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第63話 日向の大漁網
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「ん、っしょっと!」
日向は銛を飛ばし、二階の天井に当てた。
「お、兄さん?? 何かするんですか??」
日向の行動に、桜木も尋ねた。
尋ねられた日向は「ぬふふ♡」と笑い。
「《大漁網》発動なのだ‼」
その呪文に、銛が輝き。
緑色の網が降って来た。
「っわ、わぁあ♪」
その光景に、桜木も驚きの声を上げた。
日向は、その網に桜木を下した。
「一緒に上がるのだw」
「ううん!」
上から、その光景を見る希美。
「仲がいいのね。まどかと」
「アニキはいい人でやんすよ! 姐さん!」
「……ええ。それは分かるわ」
しかし、胸が軋む音が鳴る。
桜木が、日向と微笑む度に。
チクチク、と痛み。
ざわめく。
「分かるのだけど……」
たぬ吉が首を傾げるのを、希美は優しく撫ぜた。
「ぁ、ああ~~w 姐さぁ~~ん♡」
「早く、早く上がって来なさいよ。日向さん、まどか!」
◆
掴んだ網は、少し磯の匂いがほのかにした。
そして、とても頑丈な作りだと分かる。
「この網に、邪なものが引っかかればイチコロなのだ」
ギシ、ギシ……ッッ!
日向は、桜木の背中を押して持ち上げる。
「大丈夫なのだ? まどちゃん」
「ううん。アスレチックは得意なんです」
「あすれ、ちっく?? む、そうなのだ?」
日向は桜木の言葉に、はにかんだ。
意味が分からなくても、大丈夫だと分かったからだ。
ギシ、ギシシ――……ッッ!
「っく。っしょっと!」
桜木も決して得意じゃないが。
足手まといにならないようにと、腕を、指先を網に伸ばした。
そして、上を見上げた。
たぬ吉と、希美が見えた。
「行かなきゃ!」
そこに。
茄子が、カボチャが向かって来た。
「!?」
しかし、網に引っ掛かり。
『ギャアアアアアアアアアアアア‼』
真っ黒な炭になって、塵となった。
ひゅう、と消え去る野菜に。
桜木は安堵の息を漏らし、
「行かなきゃ! 上に‼」
強し足取りで上に、登って行く。
「その意気なのだ! まどちゃん!」
「はい! お兄さん!」
◆
見下ろしていた希美は、
「あ!」
二人の背後の野菜の大群に、声を漏らした。
そして。
杖を振りかざしーー《宝石》を取り換えた。
当たり障りのないようなものに。
次の瞬間叫んでいた。
「散りなさい!」
そんな、希美の様子に、日向が後ろを振り返った。
「の、ぉあ゛! なのだ‼」
桜木が振り返ろうとするのを、日向が留めさせた。
「?? お兄さん??」
「のなかちゃんを見ているのだ」
「?? はい」
《魔法少女の杖》が輝き始め。
一気に閃光が奔った。
すると。
日向の目の前に見えていた、野菜が。
一個、二個、三個と。
爆発していった。
「これは、これは――……」
そして、日向は希美を見た。
「のなかちゃん。お主は――……」
希美も、肩で息を吐いていた。
「なんと、強い女子か」
日向は銛を飛ばし、二階の天井に当てた。
「お、兄さん?? 何かするんですか??」
日向の行動に、桜木も尋ねた。
尋ねられた日向は「ぬふふ♡」と笑い。
「《大漁網》発動なのだ‼」
その呪文に、銛が輝き。
緑色の網が降って来た。
「っわ、わぁあ♪」
その光景に、桜木も驚きの声を上げた。
日向は、その網に桜木を下した。
「一緒に上がるのだw」
「ううん!」
上から、その光景を見る希美。
「仲がいいのね。まどかと」
「アニキはいい人でやんすよ! 姐さん!」
「……ええ。それは分かるわ」
しかし、胸が軋む音が鳴る。
桜木が、日向と微笑む度に。
チクチク、と痛み。
ざわめく。
「分かるのだけど……」
たぬ吉が首を傾げるのを、希美は優しく撫ぜた。
「ぁ、ああ~~w 姐さぁ~~ん♡」
「早く、早く上がって来なさいよ。日向さん、まどか!」
◆
掴んだ網は、少し磯の匂いがほのかにした。
そして、とても頑丈な作りだと分かる。
「この網に、邪なものが引っかかればイチコロなのだ」
ギシ、ギシ……ッッ!
日向は、桜木の背中を押して持ち上げる。
「大丈夫なのだ? まどちゃん」
「ううん。アスレチックは得意なんです」
「あすれ、ちっく?? む、そうなのだ?」
日向は桜木の言葉に、はにかんだ。
意味が分からなくても、大丈夫だと分かったからだ。
ギシ、ギシシ――……ッッ!
「っく。っしょっと!」
桜木も決して得意じゃないが。
足手まといにならないようにと、腕を、指先を網に伸ばした。
そして、上を見上げた。
たぬ吉と、希美が見えた。
「行かなきゃ!」
そこに。
茄子が、カボチャが向かって来た。
「!?」
しかし、網に引っ掛かり。
『ギャアアアアアアアアアアアア‼』
真っ黒な炭になって、塵となった。
ひゅう、と消え去る野菜に。
桜木は安堵の息を漏らし、
「行かなきゃ! 上に‼」
強し足取りで上に、登って行く。
「その意気なのだ! まどちゃん!」
「はい! お兄さん!」
◆
見下ろしていた希美は、
「あ!」
二人の背後の野菜の大群に、声を漏らした。
そして。
杖を振りかざしーー《宝石》を取り換えた。
当たり障りのないようなものに。
次の瞬間叫んでいた。
「散りなさい!」
そんな、希美の様子に、日向が後ろを振り返った。
「の、ぉあ゛! なのだ‼」
桜木が振り返ろうとするのを、日向が留めさせた。
「?? お兄さん??」
「のなかちゃんを見ているのだ」
「?? はい」
《魔法少女の杖》が輝き始め。
一気に閃光が奔った。
すると。
日向の目の前に見えていた、野菜が。
一個、二個、三個と。
爆発していった。
「これは、これは――……」
そして、日向は希美を見た。
「のなかちゃん。お主は――……」
希美も、肩で息を吐いていた。
「なんと、強い女子か」
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