111 / 152
第110話 出番です
しおりを挟む
素早く回復薬を摂取する。
聖達もそうだ。
「やっと元に戻ったか」
中に入ってきた奴らの性別が、俺達の目の前で元に戻っていく。
どうやら、ラッキースケベの持続時間は1時間程の様だ。
もう少し手古摺ってたら、ボス戦の途中でバフが消えてた可能性があったのか……
いや、そんな事はどうでもいい。
今はこの状況をどうするかだ。
こいつらがこのまま『ボス討伐おめでとう』と、終わらせる訳もないのだから。
「鬼頭さん……なぜこんな真似を?」
大城恵が、集団のリーダーっぽい奴。
鬼頭に声をかけた。
「おいおい、お嬢さんよ。本気で聞いてるのか?」
「言いたい事が分からない訳ではありません。でも……これはやり過ぎでしょう」
大城恵は相手を責めない。
それどころか、穏やかに話を続ける。
ここで逆上すれば、即座に戦闘に突入する事になりかねない。
それを避けるため、彼女は可能な限り冷静に務めて話し合いに臨んでいるのだろう。
「……」
正直、この状況で話し合いが通じるとは思えない。
それが可能な相手なら、そもそもこんな酷い事態になっていないはず。
大城恵だってそれは分かっているだろう。
なら何故そんな真似をするのか?
答えは簡単だ。
時間稼ぎである。
俺達はボス戦でほぼスキルを使い切っているからな。
スキルは強力なものほど、再使用制限が長い傾向にある。
だから時間を稼いで、少しでもその手のスキルを使える状態にしようとしている訳だ。
「やり過ぎ?まあそうだな。けど……軽んじられて笑ってられる程、俺達は人間出来てねーんだよ。だから報復はやり過ぎなぐらいで丁度いいのさ」
返答と共に、鬼頭が腰の鞘から大剣を引き抜いた。
「時間稼ぎに付き合うつもりはねぇ。弱ってるうちに叩かせて貰うぜ」
相手も馬鹿ではないので、こっちの魂胆はお見通しの様だ。
「……ここで私達を殺しても逃げ場はありませんよ?お爺様が、貴方方に必ず報復するはずです」
「ああ、分かってるぜ。だから俺達はここを出た足でそのまま中国に渡って大手ギルドに入る。そうなりゃ、キャッスルギルドも手出しは出来ねぇさ」
「そういう事ですので、此方の心配などせず……自分達の事だけ心配された方がいいですよ」
糸目の男が、にやにや笑いながらそう言ってくる。
「まあ恨むんなら……馬鹿な真似をした、親父や爺さんを恨むんだな。お嬢ちゃんよ」
魔眼によって、鬼頭たちの魔力の流れが変わったのが分かる。
戦闘開始――
「あ、お取込み中失礼しますね」
――を遮るように、勇気が呑気に鬼頭達に向かって声をかけた。
その手にはスマートホンが握られている。
「てめぇ、よくも邪魔してくれたな。一緒に始末してやる」
「おお、怖い怖い。ところで……私が今何をしてるかわかりますか?」
「あん?」
「じゃじゃーん!実はライブ配信中です!今のこの瞬間!皆さんが大量殺人を犯そうとしているこの瞬間を!」
「……はっ、なにを言い出すのかと思えば」
「恐怖で頭がおかしくなったんですかねぇ?」
鬼頭達のグループが、勇気の言葉に失笑する。
まあ、ダンジョンでは、回線がつながらないのは常識だからな。
苦し紛れの戯言だと思うのも無理はない。
だが――
「嘘じゃありませんよぉ。お疑いなら、スマホなりタブレットなりで回線を確認してみてくださいな。怪盗Gチャンネルで調べたら、今の映像が流されてるのも見れますよ」
―—勇気に言われていたのでテレパシーは持続中だ。
そのため今現在、このダンジョンには電波が届いている。
勇気の奴、上手い事考えやがったな。
つか……怪盗Gチャンネルってなんだよ。
いつの間にそんな物用意してやがった?
