12 / 61
第12童 雪景色
しおりを挟む
「さむ!超さむ!」
朝。
余りの寒さに目を覚ます。
吐き出す息は白く。
体が寒さでぶるぶると震え上がる。
カーテン代わりの蓑をどけて外を見ると、辺り一面雪景色に覆われていた。
どうやら寝ている間に降り積もった様だ。
「まじかよ……」
この糞寒い中、きゃっきゃとはしゃぐサラともう一人の少年の姿に思わず呟く。
二人の身に着けているのは、粗末な薄っぺらい麻製の服と素足に草履だ。
俺なら5秒で風邪をひく自信があるそんな恰好で、子供達はお互いに雪を掬ってはかけ合っている。
「いくら何でも元気過ぎだろう……」
俺も田舎育ちで子供の頃は半ズボンで雪の積もった畦道を駆けたりしたものだが、流石に当時の俺でもあの格好で雪のかけ合いを楽しむだけの体力はなかった思う。
流石は異世界人。
現代日本人とは根幹の作りが違うと、感心せざる得ない。
「あ、勇人にいちゃ~ん!雪だよ!雪!」
そんな物は言われなくても見りゃ分かる。
しかし幸せそうな笑顔だ。
この村を訪れて1月ちょい。
少し前までは暗い顔をしていたサラだが、漸く立ち直れてきた様だった。
サラに限った話では無いが、この村の住人は皆大事な物を失っている。
辛いのを必死に堪えて頑張っている姿を見せられると、此方も何かしてやれないかとついつい情が移ってしまう。
正直、最初は春先になったら出て行こうかと考えていたのだが。
村の窮状を考えると、1-2年は留まって村の立て直しを手伝ってあげようかと今では思っていた。
ま、どうせやる事も無い訳だし。
10年も時間があるんだ。
少しぐらいはいいだろう。
「えいっ!」
にこにこしていると、何を思ったかサラが俺目掛けて雪玉を投げて来た。
当然俺にそれを躱せるわけもなく。
スマッシュヒット!
雪玉は顔面へと直撃!
勇人は50のダメージを喰らった!
「ぶわっ!ぺっ!いきなり何しやがる!」
「えへへへ」
えへへじゃねぇよ!
これだから子供は。
よーし、お仕置きしてやろう。
俺は頭の図書館からゴーレムに関する知識を引っ張り出す。
最近建築関係の力作業用によくゴーレムを使っているのだが、魔法の知識を使って普段は土で使っているそれを雪で生み出してみた。
「スノーゴーレム!」
「きゃっ!?」
サラの足元の雪がもこもこと盛り上がる。
驚いたサラはその場で尻もちを付き、その目の前に雪の巨人が姿を現した。
「サラ、悪い子にはお仕置きだ。そいつに掴まったらお尻ぺんぺんだぞ」
「えー、やだー」
そう言うとサラは起き上がり、少年の元へと駆けていく。
それをノロノロと追うゴーレム。
パワーと耐久力は優秀だがゴーレムは動きがトロイ。
それを知っているサラ達は手を叩いたり、雪玉をぶつけながら追い駆けっこを楽しみだす。
「さて、便所でも行くかぁ」
勿論本気でお仕置きする為にゴーレムを生み出した訳ではない。
あくまでも彼女達の意識を逸らすのが目的だ。
この寒い中、一緒に遊ぼうなどと誘われたら堪ったものではない。
とてもではないが、異世界人の子供に付き合うだけの体力はおっさんの俺には無いからな。
という訳で、子供達の相手をゴーレムに押し付けて。
おしっこ漏れそうな俺は家を出て、厠へと急ぐのだった。
朝。
余りの寒さに目を覚ます。
吐き出す息は白く。
体が寒さでぶるぶると震え上がる。
カーテン代わりの蓑をどけて外を見ると、辺り一面雪景色に覆われていた。
どうやら寝ている間に降り積もった様だ。
「まじかよ……」
この糞寒い中、きゃっきゃとはしゃぐサラともう一人の少年の姿に思わず呟く。
二人の身に着けているのは、粗末な薄っぺらい麻製の服と素足に草履だ。
俺なら5秒で風邪をひく自信があるそんな恰好で、子供達はお互いに雪を掬ってはかけ合っている。
「いくら何でも元気過ぎだろう……」
俺も田舎育ちで子供の頃は半ズボンで雪の積もった畦道を駆けたりしたものだが、流石に当時の俺でもあの格好で雪のかけ合いを楽しむだけの体力はなかった思う。
流石は異世界人。
現代日本人とは根幹の作りが違うと、感心せざる得ない。
「あ、勇人にいちゃ~ん!雪だよ!雪!」
そんな物は言われなくても見りゃ分かる。
しかし幸せそうな笑顔だ。
この村を訪れて1月ちょい。
少し前までは暗い顔をしていたサラだが、漸く立ち直れてきた様だった。
サラに限った話では無いが、この村の住人は皆大事な物を失っている。
辛いのを必死に堪えて頑張っている姿を見せられると、此方も何かしてやれないかとついつい情が移ってしまう。
正直、最初は春先になったら出て行こうかと考えていたのだが。
村の窮状を考えると、1-2年は留まって村の立て直しを手伝ってあげようかと今では思っていた。
ま、どうせやる事も無い訳だし。
10年も時間があるんだ。
少しぐらいはいいだろう。
「えいっ!」
にこにこしていると、何を思ったかサラが俺目掛けて雪玉を投げて来た。
当然俺にそれを躱せるわけもなく。
スマッシュヒット!
雪玉は顔面へと直撃!
勇人は50のダメージを喰らった!
「ぶわっ!ぺっ!いきなり何しやがる!」
「えへへへ」
えへへじゃねぇよ!
これだから子供は。
よーし、お仕置きしてやろう。
俺は頭の図書館からゴーレムに関する知識を引っ張り出す。
最近建築関係の力作業用によくゴーレムを使っているのだが、魔法の知識を使って普段は土で使っているそれを雪で生み出してみた。
「スノーゴーレム!」
「きゃっ!?」
サラの足元の雪がもこもこと盛り上がる。
驚いたサラはその場で尻もちを付き、その目の前に雪の巨人が姿を現した。
「サラ、悪い子にはお仕置きだ。そいつに掴まったらお尻ぺんぺんだぞ」
「えー、やだー」
そう言うとサラは起き上がり、少年の元へと駆けていく。
それをノロノロと追うゴーレム。
パワーと耐久力は優秀だがゴーレムは動きがトロイ。
それを知っているサラ達は手を叩いたり、雪玉をぶつけながら追い駆けっこを楽しみだす。
「さて、便所でも行くかぁ」
勿論本気でお仕置きする為にゴーレムを生み出した訳ではない。
あくまでも彼女達の意識を逸らすのが目的だ。
この寒い中、一緒に遊ぼうなどと誘われたら堪ったものではない。
とてもではないが、異世界人の子供に付き合うだけの体力はおっさんの俺には無いからな。
という訳で、子供達の相手をゴーレムに押し付けて。
おしっこ漏れそうな俺は家を出て、厠へと急ぐのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,043
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる