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第44話 精神テスト
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最後のテストは精神力だ。精神性と言えば根性論的な物が思い浮かぶが、これが結構馬鹿にならない。戦いの最後の一押しを支えるのは強靭な精神に他ならないし、訓練の能率にも影響して来る物だからな。
「開始!」
最後のテストは全員一緒に受けるタイプだ。特殊な魔法陣の描かれた部屋へと案内された俺達は、そこで座禅を組んで目を瞑らせられる。この魔法陣は幻覚を見せる効果がある様で、目を瞑ってる間は精神攻撃が行われる様だ。
俺が見せられたのは、魔王との戦いだ。それも俺が延々奴になぶり殺しにされるシーンが超リアルに。しかも幻覚にもかかわらずその痛みは本物で、正直、糞みたいなテストと言わざる得なかった。
「それまで!」
不意に虐殺され続ける幻覚が途切れ、終了が告げられた。ゆっくりと目を開け周囲を見渡すと、俺以外の人間は気絶してその場で倒れるか、ぐったりと放心している。どうやら最後まで幻覚に耐えられたのは俺だけの様だ。かくいう俺も、全身汗びっしょりである。出来ればもう二度とこのテストは受けたくない。
エナイスは渋い顔して頭を押さえてるな。髪の毛が抜けていく幻でも見せられたのだろうか? ま、どうでもいいけど。
で、ザケンは白目向いて泡を吹いてて。ネイガンの奴は倒れたまま『ピーマンが、ピーマンが』って唸ってやがる。いったいどんな幻を見せられたんだ、こいつは? ちょっと気になる。
「このテスト、君は満点だ。総合得点はこの組ではダントツだね。全体を通してもベストスリーに入る成績だから、君は間違いなく合格だよ」
ローブを身にお纏った審査官が部屋に入ってきて、俺にそう告げる。最初に俺に声をかけたのは、他の人間は精神的ダメージが大きく、声を掛けるのに適していないと判断したからだろう。実際、俺も今は誰かと楽しく談笑する気にはなれないし。
「君には期待している。人類の未来がかかっているから、どうか頑張ってほしい」
「頑張ります」
俺に声をかけた後、彼と他の審査官達が参加者の様子を見て回る。精神的ダメージが酷く、治療の必要があるかのチェックか何かだろう。テスト内容がテスト内容だっただけに、ひょっとしたらこれがトラウマとなる物も出て来るかもしれない。
テストで少しやりすぎって気もしなくないが……世界の命運をかけた戦士の選別だからな。ま、ある程度は仕方ないのだろう。
「さて、これでテストは全て終了しました。合否結果は後日発表されますので、皆様は宿舎へお戻りください」
重傷な者はいなかった様で、何事も無くその場は解散になる。
「エナイス姫は、ザケン王子に何を頼むつもりなんだ?」
宿舎への帰途中、エイナスがザケンに何を願うのか少し気になったので聞いてみた。
「……大した事を頼むつもりはありません。アカデミー期間中は訓練に集中したいので、私への接触を控える様お願いするつもりです。もちろん、それは二人共合格している事が前提ですが」
「なるほど」
……せめてアカデミー中は寄り付かない様に、か。慎ましやかな願いである。
何でも通るなら、きっと婚約解除あたりを望んでいた事だろう。だがそれは国と国が決めた事である。二人の個人的な約束でそれを引っ繰り返す事は出来ない。なので、落としどころとしては無難と言える。
まあエナイスはともかく、ザケンはそもそも不合格になる可能性も考えられるが。
「開始!」
最後のテストは全員一緒に受けるタイプだ。特殊な魔法陣の描かれた部屋へと案内された俺達は、そこで座禅を組んで目を瞑らせられる。この魔法陣は幻覚を見せる効果がある様で、目を瞑ってる間は精神攻撃が行われる様だ。
俺が見せられたのは、魔王との戦いだ。それも俺が延々奴になぶり殺しにされるシーンが超リアルに。しかも幻覚にもかかわらずその痛みは本物で、正直、糞みたいなテストと言わざる得なかった。
「それまで!」
不意に虐殺され続ける幻覚が途切れ、終了が告げられた。ゆっくりと目を開け周囲を見渡すと、俺以外の人間は気絶してその場で倒れるか、ぐったりと放心している。どうやら最後まで幻覚に耐えられたのは俺だけの様だ。かくいう俺も、全身汗びっしょりである。出来ればもう二度とこのテストは受けたくない。
エナイスは渋い顔して頭を押さえてるな。髪の毛が抜けていく幻でも見せられたのだろうか? ま、どうでもいいけど。
で、ザケンは白目向いて泡を吹いてて。ネイガンの奴は倒れたまま『ピーマンが、ピーマンが』って唸ってやがる。いったいどんな幻を見せられたんだ、こいつは? ちょっと気になる。
「このテスト、君は満点だ。総合得点はこの組ではダントツだね。全体を通してもベストスリーに入る成績だから、君は間違いなく合格だよ」
ローブを身にお纏った審査官が部屋に入ってきて、俺にそう告げる。最初に俺に声をかけたのは、他の人間は精神的ダメージが大きく、声を掛けるのに適していないと判断したからだろう。実際、俺も今は誰かと楽しく談笑する気にはなれないし。
「君には期待している。人類の未来がかかっているから、どうか頑張ってほしい」
「頑張ります」
俺に声をかけた後、彼と他の審査官達が参加者の様子を見て回る。精神的ダメージが酷く、治療の必要があるかのチェックか何かだろう。テスト内容がテスト内容だっただけに、ひょっとしたらこれがトラウマとなる物も出て来るかもしれない。
テストで少しやりすぎって気もしなくないが……世界の命運をかけた戦士の選別だからな。ま、ある程度は仕方ないのだろう。
「さて、これでテストは全て終了しました。合否結果は後日発表されますので、皆様は宿舎へお戻りください」
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「エナイス姫は、ザケン王子に何を頼むつもりなんだ?」
宿舎への帰途中、エイナスがザケンに何を願うのか少し気になったので聞いてみた。
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「なるほど」
……せめてアカデミー中は寄り付かない様に、か。慎ましやかな願いである。
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まあエナイスはともかく、ザケンはそもそも不合格になる可能性も考えられるが。
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