【続編完結】侯爵令嬢は今日もにこやかに断罪する

ミアキス

文字の大きさ
59 / 82
【二部】侯爵令嬢は今日もあざやかに断罪する

20.

しおりを挟む
「………ラ、ランディ……」

現れたランディは、何の感情も映さない瞳でマキシオを見下ろした。

「…噂に対処出来なかったのは我が不得。貴様の謝罪も不要だ……。そもそも貴族とはそう言ったやり取りもしてこそ、だ……。貴様の所業に気づけなかったのは、わたしがまだまだ当主として未熟であったということだ……」

そう言い捨てて、ランディはカイエンに頭を下げて、背後に控えた。

「???」

マキシオは混乱した。では自分の何が問題であったのだろうか?

「…分からないかい?君はいったい、協力していた?」

淡々としたカイエンの声が、体中に染み込んでいくような気がした。

「り、隣国ターラッセンのファム侯爵令嬢に……、その……」

隣国の高位貴族に手を貸したことが問題だったのだ…。マキシオはそう思った。

「そう。侯爵令嬢がお前に協力していた。の人間を雇って、だ…」

「……は?闇ギルド?」

自分の手の者だと紹介されていたのが、闇ギルドの者だったと知り、マキシオは段々と血の気が引いていく。

噂を広めるために雇った男達や使用人の女を紹介したのは、侯爵令嬢の手の者だと、侯爵家の封蝋付きの手紙を持ってきた男だった。
彼らは自分と情報の擦り合わせをするため、時折、城内の詰所にも顔を出していたはずだ。

彼等が闇ギルドの者達だと言うのならば、騎士団の情報が盗まれているかもしれないし、最悪、警備体制まで調べられているかもしれない。

それが原因で王族に何かあった場合、責任は誰が負うのか…。

………自分マキシオだ。

彼等の身元を確認もせず、ただ自分の欲望を叶えるためだけに招き入れてしまった自分ではないかっ!!

「あ……、わた、私は……」

あまりの恐怖に呼吸もまともに出来なくなってきた。

「幸いなことに我が婚約者の、優秀な影達が早々に気づいたおかげで、事なきを得たが…。公に出来ずとも、無罪放免とはいかぬ……」

カタンと音を立て、カイエンは立ち上がって、マキシオを見下ろした。

「マキシオ・マイデール。本日中この時を持って近衛騎士の資格を剥奪。今後はトワイデン侯爵家にて、騎士見習いとして、その性根を叩き直してもらうといいっ!!」

カイエンの言葉に、を着た騎士達が、と共に現れた。

「……『断罪令嬢』…」

「ご機嫌よう、マイデール卿。貴方の根性をしっかり改善すべく、特別メニューを用意してくださった皆様ですわ♪どうぞ、頑張ってくださいまし」

扇で口元を隠し、コロコロと笑うアディエルに、マキシオはガクリと項垂れた。
そんなマキシオは、トワイデンの騎士達に両脇から腕を取られて、引き上げられた。

「それでは、王太子殿下!アディエル嬢!確かに我等トワイデン家騎馬隊が、マイデール卿をお預かり致す!!」

ビシッと敬礼をして、マキシオは連れ去られていった。

「……あのぅ、殿下?騎馬隊とは?」

一人の騎士が、恐る恐る口を開いた。

「ん?ああ、迅速に逃亡出来ないように運んでもらおうと思ってね」

「我が国が誇るの騎馬での移動ですわ。………着くまでに振り落とされなければよいですけど…」

にこやかに答えた二人に、近衛騎士達は次代に自分達の出番はないのでは?と、心の中で呟くのだったーーーー。



 





    
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

雪の女王を追って消えた、あんたは私と婚約してない!

さんけい
ファンタジー
「雪の女王」を追って村から消えたエイナル。 「君は僕の足かせだ?」ふざけんな、私はあんたの婚約者じゃない!

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

その婚約破棄、卒業式では受け付けておりません

ファンタジー
卒業パーティの最中、第一王子アデルは突如として婚約者クラリッサに婚約破棄を宣言する。 いわゆる『公開断罪』のはずだった。 しかし、周囲は談笑を続け、誰一人としてその茶番に付き合おうとしない。 困惑する王子と令嬢たちの前に立ったのは……。 ※複数のサイトに投稿しています。

処理中です...