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第七章 世界を回すは女達
女達は共闘する2
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[フェリテ視点]
「はあ、めんどくさい変更だなぁ…」
若様から、別邸の防犯情報の設定変更を相談されたカフィル様。
若様がいなくなると、バタンとソファに横になられました。
「それをするのが仕事です」
カフィル様の妻であり、あたしの相方でもあるラフィンは、テーブルの上を片付けながら淡々とそう言った。
「そうは言っても、ほんとーに大変なんだからね…」
チラチラとラフィンを見ながら言うカフィル様。
そろそろラフィンに、いつもの提案を言い出すのでしょう。
タイミングを計っているようです。
「そうですか。出来ないなら仕方ありませんね…」
食器類を全部ワゴンに乗せ、テーブルを拭き終えたラフィンが、カフィル様に微笑みます。
ですが、あの笑顔は、本気で怒ってる時の顔です。
「離婚いたしましょう♪」
「何でっ!?」
いつもの展開とは違う方向に向かってしまい、カフィル様は大慌てです。
いつもなら、カフィル様がラフィンとイチャつく時間を要求してましたもんね。
「カフィル様は、グランディバルカス家の専属魔導具師になられたのです。ちゃんと仕事もせずに、家族と過ごそうなど…。幸い子供達はどちらも自立しております。問題ないでしょう?」
「……」
長寿のエルフと言えど、最愛の妻からの口撃はかなり堪えたようです。顔色が悪くなってます。
「ラフィン~~ッ!!ちゃんと仕事するから、離婚は止めてよぉ~っ!!」
元大神官だなどと、この姿を見て誰が思うでしょうか…。
何だかんだと話し合い、カフィル様は仕事を終えた後に、夫婦の時間を要求されました。
「…………」
眉間に皺を寄せ、こちらを見るラフィン。
うん、恥ずかしいんだよね。付き合い長いから分かるよ。
ついでにカフィル様が夫婦の時間を要求したってことは、ほぼ二日は、あたし一人ですもんね。
まあ、最近はアリスお嬢様も、若様のお相手を慣れたらしく、そちらに手もかからなくなってるので、大丈夫でしょう。
「健闘を祈る!」
あたしはラフィンに向かって、親指を立ててそう言いました。
※※※※※※※※
「…団長。王太子妃様が団長をお呼びとのことで、至急伺うようにと、迎えが来てます」
「レティーシア様が私を?」
処理の終わった書類を副長に手渡し、エヴァンは呼びに来ていた侍女の後を着いて行った。
「お呼びと伺い参りました…」
案内されたのは王太子妃専用サロンだった。
「待ってましてよ、騎士団長。こちらの皆様が貴方にお聞きしたいことがあるそうです。私の前できちんとお答えになってくださいませんこと?」
レティーシアに言われ、周りを見回せば知る顔ばかり。
エヴァンは嫌な予感しか感じなかった。
「お久しぶりです、エヴァン様」
カサンドラがにっこりと笑いかけたのをキッカケに、
「ご無沙汰してます、エヴァン様」
「中央のお兄様には久方ぶりでございます」
「御機嫌よう。エヴァン様」
と、アルテッサ、フローリア、リズベットの順に次々と挨拶を述べられる。
「四方侯令嬢の皆様にはご無沙汰しております。何方様も変わらずお変わりないようで…」
そつ無く頭を下げ、口上を述べて顔を上げる。
「「「「…………」」」」
じっとりとした四対の瞳がエヴァンを睨んでいた。
「……何か?」
思わぬ迫力に仰け反りそうになるのを、グッと堪える。
「ねえ、エヴァン様。わたくし達がエベリウム伯爵令嬢とどのようなお付き合いをさせていただいてるか、ご存知かしら?」
にっこりと微笑むカサンドラと同じように笑みを浮かべる令嬢達。
エヴァンは獰猛な魔物の群れに一人、取り残された気分になっていたーーーー。
「はあ、めんどくさい変更だなぁ…」
若様から、別邸の防犯情報の設定変更を相談されたカフィル様。
若様がいなくなると、バタンとソファに横になられました。
「それをするのが仕事です」
カフィル様の妻であり、あたしの相方でもあるラフィンは、テーブルの上を片付けながら淡々とそう言った。
「そうは言っても、ほんとーに大変なんだからね…」
チラチラとラフィンを見ながら言うカフィル様。
そろそろラフィンに、いつもの提案を言い出すのでしょう。
タイミングを計っているようです。
「そうですか。出来ないなら仕方ありませんね…」
食器類を全部ワゴンに乗せ、テーブルを拭き終えたラフィンが、カフィル様に微笑みます。
ですが、あの笑顔は、本気で怒ってる時の顔です。
「離婚いたしましょう♪」
「何でっ!?」
いつもの展開とは違う方向に向かってしまい、カフィル様は大慌てです。
いつもなら、カフィル様がラフィンとイチャつく時間を要求してましたもんね。
「カフィル様は、グランディバルカス家の専属魔導具師になられたのです。ちゃんと仕事もせずに、家族と過ごそうなど…。幸い子供達はどちらも自立しております。問題ないでしょう?」
「……」
長寿のエルフと言えど、最愛の妻からの口撃はかなり堪えたようです。顔色が悪くなってます。
「ラフィン~~ッ!!ちゃんと仕事するから、離婚は止めてよぉ~っ!!」
元大神官だなどと、この姿を見て誰が思うでしょうか…。
何だかんだと話し合い、カフィル様は仕事を終えた後に、夫婦の時間を要求されました。
「…………」
眉間に皺を寄せ、こちらを見るラフィン。
うん、恥ずかしいんだよね。付き合い長いから分かるよ。
ついでにカフィル様が夫婦の時間を要求したってことは、ほぼ二日は、あたし一人ですもんね。
まあ、最近はアリスお嬢様も、若様のお相手を慣れたらしく、そちらに手もかからなくなってるので、大丈夫でしょう。
「健闘を祈る!」
あたしはラフィンに向かって、親指を立ててそう言いました。
※※※※※※※※
「…団長。王太子妃様が団長をお呼びとのことで、至急伺うようにと、迎えが来てます」
「レティーシア様が私を?」
処理の終わった書類を副長に手渡し、エヴァンは呼びに来ていた侍女の後を着いて行った。
「お呼びと伺い参りました…」
案内されたのは王太子妃専用サロンだった。
「待ってましてよ、騎士団長。こちらの皆様が貴方にお聞きしたいことがあるそうです。私の前できちんとお答えになってくださいませんこと?」
レティーシアに言われ、周りを見回せば知る顔ばかり。
エヴァンは嫌な予感しか感じなかった。
「お久しぶりです、エヴァン様」
カサンドラがにっこりと笑いかけたのをキッカケに、
「ご無沙汰してます、エヴァン様」
「中央のお兄様には久方ぶりでございます」
「御機嫌よう。エヴァン様」
と、アルテッサ、フローリア、リズベットの順に次々と挨拶を述べられる。
「四方侯令嬢の皆様にはご無沙汰しております。何方様も変わらずお変わりないようで…」
そつ無く頭を下げ、口上を述べて顔を上げる。
「「「「…………」」」」
じっとりとした四対の瞳がエヴァンを睨んでいた。
「……何か?」
思わぬ迫力に仰け反りそうになるのを、グッと堪える。
「ねえ、エヴァン様。わたくし達がエベリウム伯爵令嬢とどのようなお付き合いをさせていただいてるか、ご存知かしら?」
にっこりと微笑むカサンドラと同じように笑みを浮かべる令嬢達。
エヴァンは獰猛な魔物の群れに一人、取り残された気分になっていたーーーー。
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