112 / 152
第111話 救済
しおりを挟む
偶々このダンジョンに来ていて、比較的近くにいた?
もしくは、普通なら2日はかかるであろう道のりを1時間程度で駆け抜けて来た。
普通なら前者と考えるだろう。
けど、竜崎守達なら後者でもおかしくはない。
まあ何にせよ、彼らを事前に呼び出した勇気の好判断だ。
これで状況は一変した。
「りゅ、竜崎守だと!?」
「なんでこんな所に化け物野郎が!?
鬼頭達が、突如背後から現れた乱入者に驚愕する。
普通の相手だったなら、きっとここまで奴らも動揺しなかっただろう。
それなら単に頭数が増えただけだからな。
だが、相手が最強と名高い竜崎守なら話は違ってくる。
とにかくこいつの強さは桁違いだからな。
一人いるだけでこの状況をひっくり返すだけの力がある。
「俺は、大城大成さん達には大きな借りがある。お前たちがその身内に手を出すというのなら……俺が相手だ」
竜崎守の姿が竜人形態に変わる。
大城家との交流があるようで、やる気満々って感じだ。
「う、うぅ……」
「ま、まずくないか……」
「どうします!?鬼頭さん!?」
おー、おー、ビビってるビビってる。
時代劇の水戸黄門で、黄門様一行が印籠出すシーンみたいに。
まあ時代劇だとこの後『偽物だ!斬れぇ!!』ってなる訳だが……そうなっても、特に問題なく感じる安心感が竜崎守にはあるから困る。
「油断丸出しですよ。マスター」
「まあ勝ち確だし」
天魔輪廻も強いだろうし。
あの二人と組んでいる神崎エデンって人も、絶対強いはず。
正直こうなるともう、こっちの負けは絶対無いって断言できる。
ゲームとかなら勝利のBGMとかに流れてるよ。
絶対。
「皆さん落ち着いてください」
細目の猿渡が手を叩いて破裂音を出した。
「相手がどれだけ強かろうと、此方は数で優ってるんです。そもそも我々には後がないんですよ?今更恐れてどうするんですか」
「おめぇの言う通りだな。今更か……」
このまま行けば相手が降参しそうだったんだが……猿渡の言葉に、鬼頭達の動揺が収まってしまう。
こいつら、やってる事は小悪党そのものだが、流石にSランクのシーカー達だけあって切り替えが早くて困る。
「てめぇら!大城姉妹以外はぶち殺せ!!」
「おおおおおお!」
「やってやるぜ!」
鬼頭達が雄叫びを上げて動き出す。
だが次の瞬間――
「——っ!?」
―—一瞬で何人かが吹っ飛んだ。
「なんだ!?」
「何が起きた!?」
竜崎守だ。
そのあまりの速さに、鬼頭達はきっと自分達に何が起こっているのか分かっていないはず。
「はっや……」
遠目からだから辛うじて動きの影の様な物を捕らえる事が出来たが、近くだったら絶対動きは見えなかったはずだ。
明らかに俺とゲームで戦った時より早い。
それもかなり。
どうなってんだ?
「自分と戦った時より早いって思ってますね?」
「ああ」
どんどんと鬼頭達が吹っ飛んでいく。
彼らも流石に攻撃されているのには気づいているようだが、いかんせん相手が速すぎて全く対応できていない。
完全に俺達の出る幕なしだ。
「それは装備と強化魔法のせいですよ」
「ああ、なるほど」
グーベルバトルでは特殊効果なしの普通の武器防具しか使えない。
それに、現実でなら強化魔法なんかも――使えるクラスは少ないが――貰える。
だからあのバカげたスピードな訳か。
「おっと、終わりましたね」
ほんの三十秒ぐらいだ。
竜崎守の手によって鬼頭達は全員地面に伏し、ピクリとも動かなくなっていた。
因みに、たぶん誰も死んでない。
ちゃんと殺さないよう手加減してこの秒殺劇である。
「えっぐいな、おい」
仮に俺がリッチと戦ってた時のバフと幸運ブーストがあったとしても、きっと瞬殺されていただろう。
それぐらいとんでもない強さだ。
だって4パーティーいりゃ、ルーンリッチに勝てるメンツの3パーティーを秒殺してるんだぜ?
