素行不良で僻地に追いやられた第4王子、自分が転生者だった事を思い出す~神様から貰ったランクアップで楽々領地経営~

榊与一

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第156話 決着

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「とう!」

フェンリルの口からコックピット(?)にカッパーが飛び込んできた。

「生きてたのか!」

「あたりまえでしょう!カッパーは不死身です!」

「この野郎、心配させやがって」

「ぷぎゃ!(ママお帰り!)」

絶対に死んだと思てったのに、全くこいつは本当にしぶとい奴だ。

「そうだカッパー。俺達の事より、先にジャガリック達を助けて来てくれ」

「それなら問題ありません。なにせカッパーは出来る精霊ですから。ちゃーんと行きがけの駄賃よろしく、骨共を沈めてきました」

おお、行きがけの駄賃と来たか。
さすが、腐ってもプチ精霊王だ。
あの駄目なカッパーが頼もしく見えるんだから、プチ精霊王パワー恐るべしである。

「じゃあ、後はあの野郎を始末したらお終いだな。頼んだぞ、カッパー」

「おまかせなさい!と、言いたい所ですが……大きな問題があります!」

「問題?なんだ?」

「それは……」

「それは?」

カッパーが勿体ぶるかの様に言葉を溜める。

「エネルギーが全然ありません!」

「エネルギーが……ない?」

「そうです。なにせ、本来より巻いて覚醒してますからね。そのせいかパワーが足りません!」

「……え?それって……ひょっとして……まさか……あいつを倒せないって事か?」

地面にめり込んだ体を起こしてきたボーンナイトへと、視線を向ける。
さっきの強烈な攻撃を見る限り、どうにでもなりそうな気がするんだが?

「あの骨、想像以上に硬いんで。今の出せるパワーだと、チョーっと倒し切れないと言うかなんというか。万全の状態ならフルボッコ待ったなしなんですけど」

そういや、あいつくっそ硬かったな。
俺の攻撃も全然効いてなかったし。

しかし……こいつは相変わらず頼りになるのかならないか、困ったもんだ。

「しゃあねぇな。じゃあ、時間を稼いでから隙作って逃げるか」

デスナイトを始末したなら、ジャガリック達はもう安心だ。
別に無理して今こいつを倒す必要はない。
カッパーはエネルギー不足と言っているが、元気そうなので他の皆が逃げる時間を稼ぐのは難しくないず。
なので、時間を稼ぐだけ稼いで逃げてしまえばいい。

休めばカッパーのエネルギーも回復するだろうし、倒すのはそれからでも遅くないからな。

「何を言ってるんですかフォカパッチョは!さっきかっこいい事を言ってたから見直したのに、そんな日和った発言は好感度級暴落ですよ!爆弾待ったなしです!」

「爆弾って何の爆弾だよ」

意味が分からん。

「だいたいこの水のプチ精霊王様に後退などありません!全身制圧あるのみです!」

「それが出来ないって、今自分で言ったばかりだろ?」

「私一人だとちょーっと厳しいと言っただけです!ここはフォカパッチョとフェンリルに、このプチ精霊王様の手伝いをする栄誉を与えましょう!」

「なるほど、力を合わせれば勝てるって訳か」

「ノー!補助です!あくまでも支え!倒すのは私です!」

「はいはい。分かった分かった。じゃあさっさと倒しちまおうぜ」

ま……ここでこいつを倒せるのなら、まあ倒しておいた方がいいからな。
放っておくと被害が広がってしまうし。

「では、私のパワーを送ります!」

カッパーがコントロール用の球体に手を付ける。
その瞬間、凄まじいパワーが流れ込んできた。

おいおい、とんでもないないパワーだぞ。
これでパワー不足とか、全力のプチ精霊王ってどんだけ凄いんだよ。

「お、剣か」

カッパーから受け取ったパワーと俺達の力が混ざり、フェンリルの両手に凝縮されて行き……そしてその膨大エネルギーは、巨大な青く光る剣へと変わる。

「名付けて……フォカパッチョソードです!」

「……いやそれ、ただの【デブ剣】じゃ?」

いくら何でも名前カッコ悪すぎだろ。
もうちょいマシな名前はなかったのかよ。

「グオオオオオォォォォォ!!」

「お、間抜けが焦って突っ込んできましたよ。一発で決めてやりましょう!」

これまで徹底して防御姿勢だったボーンドラゴンが、雄叫びを上げて突っ込んでくる。
カッパーの言う通り焦っているのだろう。
自身を地面に叩きつけた此方の助っ人が登場し、しかも目の前で俺達が強力な武器を作り出したとなれば、焦りもするよな。

「ああ!さっきまでの借りを返させて貰う!」

俺はデブ剣を大上段に振り上げる。
そして――

「プギャー!(いっけー!)」

「ハイパーフォカパッチョぎりだー!!」

――手にした剣を振り下ろした。

なにがどうハイパーなのかは気にしない。

「ヴァアアアアアア!」

振り下ろした剣が、ボーンドラゴンを二つに引き裂く。
流石に真っ二つにされるのは致命的だったようだ。
奴は怨嗟えんさの様な断末魔の雄叫びを上げ、消滅していく。

「終わったか……」

全身から力が抜け、脱力感に包まれる。
剣を振って分かったけど、たぶんカッパーは、一人でもボーンドラゴンを倒せたはずだ。
きっと、俺の手で決着を付けさせてくれようとして、あんな事を言ったのだろう。

まさかカッパーに気を遣われる日が来るなんてな……

そのまま俺は気絶した。


◇◆◇

――グラント帝国、北部にある秘密の神殿内。

「解せんな……」

自身を封じ込めている水球内で我は呟く。

「なぜ神はあれらを殺す事を禁じられたのか?」

数百年ぶりに拝聴した神の声。
それは喜ばしい事であると同時に、その内容は戸惑いを隠せない物だった。
神はこうおっしゃったのだ『その場にいる者達は、決して殺すな』と。

あのような虚弱な物たちなど、その気になれば一瞬でマナ殺しにする事も出来た。
だが神に止められた我は、結局、誰一人滅ぼす事なく召喚を解除している。

「もっとも解せんのが……なぜ敵に塩を遅らせる様な真似をさせられたのか、だ」

一撃だけ放ったブレス。
あれは攻撃のために放ったのではない。
水の精霊の近くで炸裂させる事で、進化中だった精霊を刺激し、覚醒を促すのが目的だった。

もちろん、それも我が神の指示である。

「解せん……解せんが、それが神ご意志ならば従うまで」

神には何か考えがあっての事なのだろう。
この卑小な身では、考え及びもしない何にかを。

「此度は力を使い過ぎた、少々眠りにつくとしよう」

自身の召喚は、デスリードが集めたエネルギーだけでは全く足りていなかった。
だから我自身の力を削り、無理やり顕現する形であの場に降り立ったのだ。
そしてその代償は小さくなく、回復にはしばしの眠りが必要だった。

「次に目覚めるとき……その時こそ、神と共に世界を亡ぼす時だ」

我は目をとじ、来るべき日に備えるのだった。
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