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第四章 騎士団長、ストーカーになる!
エヴァンは《ストーカー》を手に入れた
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王太子夫妻付き『護衛メイド』としてのアリスティリアは、一年後、王太子妃の出産で見事に合格した。
王太子妃の懐妊から始まったのは堕胎させようとする者達の索敵と防御。
王太子への薬投与と夜這い連中の排除。
ニコニコと微笑みながら、《看破》スキルで見つけていっては、兄達に丸投げする。
逃げ道を塞いだ兄達は、王太子と共にトントン拍子で相手を処断していく。
大半は反王太子派の者だったが、数人ほど夜這いで転移陣を起動させたのは王太子派閥のご令嬢達で、突然飛んだ先がどんよりとした地下牢で、着くなり悲鳴を上げては倒れ、顔を真っ赤にして駆けつけた両親に叱られながら引き取られていく光景があった。
「どうせなら、二度とする気がなくなるように致しましょう♪」
と、地下牢の壁に動物の血を撒いたり、女性なら苦手な者の多い虫まで用意させる徹底ぶり。
さらには悪乗りした王太子により、牢屋の見回りは一番の強面連中ー本人達は仕事してるだけなのに、顔を見るなり悲鳴をあげられて傷ついてるーにしていた。
『いぃやぁぁぁあああっ!!汚されたあっ!!もう、何処にもお嫁に行けませんわー!!』
声をかけただけでこう泣き叫ばれては、流石に気の毒すぎる…と、彼らには王太子から直々に追加給が支払われた。
見事『護衛メイド』となったアリスティリアではあったが、仕える先をまだ決めていないこともあり、そのまま王太子夫妻に仕えることとなっていた。
「……向こうの角からリアが来る…」
エヴァンの補佐官であり、幼馴染でもあるカルステッドは、ポツリと呟いた言葉に視線の先に目を向けた。
「あら。朝ぶりでございますね、エヴァン様。カルステッド様」
角から書類を抱えて現れたアリスティリアに笑いかけられた。
「…殿下の所ですか?」
「いえ、こちらは陛下の所へお持ちする書類ですわ。急ぎますので、失礼させていただきますね」
軽く頭を下げて、歩き去るアリスティリアを見つめるエヴァン。
カルステッドは正直、ゾッとしていた。
「……エヴァン様。今、何で分かりました?」
「ん?リアの足音なら、階下からでも分かるよ?」
「は?…か、《鑑定》しても構いませんか?」
ーー何だそれ、怖すぎるわっ!!
ビビりながらもエヴァンを《鑑定》したカルステッドは、気が遠くなった。
ーー何でこんなスキル持ってんですか、若様ーーー!?
カルステッドの行動は早かった。
団長室に行き、緊急事態だと述べ、さらには王太子の執務室に行き、エヴァンが大変なことになりそうなので一旦連れて帰ると伝えた彼は、首を傾げるエヴァンの腕を引っ張り、侯爵家の馬車に押し込んだ。
「…見間違いだ…。そうだ、俺は両親よりレベル低いから見間違えたんだ!」
指を組んでブツブツ呟く姿が不気味すぎて、エヴァンはなかなか声をかけれないまま屋敷に着いたのだった。
※※※※※※※※
「は?」
「うっわぁ…」
ラフィンとカフィルの二人は息子からの懇願により、エヴァンを《鑑定》して固まった。
ギフト《ストーカー》
と、スキルが発生していたのだ。
「いやいやいや。これ、犯罪者スキルでしょう?」
「え?これ、【ギフト】で出るの?出るもんなの!?」
顔を見合わせて、コソコソ話す。
カフィルは聖王に『大至急、謁見求む!』と、知らせを飛ばし、そのまま転移陣で聖王国へ飛んでいき、内容をさらに確認して戻ってきた。
《ストーカー》
・犯罪者スキルの一つ。
・好意を寄せた相手のことを、本人が嫌がることまで調べ尽くし、知り尽くそうとする。
・双方の状況により、大変なことになることが多い。
・稀に相手側に別スキルを発生させることがあり、その場合は犯罪者スキルとしての意味はなくなる。
それを聞いたエヴァンは、