「ん?何してるんだ?」
動かなくなった奴らに、神崎エデンが何かをしている。
そして全員に触れ終わった後――
「罪には罰を。愛は痛みであり。それこそが贖罪となる。さあ、罪を償うのです。安心してください。私もあなた方と共に苦しみましょう」
―—彼女は服の袖を大きくまくって、肩に尖った何かを突き刺した。
その瞬間――
「ぎゃああああああ!」
「ぐあああああああ!!」
「いでぇ!いでぇよ!!」
倒れていた全員が肩を抑えて絶叫する。
急になんだ?
なんかホラーなんだが?
「彼女のクラススキルに、痛みの伝播ってのがあるんですよ。要は、自分の感じた痛みを相手にも与えるスキルですね。で、彼女はスキルで痛みを何倍にも増幅するスキルもあって、それを使いつつ倒れた人達と共有してる訳です」
「自分もまき来んだ拷問って訳か……」
鬼頭達の反応からやばい痛みのはず。
だが、とうの本人は恍惚の笑顔を浮かべている。
ドエムかよ、この女。
「本人は拷問とは考えていない様ですよ。愛と、愛による救済だと思ってるみたいです。いやー、怖いですねぇ。宗教って」
「……」
神崎は更に何度も肩に刃を突き立てる。
変わらず恍惚の笑顔で。
「ぎゃああああああ!」
「たすけてくれぇぇぇぇぇ!!」
「ひいいいぃぃぃぃぃ!!!」
地獄絵図にしか見えんのだが、これが愛による救済の図か。
本当に宗教って怖いな。
もしくは、普通なら2日はかかるであろう道のりを1時間程度で駆け抜けて来た。
普通なら前者と考えるだろう。
けど、竜崎守達なら後者でもおかしくはない。
まあ何にせよ、彼らを事前に呼び出した勇気の好判断だ。
これで状況は一変した。
「りゅ、竜崎守だと!?」
「なんでこんな所に化け物野郎が!?
鬼頭達が、突如背後から現れた乱入者に驚愕する。
普通の相手だったなら、きっとここまで奴らも動揺しなかっただろう。
それなら単に頭数が増えただけだからな。
だが、相手が最強と名高い竜崎守なら話は違ってくる。
とにかくこいつの強さは桁違いだからな。
一人いるだけでこの状況をひっくり返すだけの力がある。
「俺は、大城大成さん達には大きな借りがある。お前たちがその身内に手を出すというのなら……俺が相手だ」
竜崎守の姿が竜人形態に変わる。
大城家との交流があるようで、やる気満々って感じだ。
「う、うぅ……」
「ま、まずくないか……」
「どうします!?鬼頭さん!?」
おー、おー、ビビってるビビってる。
時代劇の水戸黄門で、黄門様一行が印籠出すシーンみたいに。
まあ時代劇だとこの後『偽物だ!斬れぇ!!』ってなる訳だが……そうなっても、特に問題なく感じる安心感が竜崎守にはあるから困る。
「油断丸出しですよ。マスター」
「まあ勝ち確だし」
天魔輪廻も強いだろうし。
あの二人と組んでいる神崎エデンって人も、絶対強いはず。
正直こうなるともう、こっちの負けは絶対無いって断言できる。
ゲームとかなら勝利のBGMとかに流れてるよ。
絶対。
「皆さん落ち着いてください」
細目の猿渡が手を叩いて破裂音を出した。
「相手がどれだけ強かろうと、此方は数で優ってるんです。そもそも我々には後がないんですよ?今更恐れてどうするんですか」
「おめぇの言う通りだな。今更か……」
このまま行けば相手が降参しそうだったんだが……猿渡の言葉に、鬼頭達の動揺が収まってしまう。
こいつら、やってる事は小悪党そのものだが、流石にSランクのシーカー達だけあって切り替えが早くて困る。
「てめぇら!大城姉妹以外はぶち殺せ!!」
「おおおおおお!」
「やってやるぜ!」
鬼頭達が雄叫びを上げて動き出す。
だが次の瞬間――
「——っ!?」
―—一瞬で何人かが吹っ飛んだ。
「なんだ!?」
「何が起きた!?」
竜崎守だ。
そのあまりの速さに、鬼頭達はきっと自分達に何が起こっているのか分かっていないはず。
「はっや……」
遠目からだから辛うじて動きの影の様な物を捕らえる事が出来たが、近くだったら絶対動きは見えなかったはずだ。
明らかに俺とゲームで戦った時より早い。
それもかなり。
どうなってんだ?
