龍人のvrmmo

オレンジ狐

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7話

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そろそろ時間か...





キュイーン

「ん、戻ってきたみたいですね。今は...2時40分ですか。そろそろ行きますか」

部屋に時計が置いてあって良かったよ



コツコツ

「ん?この時間から外に出んのか?ってお前か!フードを被ってたからわかんなかったぜ!」

北門に到着し、門に近寄ると話しかけてきたのは、最初に出会った熊の獣人だった

「確か貴方はダンダス殿。こんな時間まで警備の仕事ですか?」

そう聞くと

「いんや、お前さんに会った後、一回休憩を取ったよ。俺は朝当番だからな。そっちこそ、こんな時間に何の用だ?」

「いえ、私は知り合いと待ち合わせをしていて...他に待ち合わせ場所にできる様な場所が思いつかなかったものですから」

「そうか。そういや、あの後どうしたんだ?商店街の方に行ったみたいだったけどよ」

そう、首をかしげながらきいてくる

そこまで見ていたのか

「あの後、師匠ができましたよ。【格闘術】の師匠が」

それを聞き、少し考えた後手を叩いた

「ココウラんとこか。あいつは、そそっかしいからな。がんばれよ、お弟子さん」

それに対し、苦笑いを浮かべながら頷く

「ええ、頑張ります」

主に子守を



しばらくすると、何人かの男女が近づいてきて、話しかけてくる

「もしかしてキョウ?」

その問いに頷きながらかえす

「ええ、そうですよ」

そう答えると目を輝かせる
 
「お姉ちゃん、私だよ!キラだよ!」

その言葉に驚きながらもしっかりと見る

随分と...

「随分と変わりましたね。気が付きませんでしたよ」

そう言うと、少し自慢げに

「そうでしょ~!現実とは違う自分にしてみたんだ!」

そう声高々に言う
そうしていると、後ろから1人の男性が前に出る

「姉さんはあんまり背格好は変わってないね。というか、なんでフード被ってるの?」

「ということは、貴方がコーランドですか。貴方もあまり変わっていませんよ。フードについては、太陽に弱い体質だからです。それよりも、そちらの方々を紹介してくれませんか?」

そう言うと2人とも一歩ずれて

「まずは私の仲間たちの紹介をするね!一緒にやってる、アカリ、メリア、キュート、ヒロだよ!」

そう言うと、キラの仲間と思われる人たちが頭を下げる
それを見て、コーランドは頷き

「次はオレの仲間の紹介だよな。仲間の、シュートとレンだ」

呼ばれた2人が頭を下げる
それを見て頷いた後

「私はキョウ。キラとコーランドの現実の姉です。よろしくお願いします」

よろしくです、よろしくっすなどという声が聞こえた後

「はいはーい!おいくつなんですか!?」

といった質問が聞こえてくる
それにニコリと笑うと

「今年で27になります」

ほー、へー、などという声が聞こえてきた

「はっ、はい!なら何でフード被ってるんですか?」

「私の種族が、太陽に弱いからです」

そう言うと、えぇ!?、何それ!?と言われる

キラが一歩前に出て

「お姉ちゃんって種族何なの?」

そう言うと、他の人たちも頷く

まあ、確かに気になるよな

「黒龍人、という種族ですよ」

「何それ初めて聞いたよ!?レア?レアなの?」

そう言って詰め寄ってくる

どうどう、と言いながら

「そうらしいですよ」

わー!すごーい!、よく出たな!などの声が聞こえ始める

「姉さんは今は何をしているの?依頼をやってるんなら手伝うよ?」

そう、コーランドが言うと
キラもそれに続き

「うんうん!アドバイスなんかもするよ!」

と言ってくる

ざんねん

それに対し、苦笑いを浮かべ首を振ると

「依頼は受けていませんし、師がいますから」

そう言うと

「そう?ならフレンド登録しておかない?」

そう言ってくる

フレンド登録?

「何ですか?それは?」

そう聞くと、首をかしげながら

「あれ?聞いてない?ギルドに登録するとフレンド機能って言うのが使えて、フレンド登録しておくと好きな時にメールが出せるんだ!ねぇ、やろうよ!」

そんな機能が...

「残念ですが、それはできませんね。私はギルドに登録していませんから」

そう言うと、えーっ、と言う声の後に

「何でしてないんですか?普通はしますよ?」

それに対して苦笑いを浮かべながら

「登録すると、指定依頼などが来るらしいですし、特に魅力は感じなかったので。せっかくゲームをしているのに他人に縛られるのは嫌ですから」

そう言ったものの、不満気な顔で

「でも...」

それに被せるように

「やめろ、レン。やり方は自由、それがこのゲームだ。...でも姉さん、もし困ったら何時でも言ってくれ、力になるから」

その言葉に頷き、

「ええ、その時は相談しますね」

それを聞いて満足したのか、踵を返すと

「帰るぞ、シュート、レン。姉貴もほら」

そう言いギルドに向かって歩き出す
それに続く様に

「わかってる!じゃあねお姉ちゃん!」

そう言って去って言った





普通はする、か

そんなことを思いながら俯いていると

「ん?他の奴らは帰ったのか?」

そう言ってダンダスが近寄ってくる
顔を上げ、笑みを作ると

「ええ、そろそろ戻りますね。朝早くから騒いでしまってすみません」

そう言って軽く頭を下げる
それを見て、息を吐くと

「ま、あんま気張んなよ。お前の人生はお前のもんなんだからな。ん?龍人なら龍生、か?」

その言葉に、小さな笑みを浮かべながら

「そうですね。龍生、ですね。ふふ、少しだけ勇気が湧きました。ありがとうございます、ダンダス殿」

そう言うと、ニッと笑い

「いいってことよ!」




自分の人生は自分のもの...
いい、言葉だな

そう思いながら笑みを浮かべ来た道を戻り出した
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