騎士団長はスキル《ストーカー》を極めたい!

ミアキス

文字の大きさ
51 / 154
第七章 世界を回すは女達

女達は共闘する1

しおりを挟む
「な、なんてことですの……」

東方侯令嬢カサンドラ・ルーラ・サーヴォルジュは、渡された手紙を読むなり、その場に崩れ落ちた。

「サンドラ!いったい何が書かれていたのです!?」

招かれて来ていた南方侯リズベット・ツェリク・スカルロックが、慌ててカサンドラの元へ近寄る。

「大変ですわ、リズ!このような真似、許されることではありませんわよ!」

差し出された手紙を受け取り、リズベットもまた崩れ落ちた。

「ああ…、なんて事でしょう…」

両手で顔を覆い、目尻に涙を浮かべる。

「ローリィとアルテにも知らせましょう!是非とも真実か確認しなければっ!!」

令嬢二人は互いを見つめ、こくりと頷きを返し、行動を始めるのであった。


※※※※※※※※

「……エヴァン。母は非常に悲しくてたまりません…」

帰宅するなり本邸に呼ばれたエヴァンは、サロンで待っていたエマリーに、顔を見るなりそう言われた。

「……母上?いかがなされました?」

ハンカチを握りしめ、目元にあてる母親に、エヴァンは首を傾げながら歩み寄った。

「貴方が10年以上も想い続け、恋焦がれていたエベリウム令嬢と結ばれたことはとても喜ばしい事です」

「はい。ありがとうございます」

母親の傍らに膝をつき、笑顔で見上げる。

「伯爵夫人ともお願いし、陛下達からも結婚の了承を無事にいただき、母も肩の荷をやっと下ろせます……」

「はい。母上と父上には、私のことで色々とご心配やご迷惑をおかけいたしま「ですがっ!!」」

突然、エマリーはエヴァンの胸ぐらを両手で掴んだ。

「うちのお嫁さんに挨拶に行ったら、全っ然顔を見ることもできないとは、どういう事ですかっ!!この母に!母たるわたくしには会わせられないとでもいうのですかっ!!何とかおっしゃい、エヴァン!!」

ガクガクと激しく揺さぶるエマリー。初めて見る母のそんな姿に驚き、エヴァンは言葉を無くしていた。

「貴方の留守中、退屈だろうと招いてみれば、フェリテからアリス様は邸を出られないと言われ、出向いてみればホールすら入れない始末……」

どんどん目のすわっていく母親にエヴァンはひたすら言葉が出ない。

「仕方がないとドア越しに話そうにも、お部屋から出れないとはどういう事ですか!!」

「母上、落ち着いてくださいっ!!」

パッと手を離され、エヴァンは体をふらつかせながら、服の乱れを直した。

「貴方にお嫁さんが来たら、一緒に刺繍したり、お茶会したり、夜会や茶会のドレスを選んだりと、わたくしは色々夢見ておりましたのに……」

ソファに座り、ポスンとクッションに顔を埋めるエマリー。

「わたくしが…。わたくしが貴方をそんな姿にしたのですものね…。わたくしのせいで、貴方は色々な嫌な思いをすることになったのですもの…。わたくしを恨んでも仕方の無いことでしたね……」

肩を震わせ、涙声で語るエマリーに、エヴァン
は慌てて駆け寄った。

「母上!母上を恨むなどありません!リアを母上に会わせたくないなどと、思ってもおりません!!」

「ですが……」

「リアを望んでいるのは、エスタルディアだけではないと聞いたのです…。現にリアを連れ帰ってからも未だにリアを狙うものが邸に来ています…。リアの安全のためにそうしているだけで、母上を拒む理由などないのです!」

「……本当ですか?」

クッションから、チラリとエヴァンを見上げる。

「本当です!カフィル殿に頼んで、母上達がリアと会えるように急ぎ設定を変えますからっ!」

「その言葉、誠ですか?」

「グランディバルカスの名にかけて誓います!」

胸に手を置き、家名にかけて誓うと宣言する。

「分かりました。では、なるべく早くお願いしますね、エヴァン♪」

身体を起こし、にっこりと微笑んだエマリーに、エヴァンはやられた……と、頭を抱えたのであったーーーー。






 
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

Emerald

藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。 叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。 自分にとっては完全に新しい場所。 しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。 仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。 〜main cast〜 結城美咲(Yuki Misaki) 黒瀬 悠(Kurose Haruka) ※作中の地名、団体名は架空のものです。 ※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。 ※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。 ポリン先生の作品はこちら↓ https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911 https://www.comico.jp/challenge/comic/33031

冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?

由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。 皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。 ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。 「誰が、お前を愛していないと言った」 守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。 これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。

泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。

待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。

オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない

若松だんご
恋愛
 ――俺には、将来を誓った相手がいるんです。  お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。  ――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。  ほげええっ!?  ちょっ、ちょっと待ってください、課長!  あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?  課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。  ――俺のところに来い。  オオカミ課長に、強引に同居させられた。  ――この方が、恋人らしいだろ。  うん。そうなんだけど。そうなんですけど。  気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。  イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。  (仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???  すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された皇后を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...