「自分と戦った時より早いって思ってますね?」
「ああ」
どんどんと鬼頭達が吹っ飛んでいく。
彼らも流石に攻撃されているのには気づいているようだが、いかんせん相手が速すぎて全く対応できていない。
完全に俺達の出る幕なしだ。
「それは装備と強化魔法のせいですよ」
「ああ、なるほど」
グーベルバトルでは特殊効果なしの普通の武器防具しか使えない。
それに、現実でなら強化魔法なんかも――使えるクラスは少ないが――貰える。
だからあのバカげたスピードな訳か。
「おっと、終わりましたね」
ほんの三十秒ぐらいだ。
竜崎守の手によって鬼頭達は全員地面に伏し、ピクリとも動かなくなっていた。
因みに、たぶん誰も死んでない。
ちゃんと殺さないよう手加減してこの秒殺劇である。
「えっぐいな、おい」
仮に俺がリッチと戦ってた時のバフと幸運ブーストがあったとしても、きっと瞬殺されていただろう。
それぐらいとんでもない強さだ。
だって4パーティーいりゃ、ルーンリッチに勝てるメンツの3パーティーを秒殺してるんだぜ?
「ん?何してるんだ?」
動かなくなった奴らに、神崎エデンが何かをしている。
そして全員に触れ終わった後――
「罪には罰を。愛は痛みであり。それこそが贖罪となる。さあ、罪を償うのです。安心してください。私もあなた方と共に苦しみましょう」
―—彼女は服の袖を大きくまくって、肩に尖った何かを突き刺した。
その瞬間――
「ぎゃああああああ!」
「ぐあああああああ!!」
「いでぇ!いでぇよ!!」
倒れていた全員が肩を抑えて絶叫する。
急になんだ?
なんかホラーなんだが?
「彼女のクラススキルに、痛みの伝播ってのがあるんですよ。要は、自分の感じた痛みを相手にも与えるスキルですね。で、彼女はスキルで痛みを何倍にも増幅するスキルもあって、それを使いつつ倒れた人達と共有してる訳です」
「自分もまき来んだ拷問って訳か……」
鬼頭達の反応からやばい痛みのはず。
だが、とうの本人は恍惚の笑顔を浮かべている。
ドエムかよ、この女。
「本人は拷問とは考えていない様ですよ。愛と、愛による救済だと思ってるみたいです。いやー、怖いですねぇ。宗教って」
「……」
神崎は更に何度も肩に刃を突き立てる。
変わらず恍惚の笑顔で。
「ぎゃああああああ!」
「たすけてくれぇぇぇぇぇ!!」
「ひいいいぃぃぃぃぃ!!!」
地獄絵図にしか見えんのだが、これが愛による救済の図か。
本当に宗教って怖いな。
33
あなたにおすすめの小説
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
狐侍こんこんちき
月芝
歴史・時代
母は出戻り幽霊。居候はしゃべる猫。
父は何の因果か輪廻の輪からはずされて、地獄の官吏についている。
そんな九坂家は由緒正しいおんぼろ道場を営んでいるが、
門弟なんぞはひとりもいやしない。
寄りつくのはもっぱら妙ちきりんな連中ばかり。
かような家を継いでしまった藤士郎は、狐面にていつも背を丸めている青瓢箪。
のんびりした性格にて、覇気に乏しく、およそ武士らしくない。
おかげでせっかくの剣の腕も宝の持ち腐れ。
もっぱら魚をさばいたり、薪を割るのに役立っているが、そんな暮らしも案外悪くない。
けれどもある日のこと。
自宅兼道場の前にて倒れている子どもを拾ったことから、奇妙な縁が動きだす。
脇差しの付喪神を助けたことから、世にも奇妙な仇討ち騒動に関わることになった藤士郎。
こんこんちきちき、こんちきちん。
家内安全、無病息災、心願成就にて妖縁奇縁が来来。
巻き起こる騒動の数々。
これを解決するために奔走する狐侍の奇々怪々なお江戸物語。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
勘当された少年と不思議な少女
レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。
理由は外れスキルを持ってるから…
眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。
そんな2人が出会って…
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる