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第28話 土の精霊
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夜、読書していると部屋の窓に何かがぶつかる音がしたので外を見てみると……
「ん?」
カッパーがこちらに向かって手を振っていた。
「何の用……ああ、そういや精霊の友人が来るって言ってたな」
夕方ごろ屋敷に帰った時点ではまだ来ておらず、少し遅くなるとカッパーは言っていた。
なのでその友人がやってきたのだろう。
「……の割には、どこにも見当たらんが?」
下にいるのはカッパーだけだ。
他の精霊の姿は見当たらない。
「まあ降りてみるか……」
いたずらで呼んだ訳でもないだろうし。
中庭に出ると――
「こちらが私の友人で、土の精霊ジャガリックさんです」
「ジャガリックじゃが。よろしくじゃが」
――カッパーの友人を紹介される。
カッパーに紹介された土の精霊は、一言で言うと手のひらサイズの男爵イモだった――彼女の掌の上に乗っている。
まあ正確には、顏がついて手足が生えたジャガイモっぽいへんてこな生き物だが。
……なるほど、このサイズじゃ見えない訳だ。
「俺はエドワード・スパム。このスパム領を収める……まあ男爵だ」
なんとなく男爵つながりを匂わせてみた。
が、口にしてから『そういやこの世界に男爵イモはなかったな』と気づく。
失態失態……って、まあそんな事はどうでもいいか。
「伺ってるじゃが。わしもカッパーの様な大精霊にしてほしいじゃが」
どうやら口癖は『じゃが』の様だ。
見たまんまの、ひねりも何もない口癖である。
「それはまあ、かまわないんだが……相当苦しむ事になるぞ?」
「カッパーから聞いてるじゃが。耐えぬいて、ジャガリックも大精霊になって見せるじゃが」
いい覚悟だと言いたい所だが……
本人からオッケーを貰ったのにもかかわらず、思いっきりドロップキックをかまされた悪い例がすぐ横にいるので若干心配だ。
「なぜ私を見るんですか?」
「気にするな」
ちらりと見ただけなのに、無駄に鋭い奴だ。
「じゃあカッパーと同じまでランクアップさせるけど、酷い目にあったとか言って俺に攻撃しないでくれよな」
「そんな恩知らずな真似はしないじゃが!」
「精霊は義理を大事にするので安心してください」
蹴っ飛ばして来た奴に安心してくださいと言われてもなぁ……
「まあいいか。じゃあ一段階づつランクアップさせるぞ」
ジャガリックのランクは、進化前のカッパーと同じEランクだ。
カッパーの時は二段階一気に上げてほぼ一日ぴくぴくしていたので、分けた方が無難だろう。
「二段階一気にしてくれていいじゃが!試練は厳しければ厳しい程、乗り越えた時大きな力になるじゃが!」
試練か。
上手いこと言うな。
確かに、あの痛みや苦しみは強くなるための試練と考えればしっくりくる。
ただランクアップによる結果は同じだから、厳しくしても得られる成果は増えないと思うんだが……
ま、こういうのは精神的な問題だし、本人が望んでいるなら希望通りにしてやればいいか。
「分かった。それじゃあ行くぞ」
「ペギャ!?」
ランクアップさせた瞬間、カッパーの掌の上にいたジャガリックが変な声を上げて垂直に高く飛び上がる。
そしてそのまま顔面から地面に着地し――
「じゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃが」
――じゃがじゃが叫びながら地面を転げまわった。
「わぁ、苦しそう。この姿を見てると、なんだかフォカパッチョへの怒りがぶり返してきました。また蹴り飛ばしていいですか?」
「よくねーよ」
まったく、ふざけた事を言いやがる。
「なんだ!?」
「何この声!」
屋敷から、ジャガリックの叫び声に驚いたタゴルとアリンが飛び出して来た。
二人の手には、それぞれの得物であるナタンとユミルがしっかりと握られている。
きっと襲撃か何かだとでも思ったのだろう。
「ああ、悪い。今カッパーの友人の精霊をランクアップさせたんだ。この声はその痛みで苦しんで上げてるものだ」
「え!?あの芋が精霊なんですか?」
俺がジャガリックを指さすと、アリンが目を丸めた。
因みに、男爵イモって呼び名がないだけで、芋自体はちゃんとこの世界にはある。
「びっくりさせるな……ん、んん、させないで下さい」