「リアのことがたくさん分かるなんて、なんて素晴らしい!正に【神からの祝福】スキルじゃないかっ!!」
と、関連するスキルのレベル上げに励んだ彼は翌年騎士団長になったのであったーー。
王太子妃の懐妊から始まったのは堕胎させようとする者達の索敵と防御。
王太子への薬投与と夜這い連中の排除。
ニコニコと微笑みながら、《看破》スキルで見つけていっては、兄達に丸投げする。
逃げ道を塞いだ兄達は、王太子と共にトントン拍子で相手を処断していく。
大半は反王太子派の者だったが、数人ほど夜這いで転移陣を起動させたのは王太子派閥のご令嬢達で、突然飛んだ先がどんよりとした地下牢で、着くなり悲鳴を上げては倒れ、顔を真っ赤にして駆けつけた両親に叱られながら引き取られていく光景があった。
「どうせなら、二度とする気がなくなるように致しましょう♪」
と、地下牢の壁に動物の血を撒いたり、女性なら苦手な者の多い虫まで用意させる徹底ぶり。
さらには悪乗りした王太子により、牢屋の見回りは一番の強面連中ー本人達は仕事してるだけなのに、顔を見るなり悲鳴をあげられて傷ついてるーにしていた。
『いぃやぁぁぁあああっ!!汚されたあっ!!もう、何処にもお嫁に行けませんわー!!』
声をかけただけでこう泣き叫ばれては、流石に気の毒すぎる…と、彼らには王太子から直々に追加給が支払われた。
見事『護衛メイド』となったアリスティリアではあったが、仕える先をまだ決めていないこともあり、そのまま王太子夫妻に仕えることとなっていた。
「……向こうの角からリアが来る…」
エヴァンの補佐官であり、幼馴染でもあるカルステッドは、ポツリと呟いた言葉に視線の先に目を向けた。
「あら。朝ぶりでございますね、エヴァン様。カルステッド様」
角から書類を抱えて現れたアリスティリアに笑いかけられた。
「…殿下の所ですか?」
「いえ、こちらは陛下の所へお持ちする書類ですわ。急ぎますので、失礼させていただきますね」
軽く頭を下げて、歩き去るアリスティリアを見つめるエヴァン。
カルステッドは正直、ゾッとしていた。
「……エヴァン様。今、何で分かりました?」
「ん?リアの足音なら、階下からでも分かるよ?」
「は?…か、《鑑定》しても構いませんか?」
ーー何だそれ、怖すぎるわっ!!
ビビりながらもエヴァンを《鑑定》したカルステッドは、気が遠くなった。
ーー何でこんなスキル持ってんですか、若様ーーー!?
カルステッドの行動は早かった。
団長室に行き、緊急事態だと述べ、さらには王太子の執務室に行き、エヴァンが大変なことになりそうなので一旦連れて帰ると伝えた彼は、首を傾げるエヴァンの腕を引っ張り、侯爵家の馬車に押し込んだ。
「…見間違いだ…。そうだ、俺は両親よりレベル低いから見間違えたんだ!」
指を組んでブツブツ呟く姿が不気味すぎて、エヴァンはなかなか声をかけれないまま屋敷に着いたのだった。
※※※※※※※※
「は?」
「うっわぁ…」
ラフィンとカフィルの二人は息子からの懇願により、エヴァンを《鑑定》して固まった。
ギフト《ストーカー》
と、スキルが発生していたのだ。
「いやいやいや。これ、犯罪者スキルでしょう?」
「え?これ、【ギフト】で出るの?出るもんなの!?」
顔を見合わせて、コソコソ話す。
カフィルは聖王に『大至急、謁見求む!』と、知らせを飛ばし、そのまま転移陣で聖王国へ飛んでいき、内容をさらに確認して戻ってきた。
《ストーカー》
・犯罪者スキルの一つ。
・好意を寄せた相手のことを、本人が嫌がることまで調べ尽くし、知り尽くそうとする。
・双方の状況により、大変なことになることが多い。
・稀に相手側に別スキルを発生させることがあり、その場合は犯罪者スキルとしての意味はなくなる。
それを聞いたエヴァンは、
「リアのことがたくさん分かるなんて、なんて素晴らしい!正に【神からの祝福】スキルじゃないかっ!!」
と、関連するスキルのレベル上げに励んだ彼は翌年騎士団長になったのであったーー。
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