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第85話 破談
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「ふむ……」
王宮からの使者がやってきた。
遣わせたのはケイレスではなく、次男のガイオスである。
「了解した。ガイオス王子に宜しくお伝えください」
使者の人間に俺はオッケーを出す。
長男と違って次男とは仲が良かった。
などという事はなく。
ぶっちゃけ、長男と同レベルで嫌いな相手だ。
なので、正直来られても迷惑なのだが……
まあ相手は王族だからな。
理由もなく断るのは体裁状宜しくないので仕方ない。
「要件は何だと思う?」
使者を下がらせた後、ジャガリック達に尋ねる。
長男のケイレスの時は、俺の事を心配したペカリーヌ王女(演技)を連れて来ると言う理由があった。
だが次男のガイオスにはそういった理由がない。
ましてや俺を心配して顔を見に来る様な奴ではないので、態々やってくるのには何らかの目的があるという事だ。
「十中八九、スパムポーション関連かと」
「ああ……まあそうなるかぁ」
スパムポーションは第二弾も即完売していた。
そこまで売れている以上、貴族連中の注目を集めていると考えていいだろう。
「優先的に回せとか言ってきそうだな。それも格安で」
王家の人間が使うのなら何十本もポーションはいらない。
そもそも王宮には超が付くレベルの優秀な回復魔法の使い手が常駐しているので、必要なのは遠くに出かける時ぐらいだ。
なので数を求める理由があるとすれば、それは騎士への供給用である。
戦場じゃ、回復魔法なんて受けてる余裕はないからな。
スパムポーションはさぞ重宝する事だろう。
え?
戦争してるのか?
してないよ。
別に今は戦時中じゃないが、いざその時用に事前に用意しておくのは常識だ。
いざ起こってから用意するとか、いくら何でも無能が過ぎるという物。
で、数を用意するに当たって問題になるのが予算である。
安ければ安い程良いに決まってるからな。
購入者視点からすれば。
「しっかし……なんでガイオスはそんな役を買って出たんだろうな」
交渉が上手くいけば、それは勿論ガイオスの手柄になるだろう。
それは分かってはいる。
が、手柄を上げてどうするつもりだってのが俺の疑問だ。
王位継承は、バロネッサ王国の王女であるペカリーヌ姫と結婚が決まってるケイレスでほぼ決まっている。
なので今更ちょっとぐらいポイントを稼いだって、焼け石に水でしかない。
「風の噂じゃと……どうやらケイレス王子とペカリーヌ王女の縁談は破談になった様ですな」
「え!?そうなのか?」
タニヤンが姿を現し、とんでもない爆弾を放り込んできた。
完全に初耳である。
「ペカリーヌ王女が聖女に選ばれたのは、エドワード殿もご存じじゃろう」
「ああ」
神聖エルロンド教は世界最大の宗教だ。
そこの聖女が変われば、こんな僻地でもその話はいやでも耳に入って来る。
「今回の聖女は特別だそうで……それで今までとは違い、結婚をエルロンド教が禁じたそうな」
「へぇ」
聖女と隣国の王妃じゃ、立場的に見るならまあ前者を取るわな。
まあ結婚できないってデメリットはあるけど、そもそもケイレスとの結婚も別に恋愛って訳じゃないし。
「まあつまりあれか。破談をチャンスと見越して、ここでポイントを稼いで一気に後継者レースを巻き返そうって腹積もりな訳か」
愚かしい思想である。
ケイレスの失態での破談ならともかく。
特殊な事情の破談でまくれる訳ねーだろうに。
そんなんだから、王太子になれてないんだっての。
「そう考えると、くっそ面倒くさいな」
値段交渉に応じる気は一切ない。
今現在の、スパム男爵領のメインの収入源な訳だからな。
値下げする訳がない。