「くだらねぇ。ダンジョンに回線がつながってる訳ないだ――」
「んな!?鬼頭さん!?か、回線がつながってます!」
鬼頭達の一人がスマホを確認し、電波が入っている事に気づいて声を上げる
「なんだと!?」
「そんな訳がないでしょう。なにを馬鹿げた事を……これは!?」
糸目の男が、インベントリからタブレットを取り出す。
そしてその画面を見て目を見開いた。
「ね。言ったとおりでしょ?因みに、怪盗Gチャンネルの今の視聴者数は100人程です。お、誰かがキャッスルギルドに通報してくれたみたいですよ。いやー、タイトルに『Sランクボス戦でのキャッスルギルドの内紛。鬼頭の反乱。ギルドに通報してください』って入れた甲斐がありましたよ」
「ほ、本当に配信されてます。不味いですよ鬼頭さん!」
「マジかよ……」
「ど、どうすりゃいいんだ」
勇気の言葉に、鬼頭達の顔色が変わる。
彼らは聖達を殺して中国に高飛びするつもりだった様だが、こうなると話は変わって来るからな。
「キャッスルギルドは、このダンジョンの出入り口を封鎖するんじゃないですかねぇ」
そう。
中で何が起きているのか分かっている以上、キャッスルギルドが彼らを逃がす訳がない。
ダンジョンは広く枝分かれしているので内部探索で見つけるのは難しいだろうが、ダンジョン内で長く生活することは出来ない以上、いつかは外に出る必要がある。
そして彼らが出て来るまで、キャッスルギルドは出入り口を封鎖し続けるだろう。
つまり、奴らは高飛びする間もなく御用になる訳だ。
「今なら殺人未遂ですけど……このままだと大量殺人で捕まる事になっちゃいますよ?いいんですか?」
「う、く……」
「き、鬼頭さん……どうします?」
鬼頭達が動揺しまくる。
さっきまでは戦うしかないと思っていたが、この流れなら戦わずに済みそうだ。
命を賭けて戦わなくて済むのもそうだけど、人を殺さずに済むのがありがたい。
ろくでなし共とわかってはいるけど、人なんか殺さずに済むなら殺したくないからな。
しかし、ほんと勇気は優秀だ。
冗談抜きで、寿命10年分を払った価値はある。
その時、パーンと大音響の破裂音が響いた。
糸目の男が手を叩いた音だ。
音量的に、スキルか何かを使ったのかもしれない。
―—自然と全員の視線がその男に集中する。
「皆さん、落ち着いてください。仮にこのまま何もせずにここから出て、捕まったとしましょう。果たして……マスター達が私達を見逃すとお思いですか?」
「確かにな。刑務所内か、刑期明けに外に出た所で始末されるだろうな」
「その通りです。あの方達は……結果的に殺せなかったからと、私達を許してくれるほど甘くありません」
どうやらキャッスルギルドのマスター達は、かなり苛烈な性格をしている様だ。
まあ手下に裏切られて、自分の孫や娘を殺されそうなってる訳だからな。
刑務所に入ったからと言って、極刑になる訳でもなし。
その程度で綺麗さっぱり許せるわけもないだろうから、出来るならするよな。
報復を。
「そんな……」
「俺達どうすりゃ……」
「くそぉ。こんな事になるなら関わるんじゃなかった」
いやな雰囲気だな。
こういう時に怖いのが、相手が此方を道連れにしようとしてくる事だ。
どうせ死ぬんならって考えになられると、せっかく戦わずに済むって流れが無駄になってしまいかねない。
「落ち着いてください、皆さん。私に妙案があります」
動揺する鬼頭達に、細目の男が再び手を叩いて注目を集め落ち着いて声をかけた。
嫌な予感がするな。
破れかぶれで来られるのもあれだが、この男の言う妙案が穏やかなものになるとも思えない。
「猿渡。妙案ってのはなんだ?」
「私達が生き延びる方法は一つ。大城一家を黙らせればいいんですよ。そう、人質を取って」
細めの男。
猿渡が大城恵と光の姉妹を見た。
「二人を人質に取れば、彼らも私達に迂闊に手出しは出来ません。そしてその状況を利用して国を脱出するのですよ」
人質を取って国外逃亡なんてのは、普通の人間なら現実的じゃない。
何らかの方法で絶対阻止されるだろう。
だが、こいつらはSランクシーカーの集団だ。
キャッスルギルドを黙らせる事さえ出来れば、国外脱出は決して不可能じゃないだろう。
最悪、泳いで行く事だって出来るしな。
体力のあるSランクなら。
「なるほど。そりゃ名案だな」
動揺していた奴らのザワツキが収まる。
「逃げ損ねればそこで終わりですよ?そんな事をするより投降してください。それなら、私からお爺様にとりなす事をお約束します」
「そんな言葉を誰が信じる?俺なら、自分を殺そうとした奴は絶対に始末するぜ」
大城恵が考え直す様に言うが、奴らは聞く耳を持たない。
どうやら戦闘は避けれらなさそうだ。
「むしろそっちこそ投降しな。そうすりゃ、神木達は死ななくて済むぞ。俺達は人質さえいりゃいいんだからよ。お互い、無駄な真似をする必要はないだろ」
「断る!」
鬼頭の求める投降に、聖が即座に返答した。
まあそうだよな。
