130 / 158
第129話 進言
しおりを挟む
「頼んだ」
「お任せください。一週間以内に果たして見せます」
いくつか申請する国を選び、それらの国への救援要請はオルブス商会に頼む事にする。
外部接触のための伝手を、大商会である彼らは持っているからだ。
うってつけの役目、というか彼ら以外にその役目を任せられる相手はいないと言っていいだろう。
「グローガンにも信書を送らないとな」
グローガンは第三王子。
つまり俺の兄だ。
国王が死に、第一第二王子も既にいないので、継承順位的に奴が次期国王という事になる――直系の男子は4人で、俺は追放済みなので。
まあ暫定ではあるが。
他国の援軍を受け入れようとするなら、暫定国王のグローガンに話を通しておく必要がある。
「それはお勧め出来ませんなぁ」
「ん?なんでだ?」
タニヤンが少し渋い顔をして、待ったをかけて来る。
「援軍の事を知らせるという事は、第三王子に此方の手札を晒すに等しいですからな。最悪……死者蘇生を持つエドワード殿を帝国に引き渡して、保身に走る可能性も考えんとなりますまい」
「なるほど……」
死者蘇生なんてものは、どこも欲しがるものだ。
それが帝国であっても。
そして王国側は、絶望的な状況下にある。
グローガンが保身のために俺を売り飛ばす可能性は、確かに高そうだ。
「けど……他国に援軍の要請をするなら、結局グローガンの耳に入ってしまうんじゃないか?」
「短期間隠せれば十分ですぞ。どうせ第三王子の勢力は、長くはもちませんでしょうからな」
ばっさり切り捨てる辛辣な物言いである。
が、グローガンや侯爵家を時間稼ぎ程度と考えてる時点で、俺もまあ似た様な物ではあるが。
「エドワード様。一つ提案がございます。宜しいでしょうか?」
「提案?なにかいい考えでもあるのか?」
「グローガン王子に連絡を取らず今のまま支援を求めた場合、他国の援軍は最悪、周囲やポロロン王国に侵略と捉らえられかねません」
「ああ……そうなるか。まあそうなるよな」
そりゃ国のトップを通さない訳だからな。
しかもこんな状態だ。
周囲から見れば、援軍ではなく便乗侵略にしか見えないだろう。
「そうなると、援軍を渋る国も増えるかと思われます。そこで――」
ジャガリックが言葉をため、居住まいを正す。
「わたくしジャガリックは、このスパム領の独立を進言いたします」
「…………………………え?」
ジャガリックの言っている意味が分からず思わず固まってしまう。
きっと今の俺の顔は、凄く間抜けな表情になっているはず。
「えーっと、冗談……だよな」
冗談か何かと思い聞きなおすが――
「いえ、わたくしなりに考え抜いた上での進言になります。どうかご一考ください。マイロード」
――真面目な顔でそう返されてしまう。
どうやら彼は本気の様である。
「お任せください。一週間以内に果たして見せます」
いくつか申請する国を選び、それらの国への救援要請はオルブス商会に頼む事にする。
外部接触のための伝手を、大商会である彼らは持っているからだ。
うってつけの役目、というか彼ら以外にその役目を任せられる相手はいないと言っていいだろう。
「グローガンにも信書を送らないとな」
グローガンは第三王子。
つまり俺の兄だ。
国王が死に、第一第二王子も既にいないので、継承順位的に奴が次期国王という事になる――直系の男子は4人で、俺は追放済みなので。
まあ暫定ではあるが。
他国の援軍を受け入れようとするなら、暫定国王のグローガンに話を通しておく必要がある。
「それはお勧め出来ませんなぁ」
「ん?なんでだ?」
タニヤンが少し渋い顔をして、待ったをかけて来る。
「援軍の事を知らせるという事は、第三王子に此方の手札を晒すに等しいですからな。最悪……死者蘇生を持つエドワード殿を帝国に引き渡して、保身に走る可能性も考えんとなりますまい」
「なるほど……」
死者蘇生なんてものは、どこも欲しがるものだ。
それが帝国であっても。
そして王国側は、絶望的な状況下にある。
グローガンが保身のために俺を売り飛ばす可能性は、確かに高そうだ。
「けど……他国に援軍の要請をするなら、結局グローガンの耳に入ってしまうんじゃないか?」
「短期間隠せれば十分ですぞ。どうせ第三王子の勢力は、長くはもちませんでしょうからな」
ばっさり切り捨てる辛辣な物言いである。
が、グローガンや侯爵家を時間稼ぎ程度と考えてる時点で、俺もまあ似た様な物ではあるが。
「エドワード様。一つ提案がございます。宜しいでしょうか?」
「提案?なにかいい考えでもあるのか?」
「グローガン王子に連絡を取らず今のまま支援を求めた場合、他国の援軍は最悪、周囲やポロロン王国に侵略と捉らえられかねません」
「ああ……そうなるか。まあそうなるよな」
そりゃ国のトップを通さない訳だからな。
しかもこんな状態だ。
周囲から見れば、援軍ではなく便乗侵略にしか見えないだろう。
「そうなると、援軍を渋る国も増えるかと思われます。そこで――」
ジャガリックが言葉をため、居住まいを正す。
「わたくしジャガリックは、このスパム領の独立を進言いたします」
「…………………………え?」
ジャガリックの言っている意味が分からず思わず固まってしまう。
きっと今の俺の顔は、凄く間抜けな表情になっているはず。
「えーっと、冗談……だよな」
冗談か何かと思い聞きなおすが――
「いえ、わたくしなりに考え抜いた上での進言になります。どうかご一考ください。マイロード」
――真面目な顔でそう返されてしまう。
どうやら彼は本気の様である。
136
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。
夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる