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その出会い
とある戦闘日
しおりを挟む「はあ~…」
控え室で戦闘用スーツに着替えながら、私は重苦しいため息をついていた。
ポケットにしまってあった位置確認装置を取り出し、真ん中にある''押してください''と言わんばかりの大きなボタンをその存在意義通り押してあげると、そこから今回ヴァイスが出現する正確な位置が示されてある地図みたいなものが浮かび上がってくる。
ちなみにヴァイスの出現予測は、予知能力を持った能力者が伝えている為、誤りは一度もない。日にち、時間、場所、タイプやどんな攻撃をしかけてくるのかまでわかってしまうんだから、チート以外のなにものでもない。
だが、なかなかどうしてヴァイスは強い。
こちらがこんなに情報を掴んでいるというのに、苦戦することなんてたくさんある。
先ほど司令に説明された攻撃手順を頭に叩き込み軽い準備運動をし始めたとき、そのベルは鳴った。
『 不知火 真理、及び三田 湊。そしてその二人を起点としたサポートチーム。出撃準備! 』
くそ偉そうなジジイめ。自分ではなにもやらないくせに。
司令にどんな能力があるのかなんて知らない。興味もないし、そもそも教えてくれるとは思っていないからだ。
みんなそう。この世界はなにかしら諦めて生きている。だからつまんない。
「行きますか…」
戦闘用スーツの上に黒いマントを羽織り、控え室から出た。
腕の時計を見ると時刻は丁度21:00。
今回は楽な戦闘でありますよーに、そう願いながら控え室を後にした。
***
「やっほー!真理!いつにも増して機嫌悪そうだねえ~」
「あれ、紫…今日オフなんじゃないの?」
「そうなのそうなの!そうだったんだけどサポートチームのレベルが、ちょっとねえ…」
入口に集まった今日の討伐軍を見ると、紫が休日返上で呼ばれた理由がわかった。
なんだこれ、新人ばっかりじゃん。
「司令は何考えてるの。馬鹿じゃない」
「だよねえ~、これはもう前線の二人に死ねって言ってるのと同じだよねえ~」
クスクス笑いながらこちらを見てるけど紫、笑い事じゃないよ。
この世界はつまらないとは思うけど、死にたいとは思わない。
「絶対倒してやる…」
「あたしが全力でサポートするから任せて」
紫のそんなやる気に満ちた顔を見て、ああこいつが同期で良かった、と思う。
黒くて透明な手ぶくろをパシン、手に合わせればもう戦闘準備は完璧だ。
「おっ、俺!不知火さんの役に立てるように頑張りますっ!」
「…役に立たなくていいから、邪魔だけはしないで」
私の周りをちょろちょろされると、三田くんまで潰してしまいそうだ。
別にプレッシャーをかけたつもりじゃなかったが、「ハ、ハィィイイ…!!」と唇を震わせているところを見るとどうやらかなり緊張させてしまったようだ。失敗。
「それじゃあ行こう。…総員!!!!」
私のこの声にザッ、と全員の足並みが揃う。
思わず口元がにやけてしまった。この感覚はなかなか好きだ。
「…直ちに移動せよ!!!!!!!」
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