そんなの、聖が受ける訳ないよな。
「ちっ、善人ぶりやがって。他の奴らはどうだ?」
聖のパーティーに、鬼頭の誘いに乗る人間はいなかった。
中々しっかりした絆のパーティーの様だ。
まあ単に、鬼頭達が信頼できないだけって可能性もあるけど。
「テメーらはどうだ?関係ないのにこれ以上首を突っ込む気か?」
鬼頭達が、俺と勇気を見る。
「愚問だな。見捨てるぐらいなら、初めっから助けに入ったりはしない」
命かけてまで助けて、ここで見捨てるとかありえないっての。
「ちっ、馬鹿どもが。余程死にたいらしいな」
「どうやら戦いは避けられない様ですねぇ。一応最終確認しておきますけど……本当に引かなくていいんですね?」
「くだらねぇ事聞いてんじゃねぇ。お前ら!大城姉妹以外殺すぞ!」
勇気が呑気に聞くと、鬼頭がイラついた様に指示を出した。
まあ、この状況で余裕を見せられたら挑発されてると思うだろうしな。
「やれやれ、しょうがないですねぇ。こうなったら……先生!お願いします!!」
勇気が大声でそう言うと――
「しょうがないにゃあ」
「——っ!?」
―—鬼頭達の背後から女性の声が。
そこにいたのは天魔輪廻。
そして彼女のパーティーのメンバでもある竜崎守と、神崎エデンだった。
なんで……
いや、ボス戦でスマホを弄ってたのはこういう事だった訳か。
そういや、連絡先交換してたもんな。
聖達もそうだ。
「やっと元に戻ったか」
中に入ってきた奴らの性別が、俺達の目の前で元に戻っていく。
どうやら、ラッキースケベの持続時間は1時間程の様だ。
もう少し手古摺ってたら、ボス戦の途中でバフが消えてた可能性があったのか……
いや、そんな事はどうでもいい。
今はこの状況をどうするかだ。
こいつらがこのまま『ボス討伐おめでとう』と、終わらせる訳もないのだから。
「鬼頭さん……なぜこんな真似を?」
大城恵が、集団のリーダーっぽい奴。
鬼頭に声をかけた。
「おいおい、お嬢さんよ。本気で聞いてるのか?」
「言いたい事が分からない訳ではありません。でも……これはやり過ぎでしょう」
大城恵は相手を責めない。
それどころか、穏やかに話を続ける。
ここで逆上すれば、即座に戦闘に突入する事になりかねない。
それを避けるため、彼女は可能な限り冷静に務めて話し合いに臨んでいるのだろう。
「……」
正直、この状況で話し合いが通じるとは思えない。
それが可能な相手なら、そもそもこんな酷い事態になっていないはず。
大城恵だってそれは分かっているだろう。
なら何故そんな真似をするのか?
答えは簡単だ。
時間稼ぎである。
俺達はボス戦でほぼスキルを使い切っているからな。
スキルは強力なものほど、再使用制限が長い傾向にある。
だから時間を稼いで、少しでもその手のスキルを使える状態にしようとしている訳だ。
「やり過ぎ?まあそうだな。けど……軽んじられて笑ってられる程、俺達は人間出来てねーんだよ。だから報復はやり過ぎなぐらいで丁度いいのさ」
返答と共に、鬼頭が腰の鞘から大剣を引き抜いた。
「時間稼ぎに付き合うつもりはねぇ。弱ってるうちに叩かせて貰うぜ」
相手も馬鹿ではないので、こっちの魂胆はお見通しの様だ。
「……ここで私達を殺しても逃げ場はありませんよ?お爺様が、貴方方に必ず報復するはずです」
「ああ、分かってるぜ。だから俺達はここを出た足でそのまま中国に渡って大手ギルドに入る。そうなりゃ、キャッスルギルドも手出しは出来ねぇさ」
「そういう事ですので、此方の心配などせず……自分達の事だけ心配された方がいいですよ」
糸目の男が、にやにや笑いながらそう言ってくる。
「まあ恨むんなら……馬鹿な真似をした、親父や爺さんを恨むんだな。お嬢ちゃんよ」
魔眼によって、鬼頭たちの魔力の流れが変わったのが分かる。
戦闘開始――
「あ、お取込み中失礼しますね」
――を遮るように、勇気が呑気に鬼頭達に向かって声をかけた。
その手にはスマートホンが握られている。
「てめぇ、よくも邪魔してくれたな。一緒に始末してやる」
「おお、怖い怖い。ところで……私が今何をしてるかわかりますか?」
「あん?」
「じゃじゃーん!実はライブ配信中です!今のこの瞬間!皆さんが大量殺人を犯そうとしているこの瞬間を!」
「……はっ、なにを言い出すのかと思えば」
「恐怖で頭がおかしくなったんですかねぇ?」
鬼頭達のグループが、勇気の言葉に失笑する。
まあ、ダンジョンでは、回線がつながらないのは常識だからな。
苦し紛れの戯言だと思うのも無理はない。
だが――
「嘘じゃありませんよぉ。お疑いなら、スマホなりタブレットなりで回線を確認してみてくださいな。怪盗Gチャンネルで調べたら、今の映像が流されてるのも見れますよ」
―—勇気に言われていたのでテレパシーは持続中だ。
そのため今現在、このダンジョンには電波が届いている。
勇気の奴、上手い事考えやがったな。
つか……怪盗Gチャンネルってなんだよ。
いつの間にそんな物用意してやがった?
