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第四章 騎士団長、ストーカーになる!
噂の彼女は…
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「「アリスーーッ!!」」
「《束縛》!」
アリスティリアは自室に飛び込んできた兄達を、スキルでその場に止めた。
「レディーの部屋にノックも無しで失礼じゃないの?」
ニコニコ笑っているものの、目が笑っていないことに、二人は視線を反らす。
「もう…」
パチンと指が鳴らされ、体が解放されると二人はちらりと妹を見た。
「兄様達が言いたいことって、オーディル様の寝室の件でしょう?」
「そーだよ、何で夜にオーディルの寝室に行ったの!」
「『エベリウムの宝玉』が王家の手中の玉になったって言われちゃってるよ!?」
「エヴァン様も一緒でしたよ?それに、あそこが一番危険だったんだから仕方ないでしょ?」
机の上にまとめた報告書を取り上げ、カインベルに手渡す。
「…え?何これ。転移陣魔導具?しかも、七つもあったの!?」
カインベルの言葉に、ラスティンも覗き込んだ。
「え?馬鹿なの?これ、どうしたのアリス?」
とりあえず三人で立っているのもと、それぞれソファに腰かける。
「エヴァン様に相談して、移動してきたら自動的に地下牢に飛ぶようにしちゃいました♪」
「「誰が?」」
「エヴァン様ですよ?ご自宅に魔導具師がいらっしゃるとかで、ご自身も《改変》お持ちでしたから」
アリスティリアの言葉に兄達は不機嫌になっていく。
「…仕事に私情は挟まない!って、仰ったのは兄様達ですよ?何がそんなに気に入らないんです?」
「だってねぇ、ラス……」
「えぇ、カイン兄上。城でも僕達の側にアリスがいると思って許可したのに、実際は一緒に行動するのはエヴァンと、ですからね…」
「……めちゃくちゃ私情入ってるじゃないですか……」
呆れたアリスティリアの視線から逃げるように顔を背ける兄二人。
「それにさ。例え噂といえど、側室だなんて耳にして、気分いい訳ないだろう?」
「そうだね。幾ら役目とはいえ、やはり気分はよくないよ…」
「「なにより、エヴァンが一緒なのが許せない!!」」
グッと拳を握りしめ、同時に同じ言葉を発した兄達に、『半分でも血が繋がってると、こうなるのかぁ…』などと、感心して見てしまった。
「……エヴァン様の何が気に入らないのですか?」
呆れながらも訊ねてみる。
「うちより爵位が上なとこ!」
「あんな格好でも騎士団副団長なとこ!」
「私より出来ることが多いとこ!!」
「僕より背が高いとこ!!」
めちゃくちゃ私怨ではないかと、アリスティリアの頭が痛む。
「「一番気に入らないのは、アリスと一緒にいるとこ!!」」
結局、そこが一番気に入らないのだなと、アリスティリアは納得した。
「全く…。エヴァン様は王太子夫妻の護衛で、わたしは立場を隠してますけど『護衛メイド』です。護衛同士の連携は当然じゃないですか…」
立ち上がり、部屋のドアへと足を向ける。
「お忘れかもしれませんけど、今回のこれはわたしが正式な『護衛メイド』となれるかの最終試験なんです!邪魔をなさるなら。兄様達が相手でも容赦しませんからね!!」
アリスティリア・リン・エベリウム15歳。
巷では『エベリウム家の宝玉』、『エイベルの幸運の女神』と呼ばれていたが、実際は怒らせると大変なことになるエベリウム家伯爵夫人の次に並ぶ令嬢であったーーーー。
「《束縛》!」
アリスティリアは自室に飛び込んできた兄達を、スキルでその場に止めた。
「レディーの部屋にノックも無しで失礼じゃないの?」
ニコニコ笑っているものの、目が笑っていないことに、二人は視線を反らす。
「もう…」
パチンと指が鳴らされ、体が解放されると二人はちらりと妹を見た。
「兄様達が言いたいことって、オーディル様の寝室の件でしょう?」
「そーだよ、何で夜にオーディルの寝室に行ったの!」
「『エベリウムの宝玉』が王家の手中の玉になったって言われちゃってるよ!?」
「エヴァン様も一緒でしたよ?それに、あそこが一番危険だったんだから仕方ないでしょ?」
机の上にまとめた報告書を取り上げ、カインベルに手渡す。
「…え?何これ。転移陣魔導具?しかも、七つもあったの!?」
カインベルの言葉に、ラスティンも覗き込んだ。
「え?馬鹿なの?これ、どうしたのアリス?」
とりあえず三人で立っているのもと、それぞれソファに腰かける。
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「「誰が?」」
「エヴァン様ですよ?ご自宅に魔導具師がいらっしゃるとかで、ご自身も《改変》お持ちでしたから」
アリスティリアの言葉に兄達は不機嫌になっていく。
「…仕事に私情は挟まない!って、仰ったのは兄様達ですよ?何がそんなに気に入らないんです?」
「だってねぇ、ラス……」
「えぇ、カイン兄上。城でも僕達の側にアリスがいると思って許可したのに、実際は一緒に行動するのはエヴァンと、ですからね…」
「……めちゃくちゃ私情入ってるじゃないですか……」
呆れたアリスティリアの視線から逃げるように顔を背ける兄二人。
「それにさ。例え噂といえど、側室だなんて耳にして、気分いい訳ないだろう?」
「そうだね。幾ら役目とはいえ、やはり気分はよくないよ…」
「「なにより、エヴァンが一緒なのが許せない!!」」
グッと拳を握りしめ、同時に同じ言葉を発した兄達に、『半分でも血が繋がってると、こうなるのかぁ…』などと、感心して見てしまった。
「……エヴァン様の何が気に入らないのですか?」
呆れながらも訊ねてみる。
「うちより爵位が上なとこ!」
「あんな格好でも騎士団副団長なとこ!」
「私より出来ることが多いとこ!!」
「僕より背が高いとこ!!」
めちゃくちゃ私怨ではないかと、アリスティリアの頭が痛む。
「「一番気に入らないのは、アリスと一緒にいるとこ!!」」
結局、そこが一番気に入らないのだなと、アリスティリアは納得した。
「全く…。エヴァン様は王太子夫妻の護衛で、わたしは立場を隠してますけど『護衛メイド』です。護衛同士の連携は当然じゃないですか…」
立ち上がり、部屋のドアへと足を向ける。
「お忘れかもしれませんけど、今回のこれはわたしが正式な『護衛メイド』となれるかの最終試験なんです!邪魔をなさるなら。兄様達が相手でも容赦しませんからね!!」
アリスティリア・リン・エベリウム15歳。
巷では『エベリウム家の宝玉』、『エイベルの幸運の女神』と呼ばれていたが、実際は怒らせると大変なことになるエベリウム家伯爵夫人の次に並ぶ令嬢であったーーーー。
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