タゴルが溜口で話そうとして、アリンが兄の足を蹴って修正させる。
彼はシスコンなので、基本妹には頭が上がらないのだ。
「ところで……大丈夫なんですか?そのお芋さん。尋常じゃないぐらい苦しそうですけど?」
「大丈夫ですよ。ジャガリックさんは土の精霊で忍耐強いですから」
「だそうだ」
「じゃがーーーーーーーん!」
ジャガリックがひと際大きな雄たけびを上げ、そのまま動かなくなって体をビクンビクンと振るわせる。
「気絶したみたいだな」
「意識はありますよ。あまりにも苦しすぎて、体すら動かせない様になってるだけですから。私の時もそうでしたし」
「ああ、そうなんだ……」
体を動かせないほどの激痛の中、気絶も出来ないとか地獄だな。
「それなのに水をバシャバシャかけてきて、あの時は本当に殺してやるって思ってました」
「ああ、うん。まあすまん。良かれと思ってやった事なんだ」
善意でやっていたのだが、どうやら完全に裏目だったようだ。
「次からは気を付けてください」
「わかったよ」
まあ、こいつが次のリクエストをしてくるかは怪しいが。
「あのー、ところで……このジャガリックさんは放っておいていいんですか?」
「あ、お構いなく。放っておいたら勝手に進化するんで」
アリンの問いに、放っておけばいいとカッパーが笑顔で答えた。
その態度から『こいつら本当に友達なのか?』という疑問が浮かぶが、まあ精霊と人間では根本的に感覚が違うと結論付けておく。
「じゃあ戻るか。二人とも、騒がせて悪かったな」
見てても何か変わるわけでもなし。
俺は部屋に戻って読書の続きをに入る。
そして翌日、朝目覚めて外の様子を見に行くと――
「おはようございます」
――片眼鏡でスーツを身に着けた、金髪イケメンの壮年の男性と出くわす。
誰だこいつ?
「これより恩返しのため、マイロードのために誠心誠意お仕えする事を誓います」
その知らない男性は急にその場で片膝を突き、頭を下げた。
俺の頭の中は?でいっぱいだ。
こいつは誰で。
いったいどういう状況だよ。
「えーっと……すいません、どちら様?急に誠心誠意お仕えするとか言われても……」
見知らぬ相手に急にそんな事言われたら、普通に怖いわ。
「お忘れですか?わたくしめは……」
男の正体は――
「ジャガリックめでございます」
――イモだった。
「は?」
いやお忘れもくそも、姿変わりすぎて分かる訳ねーだろ。
「ん?」
カッパーがこちらに向かって手を振っていた。
「何の用……ああ、そういや精霊の友人が来るって言ってたな」
夕方ごろ屋敷に帰った時点ではまだ来ておらず、少し遅くなるとカッパーは言っていた。
なのでその友人がやってきたのだろう。
「……の割には、どこにも見当たらんが?」
下にいるのはカッパーだけだ。
他の精霊の姿は見当たらない。
「まあ降りてみるか……」
いたずらで呼んだ訳でもないだろうし。
中庭に出ると――
「こちらが私の友人で、土の精霊ジャガリックさんです」
「ジャガリックじゃが。よろしくじゃが」
――カッパーの友人を紹介される。
カッパーに紹介された土の精霊は、一言で言うと手のひらサイズの男爵イモだった――彼女の掌の上に乗っている。
まあ正確には、顏がついて手足が生えたジャガイモっぽいへんてこな生き物だが。
……なるほど、このサイズじゃ見えない訳だ。
「俺はエドワード・スパム。このスパム領を収める……まあ男爵だ」
なんとなく男爵つながりを匂わせてみた。
が、口にしてから『そういやこの世界に男爵イモはなかったな』と気づく。
失態失態……って、まあそんな事はどうでもいいか。
「伺ってるじゃが。わしもカッパーの様な大精霊にしてほしいじゃが」
どうやら口癖は『じゃが』の様だ。
見たまんまの、ひねりも何もない口癖である。
「それはまあ、かまわないんだが……相当苦しむ事になるぞ?」
「カッパーから聞いてるじゃが。耐えぬいて、ジャガリックも大精霊になって見せるじゃが」
いい覚悟だと言いたい所だが……
本人からオッケーを貰ったのにもかかわらず、思いっきりドロップキックをかまされた悪い例がすぐ横にいるので若干心配だ。
「なぜ私を見るんですか?」
「気にするな」
ちらりと見ただけなのに、無駄に鋭い奴だ。
「じゃあカッパーと同じまでランクアップさせるけど、酷い目にあったとか言って俺に攻撃しないでくれよな」
「そんな恩知らずな真似はしないじゃが!」
「精霊は義理を大事にするので安心してください」
