マスタースロット1の無能第333王子、王家から放逐される~だが王子は転生チート持ち。スキル合成による超絶強化&幻想種の加護で最強無敵に~

榊与一

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36――結局

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「迷宮広すぎ……つか、本当に幻獣いるのかよ。やっぱガセだったんかねぇ」

ドマとエマの双子エルフと合流してから既に2週間たつが、めぼしい成果はない。

遺跡の迷宮は背後の岩壁――遺跡はめり込む形で建てられている――内どころか、地下深くまで蟻の巣の様に広がっていた。
そのため、既に結構な時間探索しているにもかかわらず、まだ全体を回り切れていなかった。

「発見されたのがずっと以前だったのでしたら、入り口が変わってしまっている可能性もありますね」

「引っ越しかぁ……だったら勘弁して欲しいぜ」

彼らは別に発見された場所で生活している訳ではないで、引っ越しというのは正しくは無いだろう。
正確には、玄関口の位置を変えたというのが正しい。

ま、どっちにしろ見つからない事に変わりないが……

「お宝もあれ以来見つかってないし……はー、だる」

「何か見つかったんですか?」

食堂で食事を済ませ、ドマ相手に愚痴っていると急に声をかけられる。
振り返ると、そこには帝国の研究者であるアイレンが立っていた。
顔にこそ出さなかったが、余計な言葉を聞かれてしまったと俺は心の中で舌打ちする。

サラがこの場にいてくれれば事前に察知してくれていたのだろうが、残念ながら彼女はエマと二人で食後のデザートを買いに出かけていた所だ。
タイミングが悪かったとしか言いようがない。

まあ聞かれてしまったのはしょうがない。
適当な嘘で誤魔化すとしよう。

「ええ、アンデッドの一体が剣を持ってたんですよ」

「剣!?まさか業魔の剣ですか!?」

玉が彼女達のお目当ての物だと思い、剣と嘘を言ったのだが……ミスったか?
ていうか、業魔の剣ってなんだ?

「業魔の剣?」

「おっと、失言でした。出来ればその剣を見せて頂きたいのですが」

情報は出さない。
でも剣は見せろってのは、随分と虫のいい話だ。
まあそれ以前に剣なんて無いので見せ様がないのだが、少し考えてから口を開いた。

「見せるのはいいですが、既にその剣は仲間が装備しているのでお譲りは出来ませんよ」

「とにかく……一度、見せて貰ってもいいでしょうか?」

「分かりました。ドマ、君の剣を見せてやってくれ」

ドマは何の事か分かっていないはずなのに、疑問を口にする事無く、素直に腰に掛けていた剣をテーブルの上に置いた。

彼の身に着けている剣は、古くからエルフの村に伝わっている物だと聞いている。
迷宮で見つかったとするには、丁度いい代物だ――新しい剣だとハッタリがすぐばれそうなので、彼の剣で誤魔化させて貰う。

「随分と手入れをされている様ですが」

まあ古い物ではあるが、大事に使われてきているので手入れは完璧に行き届いている。
最近手に入れた古い剣が、何故こんなにもピカピカなのかという彼女の疑問は尤もだ。

「実戦で使う物ですから、当然使うと決めた時点で徹底的に手入れはしていますよ」

「……そう言われると、確かにそうかもしれませんね」

彼女は少し疑わし気な眼差しを向けるが、平静を装って俺は笑顔でそれを躱す。

「手に取って見てもいいですか?」

「どうぞ」

アイレンさんがドマの剣を手に取る。
その柄や鞘。
それと刀身を確認する。

「……」

「どうです?」

「どうやら、違う様です」

そらそうだ。
エルフの村から持ってきた剣なのだからな。
これで「間違いありませんこの剣です!」とか言い出したら、何言ってんだこの女って話になる。

「そうですか」

「残念です。二度目の探索でも成果が上げられなかったので、ひょっとしたらと思って訪ねて来たのですが」

まああの迷宮の広さを考えれば、成果無しも致し方ないだろう。

「カオスさんはまだあの迷宮に?」

「いえ、俺達ももうあそこの探索は諦めるつもりです。趣味寄りの探索とはいえ、流石にここまで成果が乏しいとなるとこれ以上続けるのは難しいですから」

実際はまだもう少し続ける予定ではあるが、期待されても困るので彼女には打ち切ると伝えておく。
ありもしない期待を抱かせるのも可哀そうだからな。

「そうですか……残念です。では私はこれで」

アイレンさんが帰ろうとすると、そこに買い物に出掛けていたサラ達が帰って来る。
そしてエマさんが一言。

「どうしたんです?ドマ兄さん。エルフの剣をテーブルの上になんて置いて」

うん。
タイミング悪すぎ。

「成程。エルフの剣ですか」

アイレンさんがメガネを指でクイッと上げた。
その顔は、よくも騙しやがったなこの野郎と言った感じになっている。

「ええ。エルフのドマが使うので、そう名付けました」

が、まだ修正は効く。
そう判断した俺は適当な法螺を吹いた。
ちょっと苦しい気もするが、相手に確かめるすべは――

「え!?エルフの村から古くから伝わる剣で、昔っからその名前でしたよ?」

空気読めよ。
双子の兄妹でも、黙って場の空気を読める兄のドマとは偉い違いだ。

「話を聞かせて貰ってもいいですか?」

帰ろうとしていたアイレンさんが笑顔で席に着く。
ちゃんと話が聞けるまで梃でも動かない。
そんな雰囲気オーラが彼女の全身から立ち昇っている。

厄介だな……

これが只の研究者ならガン無視でもいいのだが、彼女は国の機関に勤める人間だ。
当然それを無視すれば、帝国から目を付けられる事になってしまう。
そうなれば、この国での行動に支障が出かねない。

「しょうがないですね」

俺は溜息を一つ吐いた。

まあ求めているのは召喚の玉ではなかった様だから、本当の事を話しても大丈夫だろう。
仮にそれを欲しがったとしても、エルフの村に預けていてもう手元には無い。
強制的に奪われると言う事も無いだろう。

俺は迷宮で手に入れたのは剣でなく玉であり、その効果を素直にアイレンへと話した。
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