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その出会い
とある女
しおりを挟むこの世界はつまらない。
この世に生を受けて約20年、私は常にそう思ってきた。
異能力者しか入れない特別な小学校に入学したときも、エスカレーター式で中学に行った時も、高校には行かず世のため人のために働き始めた時も、
なんてつまらない世界に生まれてしまったんだろうと、ずっとそう思ってきた。
それは、長くてめんどくさくて何言ってるかよくわからない会議に出席してる今も変わらない。むしろ今のこの状況が最高につまらない。
「悪人は次、明日の22:00頃東京上空に現れると予測されています。今回のタイプは飛行、電波を操るとされ東京全域、または関東全域で相当な被害がでるかと。そこで東京本部で善人を出せとの命令が入りました」
パッチリスーツを着ていて、ザ・秘書みたいな女がベラベラと喋るこの会議。
この世界はつまらないと同時に不条理だ。
ヴァイスと呼ばれる、悪霊なんかよりもっと質の悪い奴がこの世界に出没するようになった。
それも何故か日本を集中攻撃ときた。
それと並行するように、日本だけでごく稀に超能力をもった子供が生まれるようになる。
そこで上は考えた。
この子達にヴァイスを倒させればいいのではないか、と。
いやむしろそれしかないと、超能力を持った子供は自動的に国で保護され、それ特有の知識を学び自らの能力を伸ばす教育だけを受けさせられる。
まったく、身勝手にも程があるっていうんだよ。
そしてその集大成がここ、今私がいるヴァイス討伐軍だ。
東京本部を起点として、全国に支部が6つ置かれている。
ヴァイスが出現する場所を予測してそこに一番近い支部から、私達超能力者、まあ所謂グッドと呼ばれるヤツを派遣する決まりになっているのだ。
あー、やだやだ行きたくない。だって私みんなにキラキラした目で見られるのとか嫌いなんだもん。行きたくない。行きたくないが、このタイプのヴァイスだと確実に、
「…じゃあ今回は不知火 真理と三田 湊に行ってもらおう」
私に白羽の矢がくる。
本部長の命令は絶対だ。行きたくない、行きたくないが、行かなければいけない。
私の能力は重力操作。
幼い頃に誤って母を浮かせてしまってから超能力者として生きている。
これは対人やモノだけじゃなく、私自身にかかる重力も操作できるから空中戦には必ず赴かされる。
「はーい」
「頑張ります!」
しかも相方は三田くんか。入ったばかりで気合いだけが空回りしてそうな子、というのが正直の印象だった。
能力は水。
相手が電波ということもあって、電気系には水という安直な考えなんだろうけど、私が重力操ってぺったんこにした方が早いっつーの。
「それでは解散!」
やっと長い会議が終わり、サッと席を立ってサッサと真っ暗で不気味な会議室から出る。
誰の趣味か知らないけど会議室も廊下も真っ暗で薄気味悪いんだよねー、趣味わる。
「真理ぃ~、1週間に3回も前線なんてついてないねぇ~?」
そんな廊下で親しげに声をかけてくるのは、私の友人で同期の立花 紫だ。
彼女もまた、超能力者で能力は毒。
敵にはなってほしくない人物である。
「ほんとね。やんなっちゃうなー、紫変わってよ」
「そんなことしたら二人とも本部長にめった刺しだよ」
そんな笑えない冗談を2人で軽く笑い、ふっと時計を確認した。
時刻は20:30を刻もうとしてる、まずい。
「うわっ、私21:00からどうしても見たい番組あるんだ!急がなきゃ!紫またね」
「またね~」
全身の力を軽く抜き、自分にかかっている重力を3分の1にした。
ふわふわと浮き上がる感覚。
私はこの感覚が意外に好きだ。
そして靴に搭載されてある弱い空気砲をオンにし、家まで飛ぶ。
夜の東京の景色はネオンでやっぱり綺麗だけど、やっぱりどこかつまらないな、と思ってしまった。
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