「くだらねぇ。ダンジョンに回線がつながってる訳ないだ――」
「んな!?鬼頭さん!?か、回線がつながってます!」
鬼頭達の一人がスマホを確認し、電波が入っている事に気づいて声を上げる
「なんだと!?」
「そんな訳がないでしょう。なにを馬鹿げた事を……これは!?」
糸目の男が、インベントリからタブレットを取り出す。
そしてその画面を見て目を見開いた。
「ね。言ったとおりでしょ?因みに、怪盗Gチャンネルの今の視聴者数は100人程です。お、誰かがキャッスルギルドに通報してくれたみたいですよ。いやー、タイトルに『Sランクボス戦でのキャッスルギルドの内紛。鬼頭の反乱。ギルドに通報してください』って入れた甲斐がありましたよ」
「ほ、本当に配信されてます。不味いですよ鬼頭さん!」
「マジかよ……」
「ど、どうすりゃいいんだ」
勇気の言葉に、鬼頭達の顔色が変わる。
彼らは聖達を殺して中国に高飛びするつもりだった様だが、こうなると話は変わって来るからな。
「キャッスルギルドは、このダンジョンの出入り口を封鎖するんじゃないですかねぇ」
そう。
中で何が起きているのか分かっている以上、キャッスルギルドが彼らを逃がす訳がない。
ダンジョンは広く枝分かれしているので内部探索で見つけるのは難しいだろうが、ダンジョン内で長く生活することは出来ない以上、いつかは外に出る必要がある。
そして彼らが出て来るまで、キャッスルギルドは出入り口を封鎖し続けるだろう。
つまり、奴らは高飛びする間もなく御用になる訳だ。
「今なら殺人未遂ですけど……このままだと大量殺人で捕まる事になっちゃいますよ?いいんですか?」
「う、く……」
「き、鬼頭さん……どうします?」
鬼頭達が動揺しまくる。
さっきまでは戦うしかないと思っていたが、この流れなら戦わずに済みそうだ。
命を賭けて戦わなくて済むのもそうだけど、人を殺さずに済むのがありがたい。
ろくでなし共とわかってはいるけど、人なんか殺さずに済むなら殺したくないからな。
しかし、ほんと勇気は優秀だ。
冗談抜きで、寿命10年分を払った価値はある。
その時、パーンと大音響の破裂音が響いた。
糸目の男が手を叩いた音だ。
音量的に、スキルか何かを使ったのかもしれない。
―—自然と全員の視線がその男に集中する。
「皆さん、落ち着いてください。仮にこのまま何もせずにここから出て、捕まったとしましょう。果たして……マスター達が私達を見逃すとお思いですか?」
「確かにな。刑務所内か、刑期明けに外に出た所で始末されるだろうな」
「その通りです。あの方達は……結果的に殺せなかったからと、私達を許してくれるほど甘くありません」
どうやらキャッスルギルドのマスター達は、かなり苛烈な性格をしている様だ。
まあ手下に裏切られて、自分の孫や娘を殺されそうなってる訳だからな。
刑務所に入ったからと言って、極刑になる訳でもなし。
その程度で綺麗さっぱり許せるわけもないだろうから、出来るならするよな。
報復を。
「そんな……」
「俺達どうすりゃ……」
「くそぉ。こんな事になるなら関わるんじゃなかった」
いやな雰囲気だな。
こういう時に怖いのが、相手が此方を道連れにしようとしてくる事だ。
どうせ死ぬんならって考えになられると、せっかく戦わずに済むって流れが無駄になってしまいかねない。
「落ち着いてください、皆さん。私に妙案があります」
動揺する鬼頭達に、細目の男が再び手を叩いて注目を集め落ち着いて声をかけた。
嫌な予感がするな。
破れかぶれで来られるのもあれだが、この男の言う妙案が穏やかなものになるとも思えない。
「猿渡。妙案ってのはなんだ?」
「私達が生き延びる方法は一つ。大城一家を黙らせればいいんですよ。そう、人質を取って」
細めの男。
猿渡が大城恵と光の姉妹を見た。
「二人を人質に取れば、彼らも私達に迂闊に手出しは出来ません。そしてその状況を利用して国を脱出するのですよ」
人質を取って国外逃亡なんてのは、普通の人間なら現実的じゃない。
何らかの方法で絶対阻止されるだろう。
