素行不良で僻地に追いやられた第4王子、自分が転生者だった事を思い出す~神様から貰ったランクアップで楽々領地経営~

榊与一

文字の大きさ
158 / 158

第1章・エピローグ

しおりを挟む
――スパム王国、国王の執務室。

「エドワード!貴方このままにしておく気!?」

スパム王国に当たり前の様に棲みついてる姉のヘンリエッタが、声を荒げて来る。

「ああ、まあ、ポロロン王国には特に思い入れもないからな」

デスロード達を撃退して1月ほど経つ。
現在、ポロロン王国、いや、元王国か。
取りあえず、元王国は建国ラッシュが続いていた。

デスロード達を討伐した事と、エルロンド教を中心とした聖連合軍が帝国に攻め込んだ事で、帝国軍が元ポロロン王国から撤退したためだ。

え?
それがなぜ建国ラッシュになるのか分からない?

いや、もう王家は残ってないからな。
トップが無いんだから、解放された諸侯は合併などをしながら独立し始めたって訳だ。

王族ならお前がいる?
いやいや、俺はもうスパム王国建国してるから。

まあ俺を旗印に掲げようとして接触してきた奴らもいたけど、そいつらにはお引きと願ってる。
揉めると分かってて、旧ポロロン王国を纏める為に動くとかしたくないからな。
俺は野心持って動くタイプじゃないんで、そういうのは他所でやって貰う。

「そんなに王国の末が気になるんだったら、ヘンリエッタがクロム伯爵の提案を受ければいいのでは?」

声がかかったのは俺だけではない。
実は姉であるヘンリエッタの方にも、クロム伯爵家から声がかかっていた。

「冗談じゃないわ!腹黒陰険なクロム伯爵なんかの元へ行ったら私は傀儡にされてしまう!」

今のヘンリエッタに後ろ盾はない。
なので、傀儡になるってのはほぼ確定ではある。

なにせクロム伯爵が欲しいのは、象徴としてのトップだからな。
ヘンリエッタの能力に期待して治めて貰おうって気は、全くないだろうし。

因みに、象徴ってのは正当性な。

自分勝手に独立した他とは違って、うちはポロロン王国の後継としてやっていきます。
っていう正当性があると、他国との交渉や、今現在中立状態の領地を取り込みやすくなる。

俺からしたらどうでもいい事なんだが、正当性って物を重視する奴らってのは少なからずいるものだからな。

「じゃあ諦めてくれ。俺は今、この国を治めるので手いっぱいだ」

あんまデカくなっても管理が難しくなるだけである。
それでなくとも、今現在ですらジャガリック達に頑張って貰ているのだ。
これ以上彼らに負担をかける訳にはいかない。

あ、因みに、デスロード討伐に関しては――

連戦で弱っていた所を、他国の援軍を利用して討伐した。・
と、周囲からは思われている。

何故か?
オルブス商会に頼んで、そういう噂を周囲に広めて貰ったからだ。

ポロロン王国ってのは、帝国程じゃないとは言え、順位づけしたら上から数えた方が確実に早いレベルの大国だ。
その国を一方的に蹂躙するとんでも兵器を、スパム王国の力だけで退けたってなると、あの国はとんでもない戦力を抱えているって認識が周囲に広まってしまう。
それを避けるため、オルブス商会に頼んだのだ。

軍事力特化の小国とか、警戒対象以外何物でもないからな。
ほら、某北の国とか、核持たせたらやばい感凄いだろ?
そんな感じだ。

まあ軍事力アピールしないので済むのは、うちに死者蘇生って強力な外交カードがあるからこそだが。

「本当に貴方は欲がないわね」

「人間、欲をかくと碌な事にならないもんさ」

何事も程々が一番である。

「まあいいわ。叫んだせいで喉が渇いたので、私はお茶を頂いてきます」

ヘンリエッタが執務室を出ていく。

「さて、五月蠅いのもいなくなった事だし……ポイントはどう活用するべきかねぇ?」

ボーンドラゴンとデスナイト達を倒し事で、俺の元には2,600万ポイントが入って来ている。
カッパーの覚醒分も合わせると2,700万ポイントである。

今までにない程の大量ポイントと言っていい。
国の発展に、上手く使っていきたい所である。

このスパム領を守るために送られて来た、援軍を蘇生させないのか?

結論から言うと、蘇生はさせない。
まあ悪いとは思うけど、先の事を考えると、彼らを蘇生させるのは大きな災いの元になりかねないからだ。

俺が死者蘇生できるのは、援軍を求める為に開示しているので、一部の国はもう知っている事だ。
それが周囲に広まるのも、それほど時間はかからないだろう。
だから隠す意味は、もうない。

――だが、それが大量蘇生となれば話は変わって来る。

死者蘇生が特別でなく、容易く、しかも大量に出来ると思われた際の弊害は大きい。
それ目当てで大量に人が押し寄せて来るのは目に見えているし、なんだったら、神の使いみたいに祭り上げられるのが目に見えている。
そうなると、エルロンド教と本格的な敵対関係になりかねない。

また、軍事目的などで俺を狙ってくる国が出て来る事も予想できた。
アンデッドではない、不死の軍団とか作れる訳だからな。
軍事寄りの国家からすれば、そうとう魅力的に映る事だろう。

あ、因みに死者蘇生に関しては、エルロンド教に『偉いさんが死んだら、無償かつ優先的に蘇生させますよ』的な交渉を持ち掛ける予定である。
彼らも人の子だからな。
死んでも生き返る事が出来るとなれば、きっと飛びついてくるはず。

「まずはこのカッパーをランクアップさせるべきです!」

花瓶の水が飛び出てきて、カッパーの頭部に代わる。
別の五月蠅いのが出て来てしまった。

「この偉大なるカッパーが、雑魚いメガ精霊に甘んじるなどあってはならない事ですから!今こそプチ精霊王復権の時!」

カッパーは、実はメガ精霊に戻っていた。
無理やり覚醒を終わらせた事と、ボーンドラゴン戦で僅かなパワーを絞り出した影響だ。
要は、無茶しすぎた代償って訳である。

……カッパーは何だかんだで活躍してくれたから、望みをかなえてやりたいんだが。

「駄目ですよ、カッパー。貴方の体は無茶した影響でボロボロなのですから。今下手にランクアップしたら、そのまま消滅しかねません」

ジャガリックがそう諭す。

そう、深刻なダメージがあるため、カッパーはランクアップさせられないのだ。

「もう一月も経つのに、まだダメなんですか?」

「ああ、駄目だ。今やったら90%ぐらいで死ぬって出てる」

10%にかけてとかありえないからな。
カッパーのランクアップは、彼女が完全に回復してからである。

因みに、ジャガリック、タニヤン、ポッポゥに関しても同じ状態だ。
彼らの場合は、あの時デスゲイザーの咆哮から俺を庇ったせいだが。

「ぐぬぬぬ……仕方ありませんね。その代わり、出来る様になったら最速でお願いしますよ」

「分かってるって」

まあとにかく……現状まだまだ問題は山積みだけど、とりあえずひと段落って所かな。

そういや、まだ一年経ってないんだよな。
俺が追放されてから。

追放された時は死ぬほど絶望してたけど、あれからまさか1年未満で国が滅びて。
しかも俺が国を興して化け物と対峙するなんて、あの時には夢にも思わなかったよな。

ほんと、波乱万丈だよ。
そう考えると、俺って案外主人公ポジだったのかもな。
ラスボスみたいなのと、最後は命を賭けて戦ってたわけだし。

全然ガラじゃないけど。

まあでもここからは、できればゆるゆるなのがいいな。
戦闘とかもうこりごりである。


この時の俺は考えもしなかった。
この後、この世界に戦乱が吹き荒れ、否応なしにスパム王国がその流れに巻き込まれる事を。

ほんと、世の中ままならない物である。



―————————



拙作をお読みいただきありがとうございます。
ここで第一章・建国編は終了になりますので、一旦完結とさせていただきます。

第二章の予定は……まあその内って事で><
しおりを挟む
感想 30

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(30件)

照れねっさ
2025.05.30 照れねっさ

フォカバッチョー! (とても面白かったです。2章も楽しみにしております。)

2025.05.31 榊与一

ありがとうございます><

解除
アダムスキー

まさか口からインで尻からアウトかな?w

2025.05.10 榊与一

( *´艸`)

解除
無銘
2025.04.08 無銘

楽しく拝読させていただいております
施政者が重犯罪者対象に死霊術を刑罰に使うと、結構治安にプラスになりそうな気もするんですよね
濫用は厳禁でしょうけども

2025.04.08 榊与一

エルロンド教に睨まれる原因になかねませんので、結構もろ刃の刃に><

解除

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています

黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。 失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった! この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。 一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。 「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」 底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。