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第41話 明日にしよう

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「ふむ、ここだな」

『コンコン』と、手の甲で軽く壁を叩く。
俺の今叩いた壁の先が、以前見つけた隠し通路である。

レベル上げは終わったのか?

終わってないよ。
2週間程狩りして、現在のレベルはまだ56だ。
なので目標レベルである60には達していない。

なら何故やって来たのか?
もちろん我慢できなかったから……

ではなく。
よくよく考えて、ダブルガード効果にミステリアス。
それに神出鬼没もあるのだから、格上でも余程の事がない限りやられる心配はないだろうと判断したからだ。

つまり、これは合理的な判断なのである。

本音は?
うん、我慢できなかった。
リスクが低いのなら、そりゃしょうがないよね。
だって若者だもの。

「周囲には魔物の影は無し……と」

隠し通路は、魔物の攻撃で壊してもらう必要がある。
まあ前の所と同じであるならば。
ではあるが。

なら魔物をこの場まで引っ張って来るか?

そんな必要はない。
なにせ俺には壁や床を通り抜けられるミステリアスがあるからな。

「とりあえず、3分ここで待機してから中に入ろう」

神出鬼没のワープ効果は、3分の再使用時間があった。
このダンジョンの隠し通路のあるポイントへは、直接飛んで来ている。
なので、もう一回使おうとすると、3分待たなければならないのだ。

隠し通路の中が安全とは限らないからな。
入る前に万全の状態にしておかんと。

「よし、じゃあ入るか」

待機中に魔物が来るかもしれないと思って警戒していたが、特にエンカウントはなかった。
俺はミステリアスを発動し、壁をすり抜け隠し通路へと入る。

「お、表示が増えたな」

鑑定によるダンジョンマップに、隠し通路の形が浮かび上がった。
どうやら、壁をはかいしなくても中に入るだけで表示されるようになっている様だ。
通路はそれ程長くはなく、ちょっと歩くと行き止まりに辿り着く。

そして最奥にポツリとある宝箱。

「鑑定、と」

当然俺はそれを鑑定する。
案の定、罠付きの宝箱だった。

「何々……開けると特殊な魔物が通路側に出て来るのか」

どうやら、今度のトラップは走り抜ければいいという訳ではない様だ。
まあアイテム回収と同時に、神出鬼没で家に帰ってしまえば全く問題ない訳だが……

「特殊な魔物だったら、なんかいいアイテム落としそうだよな」

今日の確変は既にスライムで使ってしまっている。
つまり、そいつからレアスティールなりドロップなりは狙えないという訳である。

「まあ一応鑑定で確認して、良さげな物が手に入る様だったら明日改めて取りにくれば……いや、そのモンスターってずっと残ってんのか?」

時間が経ったら消えてしまう可能性も十分考えられる。
なにせ普通の魔物と違う訳だからな。
もしそうだったら、仮に当たりのアイテムを持っていても、手に入れられなくなってしまう事に。

「それは嫌だな。よし!明日また来よう!」

という訳で、その日は帰宅した。
狩りをしないのは、今日がブーストポーションの隙間日だからだ。

「なんかシーカー関連のニュースないかな」

タブレットを使い、ニュースを漁る。

「うわぁ。フランスのセイファーギルド、レベル97のボス討伐失敗したのか」

ボス討伐失敗は事実上の全滅を指す。
そのため、セイファーギルドは主要メンバー42人を失った事になる。
レベル90台を42人も失うとか、大打撃どころの話ではない。
フランス最大手の一つとは言え、もはやギルド存続の危機レベルである。

「悲惨すぎだろ。つか、よくそんな冒険を犯す気になったよな」

現在の公式討伐記録は、レベル95のボスモンスターが最高だ。
今回セイファーギルドは、その上を行く97に挑戦している。
限界への挑戦と言えば聞こえはいいが、一発勝負のボスは余りにもリスクが高すぎる行為だ。

「まあ95を28人で軽くやれたから、レベル97は42人居れば行けるとか思っちまったんたんだろうな。同系統の魔物っぽいし」

同系統のボス。
そしてレベル差はたったの2で。
しかも人数は14人も増やして挑む。

これぐらいの条件なら、行けると思ってしまったのだろう。
もし俺がセイファーギルドの人間だったとしても、きっと同じ判断を下していたはず。

「ダンジョンはほんと、怖いねぇ」

ま、だからってシーカーで上を目指すのを止めるつもりは更々ないけど。
そもそも、逃げ足だけなら今の俺以上はいないだろうからな。
まさに怪盗の本領発揮って奴よ。

「他はなんか記事ねぇかな……ん?Dランクダンジョンにゴキブリ現る?なんだそりゃ?」

ダンジョンにゴキブリが出た程度では、記事にはならないだろう。
小さな虫だし、ゲートをくぐって中に入る事だってある訳だしな。

「そう考えると……ゴキブリみたいなコスプレした奴が、徘徊して他シーカーを驚かせてるって感じか」

いわゆる迷惑系という奴だ。
有名になる為になら何でもやる。
正に社会のダニ的存在と言っていい。

「ゴキブリとして有名になるとか、何が嬉しいんだか」

他人からそんな名前で認知されたら、俺なら発狂するね。
この手の行動をする奴の脳みそは、一体どうなっているのやら。

「くだらなさすぎて見る価値もねぇ」

その記事はスルーし、俺は他の記事を漁るのだった。
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