だが本気でまくるつもりでやって来たなら、絶対しつこく食い下がって来るはずだ。
……はぁ、めんどい。
王宮からの使者がやってきた。
遣わせたのはケイレスではなく、次男のガイオスである。
「了解した。ガイオス王子に宜しくお伝えください」
使者の人間に俺はオッケーを出す。
長男と違って次男とは仲が良かった。
などという事はなく。
ぶっちゃけ、長男と同レベルで嫌いな相手だ。
なので、正直来られても迷惑なのだが……
まあ相手は王族だからな。
理由もなく断るのは体裁状宜しくないので仕方ない。
「要件は何だと思う?」
使者を下がらせた後、ジャガリック達に尋ねる。
長男のケイレスの時は、俺の事を心配したペカリーヌ王女(演技)を連れて来ると言う理由があった。
だが次男のガイオスにはそういった理由がない。
ましてや俺を心配して顔を見に来る様な奴ではないので、態々やってくるのには何らかの目的があるという事だ。
「十中八九、スパムポーション関連かと」
「ああ……まあそうなるかぁ」
スパムポーションは第二弾も即完売していた。
そこまで売れている以上、貴族連中の注目を集めていると考えていいだろう。
「優先的に回せとか言ってきそうだな。それも格安で」
王家の人間が使うのなら何十本もポーションはいらない。
そもそも王宮には超が付くレベルの優秀な回復魔法の使い手が常駐しているので、必要なのは遠くに出かける時ぐらいだ。
なので数を求める理由があるとすれば、それは騎士への供給用である。
戦場じゃ、回復魔法なんて受けてる余裕はないからな。
スパムポーションはさぞ重宝する事だろう。
え?
戦争してるのか?
してないよ。
別に今は戦時中じゃないが、いざその時用に事前に用意しておくのは常識だ。
いざ起こってから用意するとか、いくら何でも無能が過ぎるという物。
で、数を用意するに当たって問題になるのが予算である。
安ければ安い程良いに決まってるからな。
購入者視点からすれば。
「しっかし……なんでガイオスはそんな役を買って出たんだろうな」
交渉が上手くいけば、それは勿論ガイオスの手柄になるだろう。
それは分かってはいる。
が、手柄を上げてどうするつもりだってのが俺の疑問だ。
王位継承は、バロネッサ王国の王女であるペカリーヌ姫と結婚が決まってるケイレスでほぼ決まっている。
なので今更ちょっとぐらいポイントを稼いだって、焼け石に水でしかない。
「風の噂じゃと……どうやらケイレス王子とペカリーヌ王女の縁談は破談になった様ですな」
「え!?そうなのか?」
タニヤンが姿を現し、とんでもない爆弾を放り込んできた。
完全に初耳である。
「ペカリーヌ王女が聖女に選ばれたのは、エドワード殿もご存じじゃろう」
「ああ」
神聖エルロンド教は世界最大の宗教だ。
そこの聖女が変われば、こんな僻地でもその話はいやでも耳に入って来る。
「今回の聖女は特別だそうで……それで今までとは違い、結婚をエルロンド教が禁じたそうな」
「へぇ」
聖女と隣国の王妃じゃ、立場的に見るならまあ前者を取るわな。
まあ結婚できないってデメリットはあるけど、そもそもケイレスとの結婚も別に恋愛って訳じゃないし。
「まあつまりあれか。破談をチャンスと見越して、ここでポイントを稼いで一気に後継者レースを巻き返そうって腹積もりな訳か」
愚かしい思想である。
ケイレスの失態での破談ならともかく。
特殊な事情の破談でまくれる訳ねーだろうに。
そんなんだから、王太子になれてないんだっての。
「そう考えると、くっそ面倒くさいな」
値段交渉に応じる気は一切ない。
今現在の、スパム男爵領のメインの収入源な訳だからな。
値下げする訳がない。
だが本気でまくるつもりでやって来たなら、絶対しつこく食い下がって来るはずだ。
……はぁ、めんどい。
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