蹴っ飛ばして来た奴に安心してくださいと言われてもなぁ……
「まあいいか。じゃあ一段階づつランクアップさせるぞ」
ジャガリックのランクは、進化前のカッパーと同じEランクだ。
カッパーの時は二段階一気に上げてほぼ一日ぴくぴくしていたので、分けた方が無難だろう。
「二段階一気にしてくれていいじゃが!試練は厳しければ厳しい程、乗り越えた時大きな力になるじゃが!」
試練か。
上手いこと言うな。
確かに、あの痛みや苦しみは強くなるための試練と考えればしっくりくる。
ただランクアップによる結果は同じだから、厳しくしても得られる成果は増えないと思うんだが……
ま、こういうのは精神的な問題だし、本人が望んでいるなら希望通りにしてやればいいか。
「分かった。それじゃあ行くぞ」
「ペギャ!?」
ランクアップさせた瞬間、カッパーの掌の上にいたジャガリックが変な声を上げて垂直に高く飛び上がる。
そしてそのまま顔面から地面に着地し――
「じゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃがじゃが」
――じゃがじゃが叫びながら地面を転げまわった。
「わぁ、苦しそう。この姿を見てると、なんだかフォカパッチョへの怒りがぶり返してきました。また蹴り飛ばしていいですか?」
「よくねーよ」
まったく、ふざけた事を言いやがる。
「なんだ!?」
「何この声!」
屋敷から、ジャガリックの叫び声に驚いたタゴルとアリンが飛び出して来た。
二人の手には、それぞれの得物であるナタンとユミルがしっかりと握られている。
きっと襲撃か何かだとでも思ったのだろう。
「ああ、悪い。今カッパーの友人の精霊をランクアップさせたんだ。この声はその痛みで苦しんで上げてるものだ」
「え!?あの芋が精霊なんですか?」
俺がジャガリックを指さすと、アリンが目を丸めた。
因みに、男爵イモって呼び名がないだけで、芋自体はちゃんとこの世界にはある。
「びっくりさせるな……ん、んん、させないで下さい」
タゴルが溜口で話そうとして、アリンが兄の足を蹴って修正させる。
彼はシスコンなので、基本妹には頭が上がらないのだ。
「ところで……大丈夫なんですか?そのお芋さん。尋常じゃないぐらい苦しそうですけど?」
「大丈夫ですよ。ジャガリックさんは土の精霊で忍耐強いですから」
「だそうだ」
「じゃがーーーーーーーん!」
ジャガリックがひと際大きな雄たけびを上げ、そのまま動かなくなって体をビクンビクンと振るわせる。
「気絶したみたいだな」
「意識はありますよ。あまりにも苦しすぎて、体すら動かせない様になってるだけですから。私の時もそうでしたし」
「ああ、そうなんだ……」
体を動かせないほどの激痛の中、気絶も出来ないとか地獄だな。
「それなのに水をバシャバシャかけてきて、あの時は本当に殺してやるって思ってました」
「ああ、うん。まあすまん。良かれと思ってやった事なんだ」
善意でやっていたのだが、どうやら完全に裏目だったようだ。
「次からは気を付けてください」
「わかったよ」
まあ、こいつが次のリクエストをしてくるかは怪しいが。
「あのー、ところで……このジャガリックさんは放っておいていいんですか?」
「あ、お構いなく。放っておいたら勝手に進化するんで」
アリンの問いに、放っておけばいいとカッパーが笑顔で答えた。
その態度から『こいつら本当に友達なのか?』という疑問が浮かぶが、まあ精霊と人間では根本的に感覚が違うと結論付けておく。
「じゃあ戻るか。二人とも、騒がせて悪かったな」
見てても何か変わるわけでもなし。
俺は部屋に戻って読書の続きをに入る。
そして翌日、朝目覚めて外の様子を見に行くと――
「おはようございます」
――片眼鏡でスーツを身に着けた、金髪イケメンの壮年の男性と出くわす。
誰だこいつ?
「これより恩返しのため、マイロードのために誠心誠意お仕えする事を誓います」
その知らない男性は急にその場で片膝を突き、頭を下げた。
俺の頭の中は?でいっぱいだ。
こいつは誰で。
いったいどういう状況だよ。
「えーっと……すいません、どちら様?急に誠心誠意お仕えするとか言われても……」
見知らぬ相手に急にそんな事言われたら、普通に怖いわ。
「お忘れですか?わたくしめは……」
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