だが、こいつらはSランクシーカーの集団だ。
キャッスルギルドを黙らせる事さえ出来れば、国外脱出は決して不可能じゃないだろう。
最悪、泳いで行く事だって出来るしな。
体力のあるSランクなら。
「なるほど。そりゃ名案だな」
動揺していた奴らのザワツキが収まる。
「逃げ損ねればそこで終わりですよ?そんな事をするより投降してください。それなら、私からお爺様にとりなす事をお約束します」
「そんな言葉を誰が信じる?俺なら、自分を殺そうとした奴は絶対に始末するぜ」
大城恵が考え直す様に言うが、奴らは聞く耳を持たない。
どうやら戦闘は避けれらなさそうだ。
「むしろそっちこそ投降しな。そうすりゃ、神木達は死ななくて済むぞ。俺達は人質さえいりゃいいんだからよ。お互い、無駄な真似をする必要はないだろ」
「断る!」
鬼頭の求める投降に、聖が即座に返答した。
まあそうだよな。
そんなの、聖が受ける訳ないよな。
「ちっ、善人ぶりやがって。他の奴らはどうだ?」
聖のパーティーに、鬼頭の誘いに乗る人間はいなかった。
中々しっかりした絆のパーティーの様だ。
まあ単に、鬼頭達が信頼できないだけって可能性もあるけど。
「テメーらはどうだ?関係ないのにこれ以上首を突っ込む気か?」
鬼頭達が、俺と勇気を見る。
「愚問だな。見捨てるぐらいなら、初めっから助けに入ったりはしない」
命かけてまで助けて、ここで見捨てるとかありえないっての。
「ちっ、馬鹿どもが。余程死にたいらしいな」
「どうやら戦いは避けられない様ですねぇ。一応最終確認しておきますけど……本当に引かなくていいんですね?」
「くだらねぇ事聞いてんじゃねぇ。お前ら!大城姉妹以外殺すぞ!」
勇気が呑気に聞くと、鬼頭がイラついた様に指示を出した。
まあ、この状況で余裕を見せられたら挑発されてると思うだろうしな。
「やれやれ、しょうがないですねぇ。こうなったら……先生!お願いします!!」
勇気が大声でそう言うと――
「しょうがないにゃあ」
「——っ!?」
―—鬼頭達の背後から女性の声が。
そこにいたのは天魔輪廻。
そして彼女のパーティーのメンバでもある竜崎守と、神崎エデンだった。
なんで……
いや、ボス戦でスマホを弄ってたのはこういう事だった訳か。
そういや、連絡先交換してたもんな。
31
あなたにおすすめの小説
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
狐侍こんこんちき
月芝
歴史・時代
母は出戻り幽霊。居候はしゃべる猫。
父は何の因果か輪廻の輪からはずされて、地獄の官吏についている。
そんな九坂家は由緒正しいおんぼろ道場を営んでいるが、
門弟なんぞはひとりもいやしない。
寄りつくのはもっぱら妙ちきりんな連中ばかり。
かような家を継いでしまった藤士郎は、狐面にていつも背を丸めている青瓢箪。
のんびりした性格にて、覇気に乏しく、およそ武士らしくない。
おかげでせっかくの剣の腕も宝の持ち腐れ。
もっぱら魚をさばいたり、薪を割るのに役立っているが、そんな暮らしも案外悪くない。
けれどもある日のこと。
自宅兼道場の前にて倒れている子どもを拾ったことから、奇妙な縁が動きだす。
脇差しの付喪神を助けたことから、世にも奇妙な仇討ち騒動に関わることになった藤士郎。
こんこんちきちき、こんちきちん。
家内安全、無病息災、心願成就にて妖縁奇縁が来来。
巻き起こる騒動の数々。
これを解決するために奔走する狐侍の奇々怪々なお江戸物語。
勘当された少年と不思議な少女
レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。
理由は外れスキルを持ってるから…
眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。
そんな2人が出会って…
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる