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【二部】侯爵令嬢は今日もあざやかに断罪する

24.

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「ロ、ロゼ、ロゼッタァ!?」

自分の無様な姿を、彼女に見られたのかとランディは混乱した。
混乱のあまり、舌も回っていない。
更には彼女の隣にいる令嬢二人にも気づいていない。

「ランディ様!ランディ様には私よりも、大事な女性がいるのではなかったのですかっ!?その方と添う為に、わたくしと子を作るしかなかったのではないのですか!?」

「……は?誰が君にそんな事を?」

唖然として立ち上がるランディに、ロゼッタはヘナヘナと床に座り込んだ。

「わたくし…、わたくし、ずっとランディ様に望まれていないものだと……」

ポロポロと涙を零し出したロゼッタに、慌てたランディが駆け寄って膝を付く。

「ロゼッタ…。君こそ、他に誰か想う者がいるのではないのかい?だから、部屋に篭っているのでは?」

「っ!!そ、そ、それは…勘違いと、申しますか、その……」

カーッと真っ赤になるロゼッタに、ランディは首を傾げる。

「……少し宜しくて?」

掛けられた声に顔を上げ、ランディは相手が誰なのかを、把握するなり騎士の礼をとろうとした。

「挨拶は結構!今は、時間が惜しいのですわ」

きっぱりと言われて、顔を上げるランディ。

「グリオール伯爵。貴方、閨事の相談を何方かにされた事は?」

「え?は?閨事…でございますか?」

「ええ。正直にお答えくださいね。場合によっては、その方が貴方方ご夫婦の不破の原因なのですから…」

にっこりと微笑んだアディエルの言葉に、グリオール夫妻はゴクリと固唾を飲んだ。

「…その…、初夜に妻を喜ばせたく、経験のない自分に教えて欲しいと相談した者は確かにおります……」

「……その方のお名前は?」

「…親友のマキシオ・マイデールでございます…」

その名前が出た途端、伯爵夫妻以外の全員の気配がピリついたモノに変わった。

「ユエイン……」

「マイデール卿は、ランディとどちらがボクの専属になるかで、最後まで候補に残っていた騎士です」

カイエンの言葉に、姿勢を正してユエインが答える。

「グリード!」

「はっ!酒場での会話を、騎士の数人に確認を取っております!!」

エイデンの言葉に、控えていた騎士の一人が答える。

「黒確定ですわね」

アディエルの少し後ろに控えていたリネットが、息を吐きながらそう言った。

「ふむ。では、こちらの動きを確認しようか。ああ、その間、夫妻はを学ぶといいよ」

カイエンの言葉に、ロゼッタ達はアディエルに連れられ、隣室へと招かれた。

「きゃー!お嬢様、いらっしゃーい!」
「お嬢、久しぶりぃ♪」

「エルザ、コデット。二人ともいつもご苦労さま♪」

部屋の中には二人の艶やかな娼婦達がいた。

「ア、アディエル様、こちらの方々は?」

ランディに寄り添いながら、ロゼッタが問いかける。

「この二人は、ここ。【月光花】の売れっ子娼婦の二人ですわ。少しの間、こちらの二人とお話になっててくださいな♪」

そうして、伯爵夫妻。
自分達のしていた閨事の間違いの全てを訂正され、妻に対する行いを責められて青くなったランディと、夫を喜ばす方法を教えられて真っ赤になったロゼッタが出来上がるのであったーーーー。



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