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第48話 遣い
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「マイロード。アイバス子爵領より遣いの者が参っております」
村から屋敷に戻ると、ジャガリックが俺にそう告げてくる。
因みに村へはカンカンの様子を見に行っていた訳だが、どうやらアリンが上手くやってくれたみたいで、彼はだいぶん元気になっていた。
彼女に任せたのは大正解である。
あと、ついでに働きやすい様ちょこっとランクアップさせてやったら白目向いて気絶してしまったが、まあそこは気にしなくていいだろう。
「アイバス子爵家が?」
子爵家はうちの領地に隣接する領地の貴族だ。
面識は全くなく、正直、何の用で遣いを寄越したのは全く想像もつかなかった。
「はい。お伺いした所、どうやら死の森で行われる騎士団訓練のための様です」
「訓練?そらまた急になんで?」
「どうも毎年、この時期に行っていたそうです。ただ今年からはスパム男爵領に変更されたため、許可を貰いに来た様でして」
「なるほど」
死の森には腐る程魔物がいると言われている。
単なる訓練だけではなく生の実践を経験させるため、国の許可を得て、アイバス子爵家はこれまで死の森を利用してきたのだろう。
南部には死の森以外で、魔物が巣くってる様な場所はないからな……
因みに、領地間の移動は意図的に領主がロックしない限りは基本フリーパスだ――顔見知りなら挨拶ぐらいはするだろうが。
ただし、それは少数での行動に限った話である。
大人数――護衛の数が数十人を超える様な集団なら、事前に通過や滞在の許可を相手側に求める必要が出て来る。
何故なら、他所の領地に許可なく軍事力を持ち込むのは、侵略的、挑発的行為と取られてしまいかねないからだ。
なので死の森での騎士団の訓練は、領主である俺の許可なしでは行えない訳である。
もし勝手にやった日には、多額の賠償金待ったなしだから。
個人的には勝手にやってくれた方がありがたいんだがな……
金なんて物は、いくらあっても困らないのだから。
「ふむ、まあ別に許可を出してもいいんだが……」
メリットがない。
そう、騎士団訓練の許可を出すメリットが、ビックリするぐらいないのだ。
子爵に貸しを作れるんじゃないか?
それは結構微妙なラインだ。
これを借りだと考えてくれればいいが、大した事はないと考えられる可能性が捨てきれない――こっちは経費も掛からなければ、損もしないので。
最悪なのが、魔物を間引いてやったから寧ろ貸しだとか言い出した場合だ。
そんな奴いるのかよとか思うかもしれないが、傲慢で自分勝手な奴は、平気でそういう主張をしてくる。
それが貴族ってものだ。
いやまあ、これは貴族だけに限らないけど。
欲深い奴は常に自分に利のある主張をするもんだからな。
「よし、断ろう」
後者だったら死ぬほど腹立たしいし、今の所特に仲良くする必要も感じないしな。
何もなしで断ったら角が立つ?
大丈夫だ。
こっちには大義名分がある。
冒険者を誘致した街を作るに当たって、下手に魔物の数を減らされたら困るという大義名分が。
まあそれでも相手がどうしてもと言うのなら、その時は大きく貸し付ける形で許可を出してやるとしよう。
村から屋敷に戻ると、ジャガリックが俺にそう告げてくる。
因みに村へはカンカンの様子を見に行っていた訳だが、どうやらアリンが上手くやってくれたみたいで、彼はだいぶん元気になっていた。
彼女に任せたのは大正解である。
あと、ついでに働きやすい様ちょこっとランクアップさせてやったら白目向いて気絶してしまったが、まあそこは気にしなくていいだろう。
「アイバス子爵家が?」
子爵家はうちの領地に隣接する領地の貴族だ。
面識は全くなく、正直、何の用で遣いを寄越したのは全く想像もつかなかった。
「はい。お伺いした所、どうやら死の森で行われる騎士団訓練のための様です」
「訓練?そらまた急になんで?」
「どうも毎年、この時期に行っていたそうです。ただ今年からはスパム男爵領に変更されたため、許可を貰いに来た様でして」
「なるほど」
死の森には腐る程魔物がいると言われている。
単なる訓練だけではなく生の実践を経験させるため、国の許可を得て、アイバス子爵家はこれまで死の森を利用してきたのだろう。
南部には死の森以外で、魔物が巣くってる様な場所はないからな……
因みに、領地間の移動は意図的に領主がロックしない限りは基本フリーパスだ――顔見知りなら挨拶ぐらいはするだろうが。
ただし、それは少数での行動に限った話である。
大人数――護衛の数が数十人を超える様な集団なら、事前に通過や滞在の許可を相手側に求める必要が出て来る。
何故なら、他所の領地に許可なく軍事力を持ち込むのは、侵略的、挑発的行為と取られてしまいかねないからだ。
なので死の森での騎士団の訓練は、領主である俺の許可なしでは行えない訳である。
もし勝手にやった日には、多額の賠償金待ったなしだから。
個人的には勝手にやってくれた方がありがたいんだがな……
金なんて物は、いくらあっても困らないのだから。
「ふむ、まあ別に許可を出してもいいんだが……」
メリットがない。
そう、騎士団訓練の許可を出すメリットが、ビックリするぐらいないのだ。
子爵に貸しを作れるんじゃないか?
それは結構微妙なラインだ。
これを借りだと考えてくれればいいが、大した事はないと考えられる可能性が捨てきれない――こっちは経費も掛からなければ、損もしないので。
最悪なのが、魔物を間引いてやったから寧ろ貸しだとか言い出した場合だ。
そんな奴いるのかよとか思うかもしれないが、傲慢で自分勝手な奴は、平気でそういう主張をしてくる。
それが貴族ってものだ。
いやまあ、これは貴族だけに限らないけど。
欲深い奴は常に自分に利のある主張をするもんだからな。
「よし、断ろう」
後者だったら死ぬほど腹立たしいし、今の所特に仲良くする必要も感じないしな。
何もなしで断ったら角が立つ?
大丈夫だ。
こっちには大義名分がある。
冒険者を誘致した街を作るに当たって、下手に魔物の数を減らされたら困るという大義名分が。
まあそれでも相手がどうしてもと言うのなら、その時は大きく貸し付ける形で許可を出してやるとしよう。
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